風吹く豆腐屋

内容はいろいろ。不定期更新中。

セファランチンと脱毛症

2021-05-03 23:34:54 | Weblog

2週間ほど前、円形脱毛症のほうが進んでいるようだったので、皮膚科の先生に相談してみました。

当初は2cm程度だった脱毛領域が3cmくらいに拡大していました。

このくらいになってくるとさすがに目立ちます。

でも皮肉なことに頭頂部なので自分自身では合わせ鏡を使わないと見えないんですよね。

写真に撮られてみて、あー…こんなに分かっちゃうんだと少し驚きました。

 

・ステロイド外用薬について

これまではベリーストロングのネリゾナを塗布していました。

ストロンゲストのほうがいいですよと言われ、最強のステロイド外用薬デルモベートに変えた…つもりが

今確認してみたらネリゾナと同じくベリーストロングのアンテベートを使っていました。

しまったなー。

デルモベートとアンテベートは両方ストロンゲストだと思い込んでいました。

紛らわしい名前付けないでほしいな・・

でも病は気から、鰯の頭も信心から。

能書きはベリーストロングでもストロンゲスト並みの効能があったんだと思って継続して使うことにします。

 

・ステロイド内服、点滴について

ステロイド内服はどうですかと聞いてみたら、内服するくらいならむしろステロイド大量点滴するパルス療法をしていますとのことでした。

うがった見方をすれば、皮膚科の先生はステロイド長期内服に伴う副作用を診たくないのかなという気がしないでもない。

その辺は施設とか個人の考え方によるところも大きいとは思いますけどね。

個人的には内服すれば確実に糖尿病が悪化するので飲みたくありません。

 

・抗ヒスタミン薬内服について

手軽さという点で言えばドラッグストアですぐに買えるくらい身近になった抗ヒスタミン薬。

効くならいいかなあと思っていたけれど、あれは効きませんねーとのこと。

確かにそんな気はします。

普通の鼻炎に対してだってどれだけ効いているか分からないところもあるし。。

 

・セファランチンについて

そして勧められたのはセファランチン。

僕の中では白血球が下がった時のおまじない、またはマムシ咬傷のときのおまじないの薬です。

おまじないという表現をするのは、どちらの場合も正直どの程度効果が出ているのか判断がつかないから。

研究上はアレルギーを抑えるという報告はあるものの、

脱毛症に対してエビデンスレベルが低いのは誰にでも効くわけじゃないと言うことなので、期待していませんでした。

でもまあ、副作用の心配もあまりない薬ではあるし、何と言ってもプロの勧める薬だしなと思って飲んでみました。

セファランチン 1㎎ 2錠 1日2回 朝夕食後。30日分。

もともとは結核の治療薬として期待されていたものですが、

最近は新型コロナへの治療薬として注目もされていた時期もあったみたいです。

後日報告がないのはやはりパッとしないと言うことなんでしょうけどね。

 

そして、現在、外用薬変更しセファランチン内服を開始して2週間ちょっと経過しました。

ちょっとよくなってきているみたいです。

正直なところ、果たしてそれが薬の効能なのか、自然経過なのか分かりません。

でもまあ、タイミング的には薬の効果が出ていると信じてもよさそうです。

患者によって当たりはずれのある薬なのでしょうが、僕にはたまたま当たりだったということのようです。

 

禿げる悲哀は当事者にならないとなかなか分からないものなのかもしれません。

僕にとってそれは悪くない経験だったと…思えるようになればいいなあ。


夜「に」駆ける

2021-04-04 21:22:17 | Weblog
スピッツ好きは「夜に駆ける」「群青」という曲のタイトルを聞くとパクリじゃないかって思うんですよね。(スピッツは「夜を駆ける」)

そんなわけで前々から少し気になってはいました。YOASOBIというユニット。
一度You Tubeで聞いたときは、ふーん‥こういうのが若い子には受けるのねと思ったくらいでした。
作詞作曲者は今26、ボーカルの子はまだ20というし、34の僕が聴くのはちょっと気恥ずかしいと思っていました。

だた最近テレビでこの前の紅白の映像を見て、いいなと思うようになりました。
図書館風のステージで歌ってるのがなかなかおしゃれなんですよね。
最初は音楽そのものというより雰囲気に惹かれたところはありますが、ワーグナーのオペラしかり美術的な演出って実は重要ですよね(とか言ってみる)

