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広島の反省抜きに「誰も見捨てない」と言われても

2021年05月02日 07時26分51秒 | 新型コロナ・アベノマスク
 
4月25日投開票の衆参補欠選挙、再選挙で野党が全勝した事は良かったが、これは自民党の敵失に助けられた部分が大きい。このまま野党が政権公約抜きに数合わせだけを先行させるなら、再び民主党政権の轍を踏む事になるだろう…前回のブログ記事でこう指摘しました。その後、参院広島選挙区再選挙の動向を調べ直してみて、更にその感を深くしました。
 
広島では野党統一候補の宮口治子氏とは別に、佐藤周一氏も、革新系無所属候補として出馬していました。彼の選挙公約を見ると、脱原発や格差是正など、宮口氏よりも更にリベラルな内容が掲げられていました。私はこれを見て、同じような公約を宮口氏も掲げる中で、何故、野党票を分断するような真似を佐藤氏が敢えて行ったのか?非常に疑問に思いました。
 
この佐藤氏ですが、実は2008年頃に、私ともブログ仲間を介して多少交流があった方なのです。その当時の記憶によると、確か広島県庁を退職した後、介護職に就きながら、介護労働者の待遇改善や格差是正を訴えて、県議選に出馬した事もあったように思います。当時、お仲間のブログの中でも、彼を応援しようという動きがあった事を覚えています。
 
しかし、当方は大阪人で先方は広島県人。遠方同士でネット限定の付き合いだった事もあり、次第に関係が疎遠になる中で、私は彼の事をすっかり忘れてしまっていました。その彼が何故、野党を分断するような事をわざわざしたのだろうか?調べて行くうちに、宮口候補の重大な弱点が見えて来ました。
 
まず、宮口候補の公約を彼女の公式ウェブサイトから項目だけ抜き出して幾つか下記に列挙してみます。
 
・多様性のある社会、みんなが生きやすい社会へ
・新型コロナを抑えて命も経済も救う社会へ
・市民感覚に一番近い政治へ
・女性の社会進出を推進
・子育て世代の不安を減らし、少子化対策を
・核兵器のない平和な世界の実現…。
 
佐藤周一候補の公約「やめる原発、ふせぐ貧困、なくす小選挙区制、核禁(核兵器禁止)条約発効の今こそ民主主義の原点へ」と比べると、文字数が多い割には内容が総花的で薄っぺらい印象を受けます。同じような事を何度も繰り返してダラダラ書き連ねている。しかし、その割には肝心な事が抜けている…そんな印象を受けました。
 
女性だから子育てに特化した公約を掲げたと、好意的に解釈出来ない事もないですが、それでも国政選挙の公約なのですから、消費税や原発政策についても言及があって然るべきなのに。核兵器廃絶は言っても脱原発は言わない。核兵器廃絶だけなら自民党候補でも言います。こと広島においては、核廃絶を言わないと絶対に当選出来ない土地柄なのですから。
 
それに比べ、脱原発や消費税廃止については言及がほとんどありません。これは、もう1人の広島選出参院議員の森本真治氏が国民民主党広島県連代表である事とも大いに関係があるように思います。国民民主党のバックには連合(日本労働組合総連合会)が控えています。連合は大企業正社員を中心とした労働組合の集まりです。その中には、UIゼンセン(流通業界の労働組合)のように非正規のパート従業員が多く参加する組合もありますが、この組合も執行部を握っているのは中間管理職の社員です。
 
だから、大企業正社員の利益擁護を第一に考えます。非正規労働者が首切られても正社員の雇用さえ守られればそれで良い。脱原発や消費税廃止を正面切って掲げて政府と対立するような真似はしたくない…そういう傾向も強くあります。加盟労組の大半が御用組合です。私が想像するに、佐藤候補は、それに反発して、野党統一候補がいるのも承知の上で、野党分断と非難されるのも覚悟の上で、広島の再選挙に出馬したのではないでしょうか?
 
だとすると、宮口候補が今まで通りの公約を掲げている限り、自公与党に勝つのは難しいと言わざるを得ません。消費税廃止も格差是正も言わない。そんな自民党と似たり寄ったりの候補者同士による「コップの中の争い」では、食うや食わずの非正規労働者が、投票所に足を運ぶはずありません。食うや食わずの非正規労働者にとっては、金権政治批判や子育て充実、脱原発や核兵器廃絶よりも、消費税廃止や格差是正の方が、はるかに重大な関心事なのですから。
 
そう思った私は、何人かの知人に、佐藤氏の立候補が野党票の分断、利敵行為に当たるのかどうかを聞いてみました。その知人の中で、実際に佐藤氏に何故立候補したのか聞いてくれた人がいました。やがて佐藤氏から返事が来ました。
 
その返事によると、佐藤氏が立候補を決意したのは宮口氏が出馬表明をするより前だったそうです。ところが、立憲・共産・社民・れいわ新選組の野党各党に推薦願を出しても、どの党からも無視されたそうです。最初、野党は郷原信郎弁護士に出馬を打診していました。しかし、郷原氏が出馬を固辞した為に、立憲民主党を中心に、フリーアナウンサーで地元FM局の司会を務めた事のある宮口氏を擁立する動きが広まりました。野党としては、一介の市民活動家に過ぎない佐藤氏よりも、知名度に勝る宮口氏の方を、候補者に擁立する事を選んだのです。
 
選挙は勝たなければ意味がないので、この野党の選択はやむを得ないものと思われます。しかし、幾ら無名の候補者と言えども、何も無視する事はないでしょう。佐藤氏は、宮口氏が野党統一候補に決まった後も、公開討論会で政策の一致が見られれば、自身の出馬を取り下げると表明していました。ところが、野党各党は、その公開討論会の申し出も無視してしまったのです。
 
遂に、佐藤氏は引くに引けなくなり、参院広島選挙区の再選挙に出馬する道を選びました。供託金も市民にカンパを募って集めたそうです。結果は、6名の候補者の内で、宮口・西田の両有力候補に次ぐ第3位につけたものの、得票は前二者よりはるかに少ない2万票余りにとどまりました。
 
でも、「どちらが野党統一候補としてふさわしいか?」を考えると、呉越同舟で脱原発や消費税廃止についてもあいまいな宮口氏よりも、介護労働者として格差是正を訴え、原発反対運動にも参加された佐藤氏の方が、よりふさわしかったように思います。ところが、野党は最終的に、知名度に勝る宮口氏の方を候補者に選びました。私もその選択はやむを得ないものと思います。
 
しかし、せめて公開討論会だけでもやるべきではなかったでしょうか?公開討論会もなしに、無名の候補だからと無視されたのでは、幾ら宮口氏が「誰も無捨てない」と公約に掲げても、誰も信用しなくなると思います。野党がこの事を真摯に反省しない限り、幾ら自民党が失政を重ねても、野党に政権が回ってくる事はないでしょう。私も野党共闘を支持する立場ですが、今回は敢えて辛口の評価を下さざるを得ませんでした。
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