8月4日(金)の夜7時から豊中のアクア文化ホールで開催された「とことん追及!!森友学園市民集会」に行って来ました。
この集会の事はネットで知りました。「安倍晋三記念小学校」(瑞穂の國記念小學院)への国有地叩き売り疑惑から始まった森友学園事件では、ついに学園経営者だった籠池夫妻が補助金詐取の詐欺容疑で逮捕されるに至りました。しかし、悪いのは籠池夫妻だけではありません。籠池夫妻をそそのかし、幼稚園児に教育勅語や軍歌を暗唱させるような歪んだ右翼洗脳教育を全国に広めようとした安倍政権や、そのお先棒を担ぎ、問題の小学校認可を強引に進めようとした「おおさか維新の会」の松井府知事こそが、本当に裁かれるべき巨悪です。今、問題になっている加計学園の問題も、この森友学園問題の延長線上にあります。納税者・有権者として、この問題を決してウヤムヤに終わらせる訳には行きません。そこで、今後の捜査の進展がどうなるか、非常に興味があった事もあり、翌日も早朝から仕事なのに夜遅くまで大変な中ではありましたが、急きょ、私もこの集会に一個人として参加する事にしたのです。
仕事を定時に終え、会場の豊中市アクア文化センターには、夕方6時半頃に着きました。まだ開場まで30分あるにも関わらず、センター前の広場には既に大勢の人が集まり、入場整理券を発行する騒ぎになっていました。私の整理券番号は227番でした。平日の夜に、各駅停車しか止まらない駅前の文化センターでの開催なので、そんなに人は集まらないだろうと、高をくくっていたのが失敗でした。最終的には500人ぐらい集まったのではないでしょうか。それもこれも、「日本会議の研究」(扶桑社新書)の著者で、早い段階からこの問題についても取材してきた菅野完(すがの・たもつ)氏や、福島瑞穂など著名な野党政治家をパネラーにお招きしていたからでしょう。これらの人たちのネームバリューの大きさを改めて思い知らされました。
この集会を企画した「森友学園問題を考える会」発行のリーフレットに、この問題の経過が分かりやすく書かれています。私も読みましたが、本当に分かりやすいです。会に注文すれば1冊わずか50円で購入できます。大きさもA6版全8ページと小さく、いつでもどこでも手軽に読めます。皆さんも是非手に取って読んでみて下さい。
そのリーフレットによると、小学校建設予定地の国有地は、伊丹空港の騒音対策のため、地元の豊中市に無償で譲渡され公園になる予定でした。ところが、21世紀に入る頃から国は豊中市に対し、今まで無償だった土地を有償で買い取るよう迫るようになり、市は予算の都合で、仕方なく東半分だけを買い取り、防災公園にする事で国と折り合いを付けました。
では、残りの西半分は一体誰が買い取ったのでしょうか?それが森友学園でした。木村真(きむら・まこと)という無所属の豊中市議が、その経過を不審に思い、現地に行ってみると、まだ土地登記の移転も終わらず所有権が国にあるのに、もう小学校の建設が始まっているではないですか!その上、小学校の名前も戦前の旧字体で「瑞穂の國記念小學院」と、おどろおどろしく書かれ、「素晴らしい日本人の育成」「戦前の教育勅語を教育の柱に据える」なぞと書かれたポスターが張られています。そこで驚いて調べたら、森友学園の経営母体こそが、幼稚園児に教育勅語や軍歌を暗唱させる右翼洗脳教育で有名な塚本幼稚園でした。
しかも、国民の税金で賄われた国有地でありながら、土地の売買価格も非公表で、情報開示請求をかけても黒塗りの資料しか開示されません。そこで、裁判所に訴えて開示命令を出させて、売買価格を暴いたら、何と地価9億5千万円超の土地が約8億円も値引きされて、1億3千万余りで森友学園に売られようとしているではありませんか!
