現在、このブログの一番の人気記事は、「皮膚炎と温泉」の記事みたいです。
意外と検索してここにたどり着く人もいるようなので、
最近何かと話題の「ホメオパシー」について個人的に思うことを書いてみます。
最初に結論から。
僕もホメオパシーは「荒唐無稽」だと思います。
ただし、「効果なし」というだけの根拠は残念ながら持ち合わせていないので、
あくまでも「思う」にとどめておきます。
しかし、「日本ホメオパシー医学協会」のサイトに掲載せれている
日本学術会議への反論はあまりに貧弱です。
まぁ、それはいいんです。
現段階で証明できないだけで、
将来それが科学的に正しいと万人に認められる可能性はありますからね。
問題は現実的な次元にあります。
今話題になっている、助産師がビタミンK2のシロップの代わりに
ホメオパシー療法の「特殊な薬」を投与し、子供を死なせてしまった事件。
この事件に対する協会側の反論が公式サイトに掲載されていました。
主なものを要約すると、
「K2シロップを投与していても出血を起こす事例は報告されている」
「K2シロップは副作用がないとされているが、長期的な影響は分からない。
そのため、自己責任において人工物を摂取しない自由は認められる」
というものでした。
あまりにこの反論がお粗末なので、医学生として反論させていただきます。
(作為的に引用したのではないかと思われる方はご自分でご覧になってください)
まず1つめの反論について。
母乳には十分なビタミンKが含まれていないため、
新生児には2回ビタミンK(凝固因子の材料となります)のシロップを投与します。
これによって新生児の頭蓋内出血による死亡が劇的に少なくなりました。
これは医療従事者の常識であり、当然その助産師も知っているはずです。
もちろん投与しても出血によって死ぬことはあるでしょう。
しかし、劇的にそのリスクを下げられる処置をあえてしない必然性があるでしょうか?
どういう状況だったのか詳しくは分かりませんが、
報道が正しいならば、罪を問われている助産師はシロップを投与せず、
代わりに「特殊な薬」を投与したことになっています。
その「特殊な薬」にビタミンKに劣らないだけの出血のリスクを低下させる効果があると
証明されているならともかくも、それはまずありません。
(もしそんなものが「証明」されているならば、この協会は反論材料として使ったでしょうからね)
問題なのは、その薬のせいでビタミンKが投与されなかったことにあります。
その薬に効果があるかないかは今問題じゃありません。
その処置を怠った罪が問われるべきなんです。
次に二つ目の反論について。
「ビタミンKを投与しない自由があってもいい」ということですが、これもおかしな話です。
ビタミンKについてあまり知らない一般人が
医学的知識を十分に備えた新生児医療のスペシャリストである
助産師の「誘導」に逆らえるでしょうか?
助産師がこれでいいといえば一般の人はそれでいいと思うでしょう。
まぁ、この助産師が
「ビタミンKにはこんな効果があるけれど、投与しませんよ」
と言ったとは思えませんけどね。
もし適切なインフォームド・コンセントを取っていれば、親はビタミンKを投与させたでしょう。
もしかすると、親もまたホメオパシー療法を信じていたのかもしれません。
現段階では、親の同意の上でその薬を投与した可能性も否定しえません。
ただし、それにしてもビタミンKについて中立的で十分な説明をしたのかどうか怪しいものです。
これらのことから、親に判断に必要な十分な知識があって自由選択をしたとは考えられません。
インフォームド・コンセントを取ったうえで治療をするという
医療従事者としてごく当たり前のことができていない点が問題なんです。
そもそも、「自由があってもいい」などと言うのは、
話をすり替えているだけのあまりに的外れな反論です。
今問題にしているのはこの事例です。
医療には限界があります。
治せない病気はたくさんあるし、副作用の強い治療も多いです。
医療従事者などの態度も含めて、現代医療に不信感を抱いている人がいるのは確かでしょう。
代替医療に希望を見出したくなる気持ちはわかります。
代替医療自体を全否定するつもりは全くありません。
それを希望するかどうかはまさに個人の自由ですからね。
(ただし、それに明らかに害悪があるならば、良識に従ってその害悪を説くところまではします)
そして「現代医療」を拒否するのも自由だと思います。
ただし、治療をしたらどうなる可能性があるか、
またしなければどうなる可能性があるか、熟知した上での判断ならば、です。
このホメオパシー療法の最大の問題点は、現代医療を拒否すること。
協会によれば現代医療を否定するものではないと言っています。
しかし、公式サイトを読み進めると、「「近代的な医薬品」を使用する前に、
まずはホメオパシーのレメディーを使ってみてはどうかと提案」するとあります。
「まず」ホメオパシー療法「だけ」をすることの問題点については触れていません。
そのせいで結果的に病気が進行し、QOLを著しく下げた患者がいることにも触れていません。
一番の問題はそこなのに、それが分からないんだろうか・・。
効くと主張するところまではある意味で信教の自由だからいいにしても、
その独りよがりな主張がかえって不幸な人を生み出しているのが現状。
それに気づかない(?)無神経さに虫唾が走ります。
癌の治療などにおいては、水面下のままうやむやになってしまうことが多かったことでしょう。
今回の裁判で適切な罰がくだされなかったら、僕は日本の司法が信じられなくなりそうです。
