アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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もう突っ込みどころ満載、競馬新聞以下の空虚な橋下・維新ビラ

2011年11月08日 00時23分31秒 | 都構想・IRカジノ反対!
 大阪の府知事・市長ダブル選挙が早やたけなわ。府知事選候補の倉田・梅田両氏に加え、ダブル選挙仕掛け人の橋下・維新陣営のビラもゲットしたので、当初は3候補ビラの読み比べ記事を書こうと思っていました。しかし、書いていくうちに、橋下・維新のビラが余りにも突っ込みどころ満載なので、当初予定を変更して、まずはこのビラの内容について見ていく事にします。

 「大阪維新の会大阪府議会議員団」発行の「維新タイムズ 2011 Vol2」というのが、そのビラです。発行日付は記載されていませんが、先週府下の最寄り駅の駅頭で撒いていたものです。両面カラーのタブロイド版で、表面がツルツルの上質紙を使用しています。再生紙使用と思しき他の2候補のビラと比べても、資金源の潤沢さが感じられます。
 しかし、その内容は、最初から最後まで、職員基本条例・教育基本条例の自画自賛に終始しているだけ。はっきり言って、ただそれだけの内容です。今まで両条例に対して示された有識者や府民からの疑問に対しても、回答はおろか言及さえも一言もありません。そんな「大本営発表」のビラですが、少し読むだけでもおかしな所が一杯出てきます。



 上記がその表紙です。見出しに「大阪維新の会府議団提出 職員基本条例・教育基本条例」「公務員改革、教育改革で激論」とあります。記事にも、「公務員組織を普通の組織にするため」「民意を反映する教育行政を実現するため」「現行の制度や慣例を享受する側からの大きな抵抗に直面するなか、断固とした信念と決意に基づいて」提出し、「連日熱い議論を展開し」云々とあります。

 それで、その条例案の各項目ごとに、「これだけ俺たちは支持されているんだぞう、どうだ凄いだろう」と言わんばかりの円グラフが、ご丁寧にも添付されています。しかし、その円グラフの根拠は何かと思えば、左下に小さく「円グラフは世論調査結果 調査方法:インターネットリサーチ 実施期間:9月8日~9日、10月11日~12日 調査対象:1090人(一部1030人)」とありました。(上記画像の赤枠部分)

 私、これを見て我が目を疑いましたね。「インターネットリサーチ」??それも9月と10月に、それぞれたった千人そこらの意見を、一夜漬けで集めただけの???大新聞の世論調査ですら、その質問内容や調査対象の偏りが指摘されているのに、それよりも遥かに偏っているとされる、「2ちゃんねる」やそこら辺に毛の生えた程度のものを、堂々とビラに載せて自画自賛できる神経が、まず理解出来ません。
 そりゃあ私も、この手の「インターネットリサーチ」のデータをブログに引用する事は多々ありますよ。但しその場合は、煽り・組織動員の可能性や、質問項目・方法や調査対象の偏りも考慮に入れた上で、あくまでも「世論の一断面」として紹介・論評するに止めて来ました。幾ら何でも、このビラほどには手放しで自画自賛するような事はなかったと思います。
 しかも、一介のブログならまだしも、仮にも公職選挙法に基づく政治ビラ、それも現職知事陣営の与党ビラが、よくもこんな低レベルな内容を、臆面もなく載せる事が出来たものです。これでは「幸福実現党」と同レベルではないですか。

 なるほど、だから書いている事も支離滅裂なのです。
 まず、左下の「職員基本条例案について」の「趣旨と概要」の所で、「公務員は仕事をしようとも、しなくとも、同じ給与で同じ昇進速度。あるいは公務員は辞めさせることはできない。これが公務員に対する一般的な常識でした。しかしこのような価値観の転換を図り、大胆な公務員改革によって公務員組織を民間と同じ普通の組織としなければ」いけない、だから「旧来の悪弊を打破し、府民ニーズに迅速的確に応じる行政の実現のため」、これを出したとあります。