そこで、木村市議や共産党の市議が中心になって、前述の会の母体になる組織を作り、真相を次々に暴いていったのです。その結果、籠池夫妻が同じ右翼的な思想を持つ安倍政権に取り入り、安倍晋三の妻の昭恵が名誉校長に収まる事で(後に辞任)、普通なら借金経営の幼稚園に小学校の設立認可なぞ下りるはずもないのに、総理の意向で、近畿財務局や大阪府が、国有地の叩き売りに走ったのです。しかも、通常なら全額買い取りしかあり得ないのに、10年間分割払いの特例まで付けて、買い取り価格と同額に近い助成金まで支給して、実際は1億3千万どころか、わずか200万円のタダ同然の価格で叩き売られようとしていたのです!(拙ブログの過去記事参照)
この計画が明るみに出なければ、今年4月には問題の小学校が開校し、幼稚園だけでなく小学校も軍国主義教育のモデル校になっていました。ところが、この問題がマスコミに取り上げられ、幼稚園児が運動会で「安倍首相ガンバレ!」「安保法制、国会通過良かったです!」と選手宣誓する動画が拡散されるようになると、それまで森友学園を応援していた政治家が、今までとは打って変わって手のひらを返すように、いっせいに「籠池夫妻だけ」を叩くようになります。それが、この前の籠池夫妻逮捕に至るいきさつです。
市民集会は、「森友学園問題を考える会」所属の山本いっとく氏(共産党・豊中市議)による挨拶の後、菅野完(前述「日本会議の研究」著者)、杉尾秀哉(民進党・参院議員)、宮本岳志(共産党・衆院議員)、福島瑞穂(社民党・参院議員)によるパネル・ディスカッションの形で進みました。
まずは菅野氏の発言(要旨)から。
籠池夫妻による幼稚園児に対する洗脳・虐待教育で始まったこの問題も、今や安倍政権による籠池切り捨て・トカゲの尻尾切りで幕引きが行われようとしている。しかし、ただの右翼がかったオッサン・オバハンにしか過ぎず、ビジネス・スキルも何もない籠池夫妻に、国を相手にした詐欺師まがいの行為なぞできる訳がない。籠池夫妻は踊らされただけだ。詐欺の絵を描いたキアラ設計事務所や藤原工業(いずれも小学校の建設実務を担当)、大阪府私学課や松井知事(いずれも小学校を強引に認可)、近畿財務局の佐川局長(国有地叩き売り背任疑惑に対し、知らぬ存ぜぬでシラを切り通した功績により、後に国税庁長官に就任)、安倍夫妻こそが、本当の巨悪だ。
第二次大戦中に多くのユダヤ人を虐殺し、戦後は変装して南米に逃げたナチスの戦犯アイヒマンが、ついに居所を突き止められ戦争犯罪人として処刑されるようになった時も、実際のアイヒマンがただの凡人、小役人にしか過ぎなかった姿に、全世界が衝撃を受けた。この裁判の席で、アイヒマンは「私はただ上司の命令に忠実に従っただけだ」と言い逃れをしようとしたが、世間はそんな自分勝手な言い訳を許さなかった。アイヒマンは「人道に対する罪」で裁かれたが、安倍や松井などの本当の巨悪たちも、単に国に損害を与えただけでなく、「日本の法治主義、民主主義に傷をつけ、日本人自身の尊厳を傷付けた罪」によって裁かれなければならない。でないと、このままでは国税庁や政府自身が国民から信用されなくなり、誰もまじめに税金を払わなくなる。
次に杉尾秀哉氏の発言(要旨)。
私が国会でこの問題を追及するたびに、自民党の席から「いつまで、そんな重箱の隅をつつくような小さな問題にこだわっているのか!」「北朝鮮の問題は一体どうするのか?」と野次が飛んで来る。確かに、この問題は、かつてのロッキード事件や今の加計学園の問題と比べると、ワイロの額は桁違いに小さい。しかし「重箱の隅にこそ真実が宿る」。行政は一体どちらを向いて仕事をしているのか?国民の方ではなく官邸の方を向いて仕事をしているのではないか?これでは、公務員は国民全体の奉仕者ではなく、ただの「権力の犬」に成り下がってしまう。「絶対的権力は絶対に腐敗する」。安倍一人の独裁も食い止める事が出来ずに、北朝鮮の独裁やミサイルばかり言い募るのは、ただの目くらましだ。市民と野党による共闘の力で、安倍独裁を食い止めよう!
