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運転休止前の南海高師浜線に乗って来ました。

2021年05月12日 18時12分00秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ

2021年5月22日から約3年間の運転休止を前に、久しぶりに南海高師浜線に乗って来ました。高師浜(たかしのはま)線は、大阪府高石市の南海本線羽衣駅から分かれ、伽羅橋(きゃらばし)駅を経て高師浜駅まで伸びる、わずか約1.5キロの短い支線です。日露戦争中の俘虜(ふりょ)収容所の跡地に開発された住宅地の通勤輸送の為に、大正時代に敷かれました。付近は高級住宅地であると共に、浜寺公園から伸びる白砂青松の海水浴場としても有名でした。その海水浴場も戦後は臨海コンビナートに姿を変え、高師浜線も、伽羅橋以遠は、府道堺・阪南線(旧国道26号線)の渋滞解消の為に、1970年に一足早く高架化されました。残る羽衣・伽羅橋間も、南海本線の高石市内高架化完成の後、5月22日からの高架化工事に伴い、約3年間、電車の代わりに代行バスが運行される事になりました。終着駅の高師浜駅は、高架後も昔の駅舎が保存され、窓のステンドグラスに往時の繁栄の跡を偲ぶことが出来ます。高師浜線の廃止論議が起こった時も、工場夜景のラッピング電車を走らせる等して、集客に取り組んで来ました。その努力が実り、高架化工事完成の後、再び電車が走り出す事を願っています。

高師浜線は羽衣駅2番ホームの南端にある切り欠け式の3番ホームから出ています。往年のズームカーを改造した2230系の2両編成が機織り運行で走っています。但し、午前5時40分(土・休日は41分)の始発電車だけは、住之江車庫からの回送の都合上、2番ホームから発車します。この地上の2・3番ホームも、5月22日からは高架上のホームに切り替わります。それを最後に、高師浜線は約3年間の運転休止に入り、その間は代行バス輸送に切り替わります。3番線への降り口には5月22日からの代行バスの案内パンフレットも置かれていました。

途中駅の伽羅橋へは羽衣から電車で約1分半で到着します。伽羅橋の駅名は、付近の芦田川に、昔、伽羅という名前の香木で出来た橋が架かっていた事から来ています。今はもうコンクリートの橋に付け替えられてしまいました。近くには羽衣浜神社もあり、昔はその横が海岸線でした。境内には砂丘遺跡の標柱も建っています。駅前には、浜寺の地名の元になった大雄寺という寺院が昔ここにあった事を記す石碑が置かれていましたが、残念ながら高架工事で撤去されてしまいました。また、駅前には銀装カステラの羽衣工場もあり、工場直営の喫茶店もあります。しかし、目ぼしい店はそれだけで、後は普通の住宅街しかありません。駅前の高架下には小さなアーケードがありますが、ほとんどシャッター街と化してしまっています。

終着駅の高師浜にも電車で約3分半で到着します。1970年の伽羅橋・高師浜高架化の際に、高師浜の地上駅の駅舎は取り壊される予定でしたが、「ステンドグラス窓のレトロな駅舎をぜひ保存してほしい」という地元の要望が聞き入れられ、駅舎は高架の階段の下に残される事になりました。駅前には日露戦争当時の俘虜収容所の解説板もあります。

 

ところで、高師浜線運転休止中の代行バスですが、確かに電車と同じだけの輸送力は確保されているようです。日中の時間帯は電車もバスも同じ1時間に3本のダイヤが組まれています。問題は朝夕のラッシュアワーです。電車は2両編成なので1時間に4本もあれば大丈夫ですが、バスは1台ずつなので、それではとても間に合いません。しかし、それについても、ラッシュアワーでは朝の上り(高師浜発羽衣行き)、夕方の下り(羽衣発高師浜行き)ともに1時間に7本ものバスダイヤが設定されています。(左上が今の羽衣発高師浜行き電車時刻表、右上が同じく代行バスの時刻表)

しかし、代行バスのルートを見ると、いささか不安になります。何故なら、代行バスは既存の道路を通らなければならないので、代行駅(代行バスの停留所)は今の駅舎からだいぶ離れた場所に移ってしまいます。高師浜の代行駅は、何と臨海スポーツセンターの敷地内に移動してしまいます。伽羅橋の代行駅に至っては、今の駅舎から離れた場所に、伽羅橋(南)と伽羅橋(北)の2つも代行駅を置かなくてはならなくなりました。代行バスの所要時間も、クランク状に遠回りを強いられる為に、電車では3分半で到達できていたのが、5倍の15分以上もかかる事になりました。

南海電鉄は、「今までと同じ運賃でバスに乗る事が出来、運行ダイヤも電車と同じぐらい頻発させるので、乗客に不便はかけない」と説明していますが、果たしてそれで大丈夫なのでしょうか?このままでは道路が大渋滞してしまわないか心配です。そうなると、高師浜線に並行して南海本線も走っているので、駅が遠くなった上に、渋滞にも巻き込まれる事になった利用客が、代行バスに嫌気が差して、マイカー通勤や南海本線の方に流れてしまうおそれがあります。実際、今の高師浜駅から高石駅までは、徒歩でも10分余りで着いてしまいます。羽衣駅にも、線路沿いの散策路をたどれば、20分余りで着いてしまいます。

高師浜線も、南海電鉄の他の支線と同様に赤字経営です。しかし、それでも、朝夕の通勤ラッシュアワーの時間帯は乗客で溢れかえっています。今でも1日3千人からの利用客を抱えています。その乗客が全てマイカーや南海本線に流れてしまったら一体どうなるでしょう?マイカーで渋滞に拍車がかかり、南海本線の混雑もますます酷くなります。ただでさえコロナで三密を避けなければならないのに、逆に密集をあおる事になりはしないか?

南海電鉄は、「工期短縮と工事費削減の為に、電車の運行を維持しながら高架工事を進める通常の工法ではなく、代行バス方式で工事を進める事にした」と説明しています。しかし、それがかえって高師浜線廃止の引き金になってしまわないか?非常に心配です。

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