風吹く豆腐屋

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イチジクジャム

2010-09-11 01:14:13 | Weblog
店でイチジクジャムを見つけた。

マーマレード、イチゴ、ブルーベリーと定番のジャムが並んでいる中にそれはあった。
よく見ると薄くほこりをかぶっているようだった。
人気がなく売れ残っているのは明らかだった。

つけられた値段は他のものよりも明らかに安い。
店も厄介払いをしたがっているのだと思うとなんだか無性にかわいそうになった。


というわけで、買って帰った。

僕はもともとイチジクが好きだ。
そうでなければ、いくら同情してもわざわざ買って帰りはしない。

イチジクは好みが分かれる果実だと思う。
じゃりじゃりしているし、断面の見た目もグロテスク。
嫌う人は嫌うだろう。
だけど甘みは強いし、その独特な風味はむしろイチジクの魅力だと僕は思っている。


調べてみると、思ったよりも加工されて流通することは多いようだ。

乾燥イチジクは広く流通しているし、
お菓子、ソースなど様々な食品の材料としての用途は多い。
ジャムにすることも珍しくないのだとか。


しかし、ジャムにできることと、ジャムとして売れることは全く違う。

例えば、イチジクに対してひいき目の僕でも
アンズのジャムとイチジクのジャムがあれば、アンズのジャムを取ると思う。
ジャムとしてはアンズのほうが美味しそうだから。

やはり、イチジクジャムがジャムとして異端であることは否めない。


どうしてあの店はあんなにたくさんイチジクのジャムを仕入れたんだろう・・
正統派である他のジャムたちと真っ向から勝負して勝てるはずがないじゃないか。

 

今日、トーストにイチジクジャムをつけて食べてみた。

至って普通の味だった。
じゃりじゃりすることもないし、
ジャムとして過不足のない適度な甘みは舌に心地よかった。

だが、正直なところ拍子抜けした。

頑固で不器用な生き方をしていたために社会に受け入れられなかった変わり者が
ある時外の圧力に屈し、すっかりおとなしくなってしまう…

そんな印象を受けた。

なんだか少し寂しい気がした。




あまり意識してこなかったが、無花果の旬は秋なのだそうだ。

秋には何かと楽しみが多い。