この後、宮本岳志氏の発言(要旨)。
森友学園問題の解説については、共産党の月刊誌「前衛」7月号にも記事を載せたので、良ければそちらも参考にして欲しい。この問題の核心は二つある。一つは、縁故政治、エコヒイキによる国有地の叩き売り。もう一つは、その事によって、とんでもない教育内容の小学校が危うく認可される所だったという点だ。今回の安倍内閣改造も、一言で言うなら「追い込まれ改造」「疑惑隠し改造」だ。加計学園の問題で官邸から圧力を加えられたと告発した文科省の前川喜平・前次官も、昔は国会で「教育勅語を教材として認めるかどうか」を巡って私と大論争になった。前川前次官ですら、かつてはアイヒマンのような「権力の犬」にしか過ぎなかったのだ。そんな人物でも、今や福島の講演では堂々と「安保法制は憲法違反だ」と言うようになった。それだけ時代は変わりつつある。
最後に福島瑞穂氏の発言(要旨)。
私が国会で加計幸太郎・理事長の名前を出したとたんに、安倍首相は血相を変えて「福島さん、あんた、そんな個人の名前まで出して、責任取れるのですか!」と恫喝してきた。でも、森友学園にしても加計学園の問題にしても、籠池さんや前川さん以外は皆「記憶にない、記録にない」「それは怪文書だ」「文書やデータは既に捨てた」と言うばかりで、「私はやっていない」と明確に否定した人物は誰もいない。それは、そんな事を言ってしまったら、後に決定的証拠が出てきた時に言い逃れが出来なくなるからだ。加計学園の問題にしてもそうだ。安倍首相は、今まで頻繁に加計理事長とゴルフや会食を繰り返しながら、今年1月20日に獣医学部の新設が正式に認可されるまで、加計学園からの申請内容を一切知らなかったと言い張っている。そんな見え透いた嘘を誰が一体信じるのか?言いなりになる奴はとことんかばうが、盾突く奴はとことん弾圧する。菅義偉(すが・よしひで)官房長官に鋭い質問を浴びせた東京新聞の記者に対し、長官は記者のスキャンダル探しまで命じて、言論封殺に躍起となっている。もはや安倍首相は「裸の王様」だ。こんな王様による「男たちの悪だくみ」「日本国憲法殺人事件」を決して許してはいけない。
もう、そうこうしているうちに、夜8時になり、福島氏は都合で退出しなければならなくなりました。その前に、野党共闘の更なる発展を願って、民進党・杉尾、共産党・宮本、社民党・福島の三氏で、エールを交歓し合いました。その後、残った二人と菅野氏、木村真氏の四人で、互いに机を引っ付けてディスカッションを続けました。その中で、菅野氏と杉尾氏が、次のように面白い事を言っていました。
安倍政権のほとんどの閣僚や、自民党議員の大半が加入し、野党議員の中にも構成員が少なからずいる、「日本会議」という右翼団体について。あの団体は右翼を自称してはいるが、実は「右翼」でも「愛国者の集まり」でも何でもない。ただの「左翼嫌い」の集まりにしか過ぎない。「日本会議」からすれば、今の安倍首相は、さしずめ左翼と戦う自分たちのヒーローだ。だから、安倍首相に少しでも歯向かう人物は、たとえ同じ自民党の中にいる野中広務や石破茂ですらも、「左翼」扱いされてしまうのだ。本当に右翼や左翼の事を勉強していたら、こんな定義に外れた事なぞ口に出来る訳がない。
それが証拠に、あれだけ幼稚園児に教育勅語を暗唱させていた籠池・前理事長自身が、自分では教育勅語を暗唱できないのだから。そういう意味では、教育現場への「日の丸」「君が代」強制に熱心だった石原慎太郎が、仲間内では「俺は天皇なんて嫌いだから君が代なんて歌わない」と言っていたのと、非常によく似ている。
