緊張性気胸を知っていますか。
医療系の漫画やドラマでしつこいくらい登場する疾患です。
理由は簡単。
一般的な気胸と違って放置すると死んでしまうこと、
必要な処置は胸に風穴を開けるだけの単純な方法ではあるが
その救命行為自体が一見残酷な行為に見えること。
フィクションの世界にはもってこいというわけです。
この前、その緊張性気胸の患者を診ました。
酸素化がかなり悪く、血圧も診察室に入ってから少しずつ下がっていく…
これはまずいなと処置を優先させました。
局所麻酔後、肋間からブスッ。
胸壁に穴が開いた瞬間「プシューッ」という音がしました。
このとき肺が急に広がる刺激から患者さんは咳をすることが多いんですが、
・・今回も血を浴びてしまいました。何度目だ。
処置後はみるみる酸素化も改善、自覚症状もよくなりました。
胸腔穿刺は決して難しい手技ではありませんが、
僕も少しは外科医が板についてきたかなとしみじみ思いました。
一方で、この前友人の結婚式で久しぶりに会った麻酔科の先生に
外科でやっていけるか不安を感じていると正直に話したら
「おまえに切ったり貼られたりされることで不幸になる患者さんがいてはならないだろう。
向いていないと思うんだったらやめた方がいい。
麻酔科はいつでも歓迎するぞ」と言われました。
正論すぎてまったく反論の余地がない。
今日のスピッツはニコニコ動画より。
僕もドブネズミとビスケットを分け合えるぐらい優しかったら違ったのかもしれないけど
時間を巻き戻したとしても同じ結果になったような気がする。
Spitz / 優しくなりたいな