『「自分に同情するな」と彼は言った。
「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」』
ふとこの言葉を思いだして、ノルウェイの森を読み直しました。
初めてこの小説を読んだのはおよそ10年前。
当たり前かもしれないけど、当時とは全く違った感想を持ちました。
あの頃よりも村上春樹特有の青臭い喪失感がよりリアルに感じられます。
それでいてその喪失感がどこか遠い世界の話に思える不思議。
きっと年をとるってこういうことなんでしょうね。
昔読んだときはそれほど意識していなかったけれど、
物語中にクラシック曲がたくさん出てきます。
例えば、突撃隊の看病のために行けなくなった演奏会のメインはブラームスの4番。
僕自身、コンセルトヘボウとヤンソンスのブラームス4番を
卒業試験の合間に京都まで聴きに行ったことを思い出しました。
前夜に勉強しないで済むようにそれまでに必死につめこんだせいで、
演奏会の最中に眠り込んでしまうと言う本末転倒な思い出つき 笑
レイコさんが若かったころに
レコードが擦り切れるほど聴いた曲はブラームスピアノコンチェルト2番。
恥ずかしながらよく知らなかったのでyoutubeで聴いてみました。
ふむふむ…ブラームスらしいいい曲だなと思って、wikiでも解説を読んでみたら
『ブラームスがその完成稿のコピーを送った友人、
外科医兼ヴァイオリン奏者のテオドール・ビルロートは
この作品をその規模の大きさにも関わらず「ピアノ小品集」と表現した。
ブラームス本人もこのような逆説的な表現をわざと使っていた』
・・・ん、ビルロート?
ビルロートってあのビルロート?
外科医ならその名を知らぬ者はいない超有名人。
そんなビルロートがバイオリン奏者だったというだけでも驚きだけど、
ブラームスに曲を贈られるほど親しかったとは。
長く生きるほど、世の中知らないことだらけなんだってことに気付かされます。
おまけ。
この前登った芥子山(けしごやま)の写真。猫がいました。