アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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弱肉強食こそハシズムの本質

2011年11月22日 07時10分28秒 | 都構想・IRカジノ反対!
 大阪の府・市ダブル選挙の終盤情勢ですが、20日付産経記事によると、市長選では橋下・平松、府知事選では松井・倉田の両氏が、それぞれ激しく競り合っているとの事です。しかし、私個人としては、このままでは僅差で橋下・維新のほうが勝ってしまうのではないかと、聊か危惧しています。それは次の理由からです。

 元々、橋下・維新陣営は、WTCへの府庁移転の失敗や府財政黒字粉飾(借金を歳入に繰入)などの失政を誤魔化すために、大阪都構想や職員・教育基本条例を唐突に持ち出してきて、それを争点にW選挙を仕掛けてきました。そもそも、今回選挙の争点やひいては選挙自体が、橋下による失政を誤魔化すための茶番劇に過ぎないものでした。それを更に誤魔化すために、ひたすらイメージ選挙で逃げ切りを図ろうとしています。
 大阪市長選も告示され、投票日まで残り1週間を切った昨日(11月21日)も、「維新の会」に動員されたと思しき地域のオバちゃん連中が、第2弾のビラを市内某駅頭で撒いていたのですが、そのビラが何と最初に撒いたビラと殆ど同じものでした。表面は最初のやつと全く同じスローガンの大書だけで、裏面も中段の「大阪都実現まで成長戦略は府庁・市役所統合本部で推進」云々の部分まで瓜二つ。唯一違うのが、最初のビラで「大阪都で外国人観光客や貨物取扱量がどれだけ増える、競争に打ち勝つためにどこそこに経済特区を作る」と書いていた部分が、そっくり「言い訳」に費やされている所です。

 曰く、《大阪維新の会 主な政策》と銘打って、
●「市役所から財源と権限を各地域へ、教育委員会分室や保健所支所を地域に設置します」(→教育委員準公選などの真の住民参加には背を向け、橋下言いなりの教育を強制し、保健所の統廃合を推し進めているくせに!)とか、
●「福祉サービスの充実、敬老パスを維持し私鉄でも使えるようにする」(→最初の選挙の時もそうやって子育てママの味方面して、当選したらいきなり児童文学館廃止や府立高校の統廃合を強行したんだっけ!)とか、
●「地域コミュニティを守る、現在の町会などの地域団体を維持する」とか、
●「交通局の民営化、水道の府市統合で、バス・地下鉄・水道料金を値下げします」(→国鉄や郵政もそうやって便利になると触れ込んで、民営化後は一転して利益至上主義に走った結果、JR福知山線事故やゆうメイトの過労死、郵便・貯金・保険とたらい回しにされ年賀状もまともに届かない郵便局になってしまったのに!)とか、
●「教育の充実、中学校給食・小中学校へのクーラー設置、学校運営協議会で住民の声を反映」(→私学助成カットで女子高生を泣かせ、住民をモンスターペアレント扱いしてきた御仁が、何を今さら歯の浮くような事を!)とか、
●「子育て支援の拡大、中学3年生までの医療費無償化」(→ここまで来たらもう完全にブラックユーモアw)とか、
●「それらを実現するために、地域自治区・地域協議会を設置し」云々(→既存の大阪市住吉区や堺市堺区などを併合した後、ハシントウ主席の下でチベット自治区とかに再編するつもりかw)とか・・・とまあ、こんな調子です。(注:下記画像の赤枠・矢印部分)

 もう言っている事が支離滅裂です。そういう意味では、橋下・維新は完全に守勢に回っています。情勢的には、反維新陣営のほうに流れが傾いています。



 そうであるにも関わらず、私が危惧を表明したのは、

(1)選挙は所詮「最初に言ったモン勝ち」。最初に争点を打ち出したのが橋下・維新陣営である以上は、その争点が実際にはどれだけ下らないものであろうとも、反維新陣営はその土俵に乗らざるを得なくなる。たとえそれを無視・否認しようとしても、「何故それが下らないか」という説明はしなくてはならない。その時点で、既に有権者からはそれが争点だと看做され、「下らない」と降りたにも関わらず「逃げた」と捉えられてしまう。実際には争点の下らなさが露呈しつつあるのに、橋下・維新がひたすらイメージ選挙で逃げ切ろうとしているのも、それで逃げ切れると踏んでいるからだ。

