◎近畿財務局の忖度と財務省本省の忖度
今回、赤木俊夫さんの「手記」が、公開されたことによって、いわゆる「森友学園問題」は、新しい段階に入ったように思う。コロナウィルスの問題で、森友学園どころでないという空気も一部にあるが、やはりこの問題は、キチンと解明しておくべきであろう。
以下、考えているところを箇条で述べる。
1 この問題の争点は、近畿財務局の森友学園に対する国有地売却に、政治力が関与したか否かである。
2 近畿財務局側は、森友学園の籠池泰典さんを、「強烈な個性を持ち、あらゆる行動をとる特異な」人物として捉えていた。
3 近畿財務局あるいは大阪府が、いわゆる「忖度」によって、森友学園側に有利になるような行政措置をとったことは、ほぼ間違いない。
4 しかし、近畿財務局や大阪府に対して、直接、何らかの政治力が加わっていたかどうかは、ハッキリしない。
5 近畿財務局と森友学園との間でおこなわれていた「応接」を、財務省本省が、逐一、把握していた(赤木手記)というのは、おそらく事実であろう。
6 ただし、こうした「応接」を含む近畿財務局の対応が、すべて財務省本省の「指示」によるものだった、とまでは言えないのではないか。
7 のちに財務省本省が、近畿財務局に対して、「応接」記録等の隠ぺいを命じたのは、近畿財務局がおこなった一連の対応に対して、批判が生じるのを避けるためであったのであろう。同時に、そうした近畿財務局の対応が、財務省本省の「指示」によるものだった、もしくは、財務省本省が近畿財務局の対応を「支持」していたと受けとめられるのを避けるためであった可能性があろう。
8 3~7に関わる事実関係は、赤木手記が公開されたのを機会に、再調査される必要がある。
9 特に、重要なのは、近畿財務局の池田靖統括国有財産管理官(当時)の証言である。それに楠敏志管財部長(当時)の証言。ともに当時、赤木俊夫さんの上司だった人である。このふたりが真実を語れば、この問題の全貌は、ほぼ、明らかになるはずである。
10 同時に、籠池泰典さんにも、『国策不捜査』で語り切れなかった真実、あるいは、語り落とした真実があるのではないか。もし、そうした真実があるなら、ぜひ、それを語ってほしいと思う。
11 赤木さんの手記は、財務省本省の人たちに対して極めて厳しく、一方、近畿財務局の人たちには言及がない。これは、この事件の「本質」に関わることであり、同時に、この手記の「性質」に関わることでもある。
12 森友学園問題の本質は「忖度」であろう。安倍首相夫人の言動が、近畿財務局や大阪府の「忖度」を招き、安倍首相本人の「総理大臣も国会議員もやめる」発言が、財務省本省の「忖度」を招いたのであろう。
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