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供託金制度を廃止せよ!

2023年04月23日 09時14分00秒 | 統一教会と安倍国葬の是非を問う

 

和歌山で岸田首相に爆弾投げた容疑者のツイッター・アカウントをフォローしました。「『被選挙権年齢・選挙供託金違憲訴訟』広報」というアカウントです(アドレスはhttps://twitter.com/hisenkyoken)。「選挙権は満18歳以上の成人全員に付与されるのに、被選挙権は満25歳以上にならないと付与されない。しかも、出馬するには高額の供託金を用意しなければならない。これらは全て参政権を保障した憲法に違反している」と言うのが、このアカウントの主張です。

勿論、私は容疑者のやった事は肯定しません。また、容疑者の主張の中の被選挙権年齢の制限についても賛同出来ません。「同じ成人なのに24歳以下は選挙に出馬出来ないのは憲法違反だ」との主張ですが、それは有権者の社会経験の有無を踏まえた上で課せられる制約であり、満25歳以上になれば誰でも出馬出来るようになるのですから、別に目くじら立てて騒ぐほどの事でもないと思います。

確かに、選挙の制約は出来るだけ無い方が好ましいですが、そんな事に目くじら立てて騒ぐよりも、他に先に改善しなければならない課題が山積しています。国政選挙における小選挙区の弊害や、選挙区ごとの1票の格差の問題、戸別訪問の禁止などの行動制限、政党助成金や次に述べる供託金制度の問題点、等々。それらの弊害を除去する方が優先です。その後で、被選挙権の年齢制限についても見直せば良いと思います。

但し、容疑者の主張するもう一つの論点である供託金の廃止については、私も常日頃からそう思っていたので、こちらは全面的に賛同します。供託金制度が設けられた表向きの理由は、当選を度外視した売名目的による出馬を制限し、候補者乱立を防ぐ為です。しかし、売名行為であるか否かを判断するのは、あくまでも行政ではなく有権者であるべきです。有権者が売名行為だと判断すれば、そんな候補者には投票しなければ良いだけの話です。もし、そんな理由で行政による介入を許してしまえば、売名行為取り締まりの名目で、幾らでも言論弾圧が出来てしまいます。

日本で供託金制度が創設されたのは1925年です。当時、大正デモクラシーの風潮の下で、普通選挙実施を求める運動が盛り上がりました。その中で、国が普通選挙実施と引き換えに、治安維持法とセットで、労働者の政治参加や無産政党の進出を抑える為に、導入されたのが供託金制度です。選挙出馬に際して高額の供託金を用意しなければならなくなった事で、労働者や一般庶民は簡単に出馬出来なくなり、政治が「一部の金持ちの道楽」と化してしまったのです。その結果、ブルジョアジー(資本家階級)や皇族・華族の利害を代弁する政党や政治家だけが幅を利かすようになり、それを暴力で打破しようとする軍部やファシストの台頭を招いてしまったのです。

だから、今でも日本だけが選挙出馬の際に高額の供託金を用意しなければならないのです。こんな国は先進国の中では日本だけです。ドイツやフランス、米国には、そもそも供託金の制度自体がありません。その他の供託金制度のある国でも、用意しなければならない供託金は精々数万円程度です。ところが日本では、国政選挙に出馬するには小選挙区で300万円、比例区になると600万円もの供託金を用意しなければならないのです。

その結果、政治が庶民から縁遠いものとなってしまい、一部の政治屋による道楽と化してしまいました。世