(2)最初に「失政隠しとしての大阪都構想、職員・教育基本条例」と書いたが、その失政はこれまで4年間の橋下府政によってもたらされたものだけではない。それ以前の平松市長も含めた歴代保守大阪府・市政によるものも多分にある。たとえばWTCへの府庁移転にしても、元々は80年代のバブル景気に便乗して、国・当時の保守府・市政が大阪湾ベイエリア開発を推進して、海を埋め立てWTCやATCなどの巨大ビルを作ったのが問題の発端だ。「橋下はその火中の栗をわざわざ拾い、今の国際化の波の中で、それを再生しようとしているのだ」「反維新陣営はそれを今になって自分だけ良い子ぶって批判しているだけではないか」と言われたら、自民・民主などは反論できなくなる。

(3)それに唯一反論できるのは、当初からその巨大開発に反対し、今も大資本本位の国際化やTPP、新自由主義に反対している共産党の梅田陣営だけだ。事実、梅田陣営は今もその立場から、平松市長を独自に応援しつつも、府知事候補の倉田氏については、橋下と同類の「ニセ反維新=隠れ維新」として不支持の立場を貫いている。しかし、たとえそうであっても、今の共産党の力では、選挙戦が維新vs反維新の様相を強めるに従い、第三極としての独自色は次第に陰を潜め、市長選では「平松の別働隊」、府知事選では「どっちつかず」として埋没するだけだ。その結果、大資本本位の巨大開発には反対の、本来なら共産党に投票するような人まで、逆に橋下・維新陣営のほうに押しやる事にもなりかねなくなっている。

(4)だから、橋下・維新に対して、単に「独裁」「橋下ファシズム=ハシズム」と批判するだけでは、それで反維新票を固める事は出来ても、態度未定者や橋下・維新シンパを反維新に転換する事は難しい。それでは、「改革すれば独裁者と呼ばれ、改革しなければ無能呼ばわりされる」「無能呼ばわりされるぐらいなら独裁者と呼ばれるほうを選ぶ」と嘯く橋下を、逆に「反自民のヒーロー」に押し上げる事にもなりかねない。

(5)それを避けるには、内田樹さんのブログにもあるように、単に橋下の「独裁手法」を批判するだけでは勝てない。橋下が「旧来の自民党よりも更に自民党的・右翼的」な超「ファシスト・新自由主義者」であるという、その「弱者の敵」としての「独裁本質」こそ完全暴露しなければならない。橋下が推し進めようとしている大阪都やWTC府庁移転も、途上国人民を低賃金で搾取し、先進国人民からも産業空洞化で職を奪い、地球規模での環境破壊を推し進め、先進国の財界や途上国の独裁者だけを肥え太らせるTPP(環太平洋経済連携協定)の枠組みに沿ったものである事を、誰にも分かる形で有権者に伝えなければならない。

(6)そうしてこそ初めて、「選挙に勝ちさえすれば何でも出来る」「学力テストの成績だけが全て」「ルールには無条件に従わなければならない」「私学にしか通えないのは生徒の自己責任」「儲かるなら風俗やカジノでもOK、後は野となれ山となれ」といった橋下の貧しい新自由主義、市場原理主義、経済・競争至上主義、拝金・弱肉強食思想の正体が暴露される。「独裁」「橋下ファシズム=ハシズム」が、全世界の1%の富裕層による残り99%の貧困層・中間層に対する搾取・抑圧・暴力であり、「旧来の自民党よりも更に自民党的・右翼的」な代物で、絶対に阻止しなければならないものである事も、有権者に理解されるのだが、それが今の平松支持の枠組みの中で、どこまで貫けるか。

 そういう危惧があるからです。それが杞憂に終われば良いのですが。


倉田陣営のWTC府庁移転失政批判ビラ。そのWTC(現コスモタワー)ビルの中に商工関係部局を中心とした大阪府の第二庁舎(咲洲庁舎)が入居している。


コスモタワー(旧WTC)や大阪市出先機関が入居しているATCのある咲洲(さきしま)、環境局の奇抜なデザインで有名な清掃工場や緑地が広がる舞洲(まいしま)、埋め立てが進行するも土地利用の目処も立たない夢洲(ゆめしま)の、三つの埋立地の位置関係図。


コスモタワー55階展望台から西側の舞洲・夢洲を望む。


同じく北東側の天保山大観覧車(左の河口部)や港大橋(右の赤い橋)、手前足元に広がるコンテナヤードを望む。橋下が震災で液状化の被害を蒙ったWTCにここまで固執するのも、ひとえにTPPを睨んでの事だろう。橋下や財界にとっては、TPPで途上国の人民がどれだけ低賃金で搾取されようが、自国の人民がどれだけ産業空洞化で失職しようが関係ない。儲けを資本家と途上国の独裁政権で分け合えればそれで良いのだ。その為の産業戦士(従順な将棋の駒)を育成するのが職員・教育基本条例なのだ。
コメント (2)
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