この曲は短篇小説に歌をつけるという企画だそうです。
You Tubeの公式映像をみて、なんだ心中の話か‥死ぬ死ぬ詐欺の女の子って嫌いなんだよなと思っていたんですが、くり返し見るうちにだんだん可愛く見えてきました。笑

元になった短篇もネットで読んでみました。その作者も20歳くらいの大学生らしいです。

あーなるほど。この動画と歌詞の通りね、と思ったところまではよかったんです。
残念なのは同じ作者の後日談的な追加の短篇。
ぇ、そのオチ要る?と思わずにはいられませんでした。
ともに1分もあれば流し読みできるくらいの文章量なので興味がある人は読んでみてください。これ蛇足だと共感してくれる人、少なくないと思うんだけどな。

このユニットの他の曲はちゃんと聞いていません。今の所、気に入ったのはこの曲だけ。
あとから考えてみると椎名林檎の愛妻家の朝食にちょっと似たところがある気がするんですよね。速弾きのピアノが後ろでコロコロながれているところなんか。
打ち込みの電子音もゲームのペルソナシリーズの音楽と似てるところがあってこれも僕好み。
今となっては「聞かず嫌い」をしてただけなのかなと思います。

これだけポップスの曲が好きになったのはLemon以来です。Lemonを練習したように、この曲もカラオケで弾けるように練習しています。
ただテンポが速いうえに細かい音符が多いので歌詞をなぞるだけでもまあまあ難しいです。
間奏に至っては何回聴いても覚えられない箇所があって、こちらは今はちょっと諦め気味。

流行りの歌を一曲マスターしておくと、飲み会の2次会で役に立つんですよね。ザ、宴会芸という感じで 笑。
まあ、コロナ第4波なんて言われてる今、そんな飲み会が次いつあるのか分かりませんが‥

テレビでマツコが懐かしい感じがすると評していました。意外とおじさん世代にもささる音楽なのかもしれません。




2〜7%の呪い

2021-04-01 21:22:44 | Weblog


ついてないときは色々重なるものなんでしょう。

やらかしてしまいました。
完全な自分の不手際で誰のせいでもありません。
文献的には2〜7%の確率で1〜6 ヶ月後くらいに検査異常が出ます。必要に応じて徹底した治療をしないといけません。家族への接し方も変わります。
患者さんへの説明で数字を使うことはよくありますが、いざ自分のこととなると確率論じゃ割り切れないなと思いました。可能性が低かったとしても自分がそうなってしまえばその数字になんの意味もない。そう思いますよね。

そんなわけで、2日くらいちょっと凹んでました。

でも今は落ち着きました。
意外と立ち直りが早いのは僕の数少ない長所の1つです。

空が落ちてくることに怯えて過ごすよりは、空が落ちてきたときの対応を考えた上で泰然と過ごす方がいいです。これで割と合理主義者なんです。
自分が思っていたよりもメンタルがタフなのは最近になってわかった僕の強みです。



ユニクロと村上春樹のコラボキャンペーンを見て、懐かしくなって久しぶりに小説を読み直しています。

経験を積むとガラリと読後感の印象が変わることってありますよね。
「多崎つくる」は一度読んで暗いしよく分からないしつまらないと思っていましたが、読み直してみると前より登場人物に感情移入できるようになっていました。
謝りたくても謝れない状況は確かにあるしどうするのが正しいのか判断できないこと(その時だけでなく後になっても)って僕が思っていた以上に多いことなのだと今は知っています。

あんまり変わらないつもりでも着実に僕は年をとっているのだと感じました。そして瑞々しい感性は確かに加齢と共に失われるかもしれないけど、ある種の感性は歳をとって初めて得られるのかもしれません。

円形脱毛症になりました

2021-02-21 23:30:11 | Weblog

円形脱毛症になりました。

2,3週前に妻に「あれ、ここ円形脱毛症になってるよ」と言われたのが最初。

発見された当初はまだ産毛が残っていたそうですが、今は産毛も減っているようです。

頭頂部のやや左側で単純に鏡を正面視するだけでははっきりわかりません。

(散髪のときに合わせ鏡で見せてもらうとよく見えました。)

最初は上手く場所も探り当てられませんでしたが、今ではピンポイントに触って確認できるようになりました。

1×1.5cm程度つるつるしているところがあります。

 