加計学園は獣医学部だけでなくインターナショナル・スクールも経営しているが、そこで一体どんな教育をやっているかと言うと、日本とは何の関係もない白人や黒人にまで、意味も分からずに教育勅語を丸暗記させているのだ。
第三次安倍内閣(当時)の「日本会議・神道政治連盟」所属リストより
安倍晋三(総理)、麻生太郎(財務・副総理)、高市早苗(総務)、岸田文雄(外務)、松野博一(文科)、塩崎恭久(厚労)、山本有二(農水)、山本公一(環境)、稲田朋美(防衛)、今村雅弘(復興)、山本幸三(地方創生)、加藤勝信(1億総活躍)、丸川珠代(東京五輪)、菅義偉(官房長官)の各大臣が、日本会議と神道政治連盟の両方に加入。金田勝年(法務)、世耕弘成(経産)、松本純(国家公安)、鶴保庸介(沖縄北方)、石原伸晃(経済再生)の各大臣が神道政治連盟にのみ加入。
ところが実際の言動はというと、お騒がせ稲田朋美以外にも、「年寄りのくせに、いつまで生きているんだ」(麻生太郎)、「震災が起こったのが東北で良かった」(今村雅弘)、「学芸員はガン」(山本幸三)、「沖縄土人発言は差別ではない」(鶴保庸介)と、およそ道徳的ではないどころか、国民に喧嘩を売っているとしか思えない物ばかり。
軍艦マーチ 塚本幼稚園児が演奏する軍艦行進曲!愛国行進曲!森友学園・ 軍歌 自衛隊 カラーガードWarship March Gunkan March Kindergartener Japan
これは一体何を意味するか?いくら彼らが、「右翼」だの「保守派」だの「愛国者」だのと名乗った所で、そんな物はただの「ファッション、飾り、ビジネスの道具」でしかない。もしくは「自分は左翼ではない」という「存在証明、免罪符」にしか過ぎない。だから、「鳥インフルエンザ対策として加計学園などによる獣医学部の拡充が必要だ」と表向き口にしながら、系列大学の授業では、中学で習う英語のbe動詞や一次方程式のおさらいをしなければならないような、低レベルな形だけの講義でお茶を濁し、学生から高い学費だけふんだくるような、不道徳な真似が出来るのだ。他人には偉そうに「教育勅語」や「道徳」を説きながら、自分たちはハイヒール姿の遊び気分で自衛隊を視察し(稲田朋美・前防衛相)、国民の税金を食い物にするような真似も平気で出来るのだ。ここまで来たら、もはや「漫画」でしかない。
昔のヒトラー・ナチスも、実際の支持率は34%程度しかなく、他の保守派と連立を組まなければ政権に就く事が出来なかった。ナチスはそれを補う為に、自分たちに服従する奴には餌を与え、自分たちに歯向かう奴は徹底的に弾圧した。その結果、「自分は左翼ではない」という事を証明する為に、ナチス党への入党者が激増した…。まるで今の安倍政権にすり寄り忖度(そんたく)する風潮と、まったく変わらないではないか。
でも、そんな物はしょせん「砂上の楼閣」、ただの蜃気楼(しんきろう)にしか過ぎない。だから、「安倍首相ガンバレ!」「安保法制、国会通過良かったです!」と、幼稚園児を洗脳する軍国主義教育の姿が動画に流れ、自分たちの本当の姿があらわになったとたんに、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とばかりに、安倍内閣の支持率が急減してしまうのだ。そういう意味では、日本の世論はまだまだ健全だ。いくら自民党が憲法無視の政治を続けても、日本国憲法の精神は深い所で国民の間に根を張っている。でも、安倍政治を容認し続ける限り、今の日本も最後には昔のヒトラー・ナチスのようになってしまうだろう…。そう肝に銘じて、夜9時過ぎに会場を後にしました。