◎朕茲ニ深ク世局ノ進運ヲ察シ(康徳皇帝)
昨日は、満洲帝国の「帝位継承法」を紹介した。本日は、満洲帝国の「組織法」を紹介する。
この時点における「組織法」は、全三十七条からなり、第一章「皇帝」(第一条~第一三条)、第二章「参議府」(第一四条~第一五条)、第三章「立法院」(第一六条~第二五条)、第四章「国務院」(第二六条~第二九条)、第五章「法院」(第三〇条~第三四条)、附則(第三五条~第三七条)という構成になっている。
ここで紹介するのは、第一三条まで。条文は、『日文 満洲新六法』(満洲行政学会、一九三七)による。
組織法
(康徳元年三月一日)
改正 康徳元年一一月二九日、四年六月五日
朕皇天ノ眷命ヲ承ケ帝位ニ即キ茲ニ組織法ヲ制定シ統治組織ノ根本ヲ示ス朕ハ統治ノ権ヲ行フニ当リ此ノ條章ニ循ヒテ愆ラザルべシ
(国務総理、宮内府大臣副署)
朕
皇天ノ眷命ヲ承ケ統治ノ大権ヲ行フ時ニ随ヒ宜ヲ制シ以テ国運ノ発展ニ順応シ制度ノ燦備ヲ期スルハ建国ノ大義ニ基ク所以ナルヲ念ヒ茲ニ組織法ヲ改ム宜シク率由シテ愆ラザルベシ
(康徳元年十一月二十九日)
(国務総理、宮内府大臣副署)
朕茲ニ深ク世局ノ進運ヲ察シ広ク宇内ノ形勢ヲ稽へ帝国統治ニ関スル制度ヲ損益シ愈国運ヲ伸へ益邦基ヲ固ウスルノ要ヲ念ヒ乃チ組織法ノ條章ヲ改定シ厥ノ経制ヲ垂レ用テ循守ニ資ス爾僚司衆庶克ク朕カ意ヲ体シ翼賛怠ルコト勿レ
(康徳四年六月五日)
(国務総理、宮内府大臣副署)
組織法
第一章 皇 帝
第一條 満洲帝国ハ皇帝之ヲ統治ス
帝位ノ継承ハ別ニ定ムル所ニ依ル
第二條 皇帝ノ尊厳ハ侵サルルコトナシ
第三條 皇帝ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ本法ノ條規ニ依リ之ヲ行フ
第四條 国務総理大臣ハ皇帝ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ズ
第五條 皇帝ハ立法院ノ翼賛ニ依リ立法権ヲ行フ
第六條 皇帝ハ法律ニ依リ法院ヲシテ司法権ヲ行ハシム
第七條 皇帝ハ公共ノ安寧福利ヲ維持増進シ又ハ法律ヲ執行スル為命令ヲ発布シ又ハ発布セシム但シ命令ヲ以テ法律ヲ変更スルコトヲ得ズ
第八條 皇帝ハ公安ヲ維持シ又ハ非常ノ災害ヲ防遏スル為立法院ヲ召集スルコトヲ得ザル場合ニ於テハ諮詢シ法律ト同一ノ効力アル勅令ヲ発布スルコトヲ得但シ此ノ勅令ハ次ノ会期ニ於テ立法院ニ報告スベシ