あまり自分が禿げることを心配していなかったこともあり、最初宣告されたときはちょっと面食らいました。

ショックというほどではありませんが、少し悲しいのは確かですね。

正直詳しく知らないことなので、少し調べてみました。

 

読んでみたのは、「日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン」(2017年度版)

末端の一臨床医にとってガイドラインは何よりも頼りになる頼もしい存在です。

ネット上で読めるのでざっと目を通してみました。

へえーそうなんだ、と思うことが色々書いてありました。

 

まず、発症年齢は平均33歳なんだそうです。

若者の病気というイメージだったけど、そうでもないんですね。

性差もないんだとか。十代の男に多いイメージでした。

 

原因はストレスとよく言われるけれど、「発症と精神的ストレスとの直接の関連性についての科学的根拠は乏しい」と明記されています。

トルコの大震災の前後で発症率に差が見られなかったんだとか。そういわれると説得力がありますね。

むしろ病態は自己免疫性疾患であり、アトピー素因のある人での発症率が高いのは間違いないそうです。

ふむふむ。

 

そしてやはり気になるのは治るかどうかということ。

軽症なものであれば1年以内に80%で毛髪が回復するそうです。

今のところは軽症に分類されるので、進行しないことを願うばかり。

 

治療についてはいろいろ書かれてありますが、エビデンスレベルはBまたはC。

絶対的な治療というのはないということですね。

自分が使い慣れている薬という観点ではステロイド外用薬塗布と第2世代抗ヒスタミン薬の内服がよさそうかなと感じました。

それ以外の治療は自分が受けたいと思うほどではありませんでした。

不思議なのは局所免疫療法という炎症を惹起する治療に一定の効果があるとしているのに、

対照的な炎症を抑える治療であるステロイド外用薬が推奨されていること。

そして外用薬にとどまらず内服、あまつさえ大量のステロイド点滴であるパルス療法まで治療として示されていること。

炎症を起こす治療と炎症を抑える治療と療法効果があるってどうなんだろう。

そもそも重症であろうと基本的に死ぬことはないこの疾患に対し、

重大な副作用が起こりうるステロイドパルスがレベルCで推奨されることもあるというのは驚くばかりです。

…まあ色んな価値基準がありますよね。

 

このガイドラインで何より面白かったのは、一番最後に「治療せずに様子を見る」と言うのがレベルCで推奨されれていること。

患者視点としては医者に経過観察しましょうと言われたら嫌です。笑

 

新型コロナ対策に関してさんざん耳にした「正しく恐れる」という言葉。

上滑りしているように聞こえることも多いですが、どういう病気にあってもそれは大切なことだろうなと思います。

実践が難しいのは間違いありませんけどね。


人のふり見て

2021-02-09 22:34:00 | Weblog


無能な人間ほど失敗を人のせいにする。

これまでの人生でそう感じることが多々ありました。言い訳をして人の非難ばかりする。じゃあお前はどうなんだと問い返したくなります。

僕自身、そういうところがあります。うまく行かなかったとき、すぐに人のせいにしたくなります。反論したくなります。

周りが優秀な人ばかりなら確かに失敗しなかったかもしれない。でも、それはそもそも周りが自分の尻拭いをしてくれて当たり前という不遜な前提に基づく考えです。

他人が至らないとしても、それを他山の石とするだけの余裕が無ければなりません。仕事ができない人に足を引っ張られるのも見方を変えれば一つの鍛錬です。

無能な人をせせら笑うのは簡単です。

劣悪な環境であってもどうすればよいパフォーマンスができるかに心血を注がなければいけません。

‥分かってはいます。分かってはいますが、そこまでの余裕がないのも実情です。

国境の南、太陽の西

2021-01-30 00:39:55 | Weblog
昔読んだときはそれはまるで昔話のようでした。

話の筋としては理解できるけど、あまりに自分と遠いところにある架空の物語でしかないから今ひとつピンと来ませんでした。

久しぶりに読み返してみて、主人公のクズっぷりに衝撃を受けました。え、こんなひどい話だったっけ‥。同時に昔はそう感じなかった自分の感性にも驚きました。

国境の南、太陽の西。

ひとことで言えばどうしようもない不倫小説です。おまけにミステリーというかSF要素まで加わってどう読んだらいいかも分からず混乱するラストシーン。なんだこれ‥

村上春樹の主人公像が気持ち悪いという意見をしばしば耳にしますが、そんな人はこの小説は絶対受け付けないでしょう。
そしてなにより悲しいのはそんな主人公に自分を投影できるようになってしまったこと。
僕はこの最低な主人公とどれだけ違うんだろう‥むしろ共通項を探すほうが簡単じゃないかとさえ思います。

