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さざ波論法の嘘を暴く

2021年05月17日 21時57分05秒 | 新型コロナ・アベノマスク

 

今回は敢えて「怒りモード」で書きます。

「ご飯論法」という言葉を知っているだろうか?「朝ごはん食べたか?」聞かれて、パンは食べたがお米のご飯は食べていないので「食べていない」と答える受け答えの仕方だ。相手が聞いているのはあくまで「朝ごはんを食べたかどうか」であって、「お米のご飯を食べたかどうか」ではないにも関わらず。それを承知の上で、下らない言い逃れで時間稼ぎをする姑息なやり方だ。後でその噓がばれても、「自分はそんなつもりで言ったのではなかった」と、何とでも言い逃れが出来る。そうして野党の国会質問をかわし、時間切れで強行採決に持って行く。安倍政権の閣僚が何度もそうして森友・加計問題や「桜を見る会」私物化疑惑の追及を逃れて来た。

内閣官房参与を務める嘉悦大教授の高橋洋一が5月9日にツイッターでつぶやいた「さざ波論法」も、この「ご飯論法」と非常によく似ている。コロナ感染拡大で医療崩壊が起こり、緊急事態宣言が発出されても、まだ政府は五輪開催を強行しようとしている。医療崩壊のさなかに200人の医師と500人の看護婦を五輪にだけ派遣しようとしている。政府は「五輪対策とコロナ対策は両立する」と言っているが、現に医療崩壊が起こり、重症患者でも自宅待機のまま治療も受けられずに亡くなるケースが続出しているのに、なぜわざわざ五輪に予算や人員を割かなければならないのか?そんな余裕があるなら、自宅待機の患者を一人でも多く入院させるべきではないか?

それに対して、高橋は、日本と他の主要国のコロナ感染者数の推移を示した折れ線グラフを添付して、ツイッターでこうつぶやいたのだ。

―日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑

確かに、高橋の示した折れ線グラフを見ると、日本のコロナ感染者数の推移は他の主要国と比べると大きく下回っている。しかし、それは別に政府のコロナ対策が成功したからではない。①日本人の清潔好きな国民性、②土足で家に上がらない、普段からマスクを着用する、ハグする習慣もないなどの生活習慣の違い、③中国の武漢で最初に発生した、まだ変異を伴わない初期のパンデミック(感染爆発)の波が、他の欧米などの主要国よりも一足早く、近隣の韓国や日本に到来した…これらの偶然が重なり、次の変異株の感染まで時間稼ぎが出来たのが、たまたま幸いしたに過ぎない。

要は「感染が伝わるのが早かったか遅かったか」の違いだけだ。その間、日本政府のやって来た事と言えば、緊急事態宣言で国民を脅し付け、パチンコ店や飲食店を悪者に仕立て上げただけだった。肝心のPCR検査やワクチン接種は後回し。ピント外れな事ばかりやって来て、せっかくの時間稼ぎのチャンスも無駄に過ごすばかりだった。

最近はそれが徐々に裏目に出て来ている。コロナ変異株の直撃を受けた他の国々では、PCR検査とワクチン接種で、次第に感染を封じ込めつつある。最初は日本よりもはるかに多かったコロナ感染者数も、最近では次第に減少に転じつつある。それに引き換え、日本では逆に更に感染が広がろうとしている。このまま推移すれば、コロナ感染者数が逆に外国を上回るようになり、日本だけいつまで経っても自粛から抜け出せなくなる。既に大阪ではそれが現実のものになっている。(大阪府100万人あたりのコロナ死者数「インド超え」の衝撃!:日刊ゲンダイ

それ以上に許せないのが、数字だけ見て、実際の国民生活の窮状には思い至らない、高橋の冷淡さだ。三世代同居の家族全員が感染し、祖母は意識不明の重体、夫も寝たきり、息子だけはけいれん発症で緊急入院できたが、妻も妊娠でつわりが酷いのに、まだ症状が他よりもマシだというだけで、他の家族の面倒を見なければならない。酸素の呼吸量も緊急入院の基準を満たすほど悪くはないので入院できない…これが今、日本で実際に起こっている医療崩壊の現実だ。これを「さざ波」と言い放って「笑笑」と嘲笑できる神経がまず理解できない。

数字だけで見るなら、広島・長崎の原爆の破壊力も、後のビキニ水爆実験の威力の500分の1でしかない。いわば「さざ波」でしかない。だが、その500分の1の「さざ波」の下で、一体どれだけの人が焼け死んだと思っているのか?そんな事も分からない冷血漢が、内閣官房参与として、政権中枢にふんぞり返っているのだ。これがどれだけ異常な事か。いくら野党が頼りないとしても、こんな冷血漢にいつまでも政治を任しておいて良いのか?

大阪のオバちゃん連中の中には、「政治の事はよく分からないけど、菅さん周りから叩かれて何か可哀そう」という人もいるらしい。冗談言ってはいけない。本当に可哀そうなのは、コロナ重症者なのに入院も出来ずに自宅で亡くなって行く人たちだ。断じて菅なんかではない。このままではマジで皆、安倍や菅に殺されてしまう。

安倍や菅が人気取りや利権漁りの為に招致した東京オリンピック・パラリンピックなぞ、コロナが収束するまで中止すべきだ。オリンピックなぞいつでも出来るが、人は一旦死んだらもう生き返らない。オリンピック中止は違約金払えば済むが、人の命はカネでは買えない。五輪大臣の丸川珠代は「コロナ禍だからこそ人々の絆や連帯感を高めるためにもオリンピックが必要だ」と嘯くが、コロナにかかり、息も絶え絶えで苦しむ人や、失業し家賃も払えなくなった人を見捨てておいて、何が「絆や連帯感」か。オリンピックと人の命。一体どちらが優先か、誰が考えても分かる事だ。

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