 しかし、ここには二重・三重のデタラメがあります。まず「仕事をしようとも、しなくとも、同じ給与で同じ昇進速度」とありますが、これは一体いつの話ですか。今や公務員も非正規雇用にどんどん置き換えられ、「官製ワーキングプア」の言葉まであると言うのに。嘘だと思うなら、ハローワークやアルバイト求人誌を見てみたら良い。大抵時給800円台かそこらの有期雇用です。そのくせ、市場化テストや民活導入という事で、「しんどさ」だけはますます民間なみになってきた。だから、応募する人も、子持ちの主婦や失業対策の繋ぎとして紹介されてきた人が大半で、それだけで食って行こうとする人は、みんな民間に流れるのです。

 それに、そもそも公務員の給与が横並びで簡単に辞めさせられないのも、(1)公務員のスト権が戦後GHQに奪われて、権利行使が制限されている事の見返り(目くらまし)として実施されてきた(他の先進国には警察官労組もあるというのに)、(2)最低賃金や失業保険、生活保護支給額の目安となり得る賃金・労働条件を付与しなければならないという建前があった―の2つの歴史的背景から来ているのでしょう。その歴史的背景も無視して、労働組合弾圧でスト権も与えられなかったり、「御用組合」化で与えても有名無実化された上に、民間の悪い所だけを真似てどうするのですか。
 
 かつての国鉄・郵政民営化がその良い例じゃないですか。保線・車両整備などの汚れ仕事とホワイトカラーを同列においての、「勤務時間内に入浴している」などのバッシングから始まり、カラ専従などを口実にして、民営化に反対する労組が潰された後、一体職場はどうなったか。深夜勤で過労で倒れる薄給の「ゆうメイト」や、郵便・貯金・保険に分断され年賀状もまともに届かなくなった郵便局、日勤教育による労働者虐めや安全軽視、営利優先の末に引き起こされたJR福知山線事故・・・。
 橋下・維新が煽る「冷遇民間労働者vs厚遇公務員」の図式に騙されて公務員叩きに興じる者は、自分の職場も今の郵政やJRみたいにしたいのか。今ですら低い最低賃金や失業保険をもっと切り下げろと言うのか。そこをもっとよく考える事です。

 こう言うと必ず出てくるのが、環境局や交通局職員の薬物乱用などの不祥事を例に挙げての反論ですが、これも2つの理由で簡単に反駁できます。―(1)当局の「フレームアップ」。ごく一部の事例をさも職場全体に蔓延しているかのように言う。国民の約16%がワーキングプアとして最低賃金ギリギリで生活している中で、僅かクラス40人中1人か2人しかいない給食費未払い者を、さも学校中に蔓延しているかのように言う、などの悪宣伝がこれに該当します。(2)当局の「泳がせ政策」。単に「選挙で労組にお世話になっているから手出しできない」だけでなく、いざという時に福祉バッシングの切り札として使うために、わざと職場の薬物乱用者や生活保護不正支給の右翼ヤクザなどを見逃している可能性もあるのではないでしょうか。

 そういう諸々の政治的背景やフレームアップの可能性も一切考慮せず、印象操作まがいのインスタント調査ででっち上げられた「職員基本条例案について賛成39.7%、どちらかといえば賛成44.4%」などの円グラフに、一体どれほどの価値があるか。普通、情報やデータを引用した後には、「何故そういうデータが出てきたのか」「そこからどういう事が読み取られるか」「その調査にはどういう限界があるか」という分析があって、それを経て初めて何らかの結論や仮説が導き出されるものでしょう。競馬新聞でもそれ位の事は書くぞw。
 ところがこのビラでは、その中間の分析や説明が一切なく、ただ「××が一番人気だから××が勝つに決まっている、信ずる者は救われる」と言っているだけなのです。はっきり言って、もう競馬新聞以下ですなwww。