星新一のショートショートに、大人の不正を憎む地球の子供が数十年先に宇宙人と再会する話があります。大人になった子供たちはすっかり汚い大人に変わってしまっていたというアイロニカルなプロットです。

でも、そうじゃない人がどれだけいるんだろうかとあえて問いたい。

今思えばあんなことをするべきじゃなかった。そう思うことはたくさんあるし、そもそもその当時だって自分に非があることを十分自覚していた。今となってはどうしようもないことだけど、小説を読んでいて苦い記憶が呼び覚まされました。

この小説の内容についてドイツの文壇で大論争が起こったことがあるそうです。フィクションなんだからそんな目くじらを立てる必要はないじゃないかとは思いますが、それだけ読者の心をざわつかせる要素がもりこまれているということなんでしょう。

仕事のことでいつも以上にストレスを抱えているときに限って読後感の悪い本を選んでしまいました。それでも最後まで読み切ってしまう僕は認めたくはないけどハルキストなんでしょうね。

好みにあう本なら読んだことのない本も読んでみたいんだけど、探すだけの熱量がありません。面倒くさがりな性格が年とともにひどくなっている気がします。


ベルリンフィルのデジタル・コンサートホールを登録してみて

2021-01-17 20:26:29 | Weblog

ベルリンフィルのデジタルコンサートホールを登録しました。

 

僕の音楽の趣味はかなり偏りがある…というかなじみのある一部の曲くらいしか聞きません。自分の聞きたい曲を検索してすぐに聴けるこのシステムは僕にはうってつけです。そもそもクラシック曲ってオンラインの配信サービスはほぼありませんしね。youtubeでも魅力的な動画が少なくないものの、随所に挿入される広告にうんざりさせられます。お金を払うだけの価値があるかなと躊躇しているところこのベルリンフィルのサイトを試してみて、やっぱり専用チャンネルはいいなと思いました。

 

音の良さは正直分からないけれど、演者が感情豊かに演奏している映像をみるのは気持ちがいいです。弦楽器に関しては弓の動きを見るだけである程度満足できます(笑)。音楽は音だけを楽しむものではないなと改めて思いますね。料金はyoutubeより高いけど飽きたらやめればいいことだし、質の高いサービスにはそれに見合った対価が発生してしかるべきだと僕は思っています。

 

僕はおそらくイヤホンのせいで20の頃にはモスキート音が聞こえなくなっていたため、耳に何かつけて聞くことに抵抗があります。もちろんスピーカーで大音量で聴く方が好きなんですが、マンション生活で気兼ねなくそれをするのは難しいです。色々迷い、オーディオテクニカのオープン型のヘッドホンを買いました。かなり大きく、妻には聴力検査の見たいねと言われました(笑)。正直なところ見た目の割には期待したほどではなかったけれど、悪くはないんだろうと思います。

 

最近はブラームスとマーラーのシンフォニーを聴くことが多いです。ブラームスは4番が多く、マーラーは5番ばかり。マーラーの5番を聴くと少し元気が出ます。全部通して聴くほどの時間はないので、断片的に終楽章を聴くことが多いです。暗い葬送行進曲から始まって華やかで祝祭的な5楽章で終わること、4楽章を中心に妻との幸せな気持ちが散りばめられている曲であること、何より自分が20だった時に1年間練習した曲という思い入れがあります。

 

曲を聴いているとそれぞれの弦のパートリーダーの先輩の顔とか管楽器の先輩の顔が浮かぶんですよね。10年以上経ってこれだけ鮮明に思い出せる記憶を得られたことって幸せだなと思うんです。おそらく自分が今後オーケストラ編成の演奏に参加することはありません。そう思うと一層過去の記憶は暖かく感じます。僕は音楽そのものが好きというよりは、皆で一緒に曲を作り上げたその行程のほうが好きだったのかもしれません。


時間だけが平等というのなら

2021-01-05 23:28:52 | Weblog
時間だけが唯一皆に平等なものであると聞きます。

確かにそうだと思う一方で、残された時間が少ない人にとっての1日と、そうでない人の1日の重みは全く違います。そりゃ、時の流れは原則としてはみな一緒なのかもしれないけどさ‥