意外と検索してここにたどり着く人もいるようなので、
最近何かと話題の「ホメオパシー」について個人的に思うことを書いてみます。
最初に結論から。
僕もホメオパシーは「荒唐無稽」だと思います。
ただし、「効果なし」というだけの根拠は残念ながら持ち合わせていないので、
あくまでも「思う」にとどめておきます。
しかし、「日本ホメオパシー医学協会」のサイトに掲載せれている
日本学術会議への反論はあまりに貧弱です。
まぁ、それはいいんです。
現段階で証明できないだけで、
将来それが科学的に正しいと万人に認められる可能性はありますからね。
問題は現実的な次元にあります。
今話題になっている、助産師がビタミンK2のシロップの代わりに
ホメオパシー療法の「特殊な薬」を投与し、子供を死なせてしまった事件。
この事件に対する協会側の反論が公式サイトに掲載されていました。
主なものを要約すると、
「K2シロップを投与していても出血を起こす事例は報告されている」
「K2シロップは副作用がないとされているが、長期的な影響は分からない。
そのため、自己責任において人工物を摂取しない自由は認められる」
というものでした。
あまりにこの反論がお粗末なので、医学生として反論させていただきます。
(作為的に引用したのではないかと思われる方はご自分でご覧になってください)
まず1つめの反論について。
母乳には十分なビタミンKが含まれていないため、
新生児には2回ビタミンK(凝固因子の材料となります)のシロップを投与します。
これによって新生児の頭蓋内出血による死亡が劇的に少なくなりました。
これは医療従事者の常識であり、当然その助産師も知っているはずです。
もちろん投与しても出血によって死ぬことはあるでしょう。
しかし、劇的にそのリスクを下げられる処置をあえてしない必然性があるでしょうか?
どういう状況だったのか詳しくは分かりませんが、
報道が正しいならば、罪を問われている助産師はシロップを投与せず、
代わりに「特殊な薬」を投与したことになっています。
その「特殊な薬」にビタミンKに劣らないだけの出血のリスクを低下させる効果があると
証明されているならともかくも、それはまずありません。
(もしそんなものが「証明」されているならば、この協会は反論材料として使ったでしょうからね)
問題なのは、その薬のせいでビタミンKが投与されなかったことにあります。
その薬に効果があるかないかは今問題じゃありません。
その処置を怠った罪が問われるべきなんです。
次に二つ目の反論について。
「ビタミンKを投与しない自由があってもいい」ということですが、これもおかしな話です。
ビタミンKについてあまり知らない一般人が
医学的知識を十分に備えた新生児医療のスペシャリストである
助産師の「誘導」に逆らえるでしょうか?
助産師がこれでいいといえば一般の人はそれでいいと思うでしょう。
まぁ、この助産師が
「ビタミンKにはこんな効果があるけれど、投与しませんよ」
と言ったとは思えませんけどね。
もし適切なインフォームド・コンセントを取っていれば、親はビタミンKを投与させたでしょう。
もしかすると、親もまたホメオパシー療法を信じていたのかもしれません。
現段階では、親の同意の上でその薬を投与した可能性も否定しえません。
ただし、それにしてもビタミンKについて中立的で十分な説明をしたのかどうか怪しいものです。
これらのことから、親に判断に必要な十分な知識があって自由選択をしたとは考えられません。
インフォームド・コンセントを取ったうえで治療をするという
医療従事者としてごく当たり前のことができていない点が問題なんです。
そもそも、「自由があってもいい」などと言うのは、
話をすり替えているだけのあまりに的外れな反論です。
今問題にしているのはこの事例です。
医療には限界があります。
治せない病気はたくさんあるし、副作用の強い治療も多いです。
医療従事者などの態度も含めて、現代医療に不信感を抱いている人がいるのは確かでしょう。
代替医療に希望を見出したくなる気持ちはわかります。
代替医療自体を全否定するつもりは全くありません。
それを希望するかどうかはまさに個人の自由ですからね。
(ただし、それに明らかに害悪があるならば、良識に従ってその害悪を説くところまではします)
そして「現代医療」を拒否するのも自由だと思います。
ただし、治療をしたらどうなる可能性があるか、
またしなければどうなる可能性があるか、熟知した上での判断ならば、です。
このホメオパシー療法の最大の問題点は、現代医療を拒否すること。
協会によれば現代医療を否定するものではないと言っています。
しかし、公式サイトを読み進めると、「「近代的な医薬品」を使用する前に、
まずはホメオパシーのレメディーを使ってみてはどうかと提案」するとあります。
「まず」ホメオパシー療法「だけ」をすることの問題点については触れていません。
そのせいで結果的に病気が進行し、QOLを著しく下げた患者がいることにも触れていません。
一番の問題はそこなのに、それが分からないんだろうか・・。
効くと主張するところまではある意味で信教の自由だからいいにしても、
その独りよがりな主張がかえって不幸な人を生み出しているのが現状。
それに気づかない(?)無神経さに虫唾が走ります。
癌の治療などにおいては、水面下のままうやむやになってしまうことが多かったことでしょう。
今回の裁判で適切な罰がくだされなかったら、僕は日本の司法が信じられなくなりそうです。