 同じ事は、右下の「教育基本条例案について」の「趣旨と概要」の所でも言えます。そこでは、「これまで教育から政治は徹底して排除するべきとされ、個々の教員が行う授業内容を超えて、教育行政そのものからすら、政治が過度に遠ざけられてきました。その結果、民意を教育行政に十分反映させることができていませんでした。」しかし、わが国は議会制民主主義の国であり、議会は教育にも関与できる筈なので、もっと「大阪の教育行政のあり方に民意を反映させ、大阪の子どもが適切な教育を受けさせることができるようにしなくてはなりません。」、だからこの条例案を出したのだとあります。
 有権者の目もあるので、このようにビラでは持って回った上品な言い方をしていますが、有体に言えばこういう事でしょう。「俺が選挙で選ばれたんだから、つまり俺様こそが民意を代弁しているんだから、教育ももっと俺様の好きなようにさせろや」と。
 まるで北朝鮮ですなw。だって、あそこも一応は人民共和国という建前で、金日成や金正日も形だけは選挙で選ばれた事になっていますから。但し投票率も得票率もほぼ100%のお手盛り選挙ですが。でも、あちらの国では、あくまでもあのお方が民意の代弁者なのですから。
 日本の選挙も、その本質においては北朝鮮と同じでしょうが。建前上の言論の自由はあっても、自由にマンションにビラ撒きも出来なければ、公務員が時間外や休日に個人的にビラを撒く事すら許されない(現にそれで「赤旗」号外を撒いて不当逮捕された人もいる)。その一方で企業ぐるみ選挙や金権選挙は野放し。だからこれだけ世襲議員や橋下みたいな金権・売名政治家が跋扈するのでしょうが。
 やっている事も一緒じゃないですか。朝鮮学校には「金正日の肖像画を外せ」と言っておきながら、日本の学校には「ルールだから君が代を歌え」と教師・保護者に強制する。「ルールだから金正日を敬え」という北朝鮮と、一体どこが違うのwww。



 表紙が表紙なら、裏面も裏面で、万事がこの調子です。もう面倒なので、目に付いた所だけ取り上げます。
 左半分「職員基本条例案について」の、上から2番目「職員の人事評価の厳格化」の項目で、「全体の中からAが10%、Bが30%という形で、機械的に評価を割り振る相対評価を行い、ダメ教師は最下位のDにして辞めさせます」という趣旨の事が書かれています。(同じ事は右半分の教育基本条例案の項目にもある)
 こういう減点法に基づく評価を強引に導入したら一体どうなるか。たとえ全員が満点評価に値する成果を上げたとしても、一定比率でAからDまで割り振らなければならないのだから、下位のCやDは減点評価(揚げ足取り)で付けざるを得ません。職員を一人の人間として、その弱点を補い長所を伸ばすのではなく、恰も製品から不良品を選別するだけの評価に成り下がる。他の人間も、ひたすらDの烙印だけは押されまいというようになる。
 事実、民間企業でこのような成果主義を導入した所はどこも、事なかれ主義や足の引っ張りあいで職場が荒廃し、撤回や見直しに追い込まれています。何でも民間のサル真似をすれば良いと言うものではありません。

 その下の「府民感覚にあった給与・勤務条件」にするという項目も、「公務員給与を50人以上の民間企業に合わせていたのでは民間と不公平になるので、中小企業も含めた10人以上の企業に合わせるようにする」とあります。
 アホか。10人以上の中小企業の従業員も、50人以上の企業と同じ様に、人間として最低限度の文化的な生活を営めるようにするのが、知事として本来すべき事でしょう。それが何ですか。公務員も50人以上の企業も、年収100~300万前後の10人以上の中小企業のレベルに合わせろてか。これでは単なる「下見て暮らせ傘の下」じゃないですか。そんなものは「府民感覚」とは言わない。ただの「奴隷根性、ヒガミ根性」だ。

