子供の頃にそこそこ勉強ができた私は、しかし性格が少しひねくれたところがあって、コツコツこれ(勉強)をするということが出来ませんでした。
中1の時の成績は4と5ばかりでしたが、2年生になると1や2をとる始末。三年生になると覚醒して一気にV字回復しましたが、二年生の時に一緒につるんでいた不良仲間達からは裏切者と呼ばれ、真面目な連中からは胡散臭い奴という白い目で見られ、卒業に際して最後に貰った成績表には担任にわざわざ「後悔先にたたず」なんていう言葉を赤色で書かれました。
小学生の頃から読書が好きでしたが、この最低の時期に読んでいたのは、ハンターデイビスという人が書いたビートルズという本。その分厚い本の帯には「劣等生の方が偉くなれるんだ」と書いてあって、単純極める私は「そうか、そうなんだ」等と好き勝手な解釈をしたものですが、考えるまでもなくビートルズが劣等生であったわけでは決してなく、こんなつまらないキャッチに多少でも刺激された私の方が遥かに劣等生でした。
大学に入ると、語学のクラスに黙ってただそこにいてもやけに目立つ子がいて、周りの学生達の会話から彼が某有名アイドルバンドのメンバーの一人であることを知りました。テレビの音楽番組で彼を観たことがあります。学校では万事控え目な彼は語学のセンスがあって、特にフランス語の授業で大変に頑張っていました。でも英語はそれほどでもなく、特に英作文が得意でちょくちょくみんなの前で発表させられた私にアドバイスを求めてきたりしました。実直な好青年でした。
彼を見て周りの学生達は「チャラチャラしたところのない良い奴だ。ちゃんと大学を出て芸能人の仕事をやるその生き方に好感」と言っていました。
奇をてらったり、受けを狙ったクサい言動をするクセの抜けない人間ではない、黙ってコツコツと日々を送り、その間黙々と己を高める努力をする生き方のカッコ良さが、一見それとは縁遠そうな彼から学んだ私の大学生活の大事な財産の一つではありました。
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