色々なことに制限を受けるこのコロナ時代。平等に与えられたこの時間を有効に使わないともったいないですよね。僕は基本的には外で活動するのが好きな人間ですが、インドアも好きです。親も登録したと言ってたベルリンフィルのネット配信サービスに登録してみようかな。ついでにオーディオ環境を整えてみるのもいいかも。これまで読まなかったような本を買ってみるのも悪くない。

保守的な人間なので一歩踏み出すことにエネルギーがいるけれど、新しいことを始めてみるのもいいかもしれないとは思います。

職業病

2021-01-04 23:29:05 | Weblog

死は生の対極としてではなく、その一部として存在している

最近よく思うんです。自分の何割かはもう死んでるなって。

このところ自分の血糖値が高い状態が続いています。今検査をすれば糖尿病の診断基準を満たすと思います。34歳、BMI 20.8で立派に2型糖尿病です。不摂生だから自己責任なんて理解のないことをいう人も居ますが、色んな病態があることを勉強してから批判して欲しいものです。僕だって生活習慣で治るものなら治したいです。

2型糖尿病は家族性の疾患です。親から遺伝子的なリスクを受け継いではいるんだろうとは思いますが、発症年齢は親より早いです。この病気で何より怖いのが合併症。末梢神経がやられ、網膜がやられ、腎臓がやられます。その段階になると全身の血管が高血糖というストレスに長期間に渡ってさらされ、端的に言えばぼろぼろの状態です。色々な病気のリスクになります。突然死する確率も上がるし、認知症を発症し周囲に長く迷惑をかける可能性もあります。
もっと残酷な病気は他にたくさんあります。ただ、そういう比較は無意味です。僕自身これから他の病気になる可能性だって十分あるわけですし。
職業柄、生活習慣病の先にある暗い未来を実感をもって想像できてしまう。僕が今言いたいのはそういうことです。

ある日突然死したとしても、まあ悪くない人生だったなと思って死んでいきたい。いつどんな災厄が自分に降りかかるかなんて分からないから。

死は徐々に生を侵食するものだと思います。多くの場合はゆっくり、例外的な場合は急激に。多分僕の何割かはもう既に損なわれてしまっているんだろうと思います。

決して悲観的な気分になっているわけではないんです。きゃっきゃ笑ながら走り回る子供たちを見て、例え今死んだとしても‥と思いたいという方が実情に近いかな。

今しかできないことを後悔の残らないようにしておきたい。
周りを見渡すとそういう気持ちをひたすら仕事につぎ込んでいる殊勝な人たちも少なくありませんが、僕はそこまで立派な人間にはなれそうにありません。

自分にとって優先度の高いことを大切にして生きて行きます。

村上朝日堂

2020-11-28 17:52:10 | Weblog

 

最近村上春樹のエッセイを時々読んでいます。また村上春樹かって言われそうですが、仕方ないんです。年を取ると新しいものに手を出せなくなっていくんです。

「村上春樹堂」は1982から1984にかけて連載されたエッセイ集です。その後、この名前を冠したエッセイ集はいくつか出版されましたが、今読んでいるのは『村上朝日堂』 (1984年7月) 、『村上朝日堂の逆襲』(1986年6月)、『村上朝日堂はいほー!』(1989年5月)あたり。過去に読んだことはあるので読み返しているという方が正確ですね。

改めて読んでみて何が一番インプレッシブだったかというと、これを書いているときの村上春樹が今の僕と同じ34歳だということ。

34というと若者というにはそろそろ苦しくなりつつも、中年というにはまだ早いかなと思うんですよね。30年前の社会状況は今とは違うはずだけど、34歳が社会に感じることとというのは時代が変わってもあまり変わらないみたいです。もちろん、共感できない部分も多々ありますけどね。

もっと年を取ってしまうと、このエッセイを読む気がわかなくなるんじゃないかと心配しています。普遍的なものならば読者の年齢は問わないかもしれないけれど、エッセイというスタイルには賞味期限があるように感じています。なんだか寂しいですが。

村上春樹の小説は嫌いだけどエッセイは好きという読者も少なくないと聞きます。正直、僕も今小説を読み返そうとは思わないけれど、エッセイぐらいならさっと読めてそれなりに満足感が得られます。

本を読むのにも年齢制限を感じてしまうとは…年はとりたくないものですね。