礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

イカヅチの語源は、霓突(ik. tut.)である

2024-11-16 00:12:20 | コラムと名言
◎イカヅチの語源は、霓突(ik. tut.)である

 松村任三著『溯源語彙』(私家版、1921)の紹介をしている。昨日は、その「凡例」を紹介した。しかし、それだけでは、この本のイメージは伝わらなかったと思う。本日は、同書の3ページの内容を紹介してみたい(内容の紹介は、このページのみ)。

Ika-duti(イカヅチ)
 霓 ik. a clap of thunder
 突 tut. bolt
Yina-bika-li(イナビカリ)
 雲 yin. clouds.
 澼 pik. to brighten.
 离 li. bright
Tina-dama(イナダマ)
 雲 yin. clouds.
 ☆ dom. to scorch.
Yina-duma(イナヅマ)雲 
 雲 yin. cloucls.
 □ dum. the aspect of flame
Ame(アメ)
 霪 am. a long and drenching rain.
Ito-yap(イトユフ)
 圛 it. mints and vapours ascending in their revolving flecks.
 迂 yup. vast, distant, wide, spacious.
Kiri(キリ)
 烝 kir. mint.
Hi-muka-shi(ヒムカシ)
 曦 hi. the light of day.
 日 muk. to eye.
 西 shi. west
Ni-shi(ニシ)
 日 nih. the sun.
 西 shi. west.
Min-nami (ミナミ) 
 面 min. the south.
 南 nam. the south,
Kita(キタ)
 極 kit. applied to the noon when in 癸 or north.
At-sa(アツサ)
 燠 at. warm.
 材 sa. nature.
Sam-sa(サムサ)
 銑 sam. chilly, raw, as weath¬er.
 材 sa, nature.
Moia(モヤ)
 ■ moi. foggy.
Mura-same(ムラサメ)
 猛 mur. strong, excessive in any way.
 霎 sam. a passing rain.

 この本は、第1ページから第230ページまで、終始一貫、こうした方法で、日本語の言葉の語源を「漢語」によって説明してゆく。
 上記のうち、☆は、譚という字のゴンベンが、火ヘンになっている字、□は、ヘンが火、ツクリが冬という字、■は、雨カンムリに蒙という字である。いずれも、ワードでは出せなかった。
 著者の説かんとするところは、かなりつかみにくい。要するに、イカヅチの語源は、漢語の霓突(ik.tut.)であり、ヒムカシ(ひんがし=東)の語源は、同じく漢語の曦日西(hi.muk.shi.)である等々を、著者は、このような形で説明しようとしたのである。

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