 一番左下の「議員定数21人削減の条例改正 全国最大の削減を維新府議団が実現」も、何でも減らせば良いってもんじゃない。そんな事をしたら、ますます有権者の声が議会に届かなくなるだけ、一部の金持ちや有名人による密室・金権政治になるだけです。「禄でもない議員なぞ居ても居なくても同じ」てか?今以上に禄でもない議員が蔓延る事にしかなりませんが?
 維新の宣伝は万事この調子。「ムダが多い」といって、その中身も吟味せず、やたら削減を煽って、自分たちだけで政治や経済を私物化しようとしているだけ。「自民党をぶっ壊す」振りをして自民党を逆にのさばらし、福祉削減・格差拡大で庶民だけを痛めつけた小泉改革と同じ、デマ宣伝でしかない。
 そんなに定数削減したければ、一層の事、北朝鮮の様に定数も候補者も1人しかいない信任投票形式にしてしまえば良い。選挙費用も大幅に削減できますよ。維新って、つくづく独裁とかファシズムが好きなのですね。

 右半分「教育基本条例案について」の第1項目「民意を反映させる教育行政」については、先に表紙の所で述べたように、民意や選挙をカサにきての橋下「ヒトラー・金正日」への絶対服従を説くものでしかない。何故なら、ヒトラーや金正日の独裁も、お手盛りの民意や選挙をカサにきて、行使しているのだから。
 「幾ら民意だからって、何やっても許される」という訳ではない。そもそも、橋下が知事に当選した時の選挙では、「子どもが笑顔になる」とかばっかりハッタリかまして、そんな事はおくびにも出さなかったのだから、それは民意ですらない。自分に都合の良い事ばかり言うな。

 第2項目「校長・副校長の公募」。「校長・副校長は教員だけとは限らない、教員以外にも有能な人材を広く公募する」。それを誰が、どういう基準で選ぶのか。橋下ヒトラーが、成果主義に基づいて選びます。金儲け至上主義・ギャンブル資本主義の橋下が選ぶのですから、まかり間違えても民主的な人間が選ばれる事はありません。ホリエモンや村上ファンド社長、戸塚ヨットスクールの塾長みたいな校長・副校長ばかりになる事は、容易に想像できます。

 第3項目「新しい校長像」。校長に次のような権限を与え、幅広い裁量をもって(つまり好き勝手に)学校運営を行えるようにする。「教育委員会への予算要求権や教職員への職務命令と教職員の服従義務」「教員採用への選考への関与」「教職員への人事評価(例の事なかれ主義・揚げ足取りによる減点評価)」。橋下紅衛兵・橋下ユーゲントでも組織するつもりか。

 第4項目「学校間競争の促進」。府立高校の学区制を廃止するそうです。幾らどの高校に自由に行けるとなっても、大阪の端の岬町や能勢町から大阪市内にあるトップ進学校の北野や大手前に通えるのは、時間も金も自由になるブルジョアのボンボンに限られます。そんな「自由」なぞ、大多数の高校生や保護者にとっては「絵に書いた餅」「北朝鮮にもある選挙の自由」にしか過ぎません。

 第5項目「学力調査テストの結果」をバンバン公表するそうです。「学力だけが全て、一旦落ちこぼれたら人間の屑」と本音では思っているからこそ、こういう事が平気で書けるのです。池田小学校や東京・秋葉原の無差別殺傷事件みたいな事が、これからは今以上に急増する事でしょう。

 何か、橋下・維新が大阪市長や大阪府知事になったら、大阪や日本がとんでもない事になりそうです。それを、橋下やマスコミに煽られた「2ちゃんねらー」や「ネットウヨク」が、何も考えずに答えて、それをさも世論調査みたいに、何の分析も評論もなしに臆面もなく載せる。このビラからは、そういう寒々とした光景しか浮かび上がってきません。
 今までの橋下・維新のビラと比べても、カルト度が一層高まっています。普通に考えれば、寧ろ逆効果にもなりかねないようなビラです。それも分からないとは、(1)天狗になってますます「バカ殿様」と化しているか、(2)WTC移転失敗や府財政黒字粉飾の目くらましとして、ダブル選挙という一世一代の大博打に出たものの、今までの与党(自民・公明)からも見放されていよいよトチ狂ったかの、どちらかでしょう。
コメント (1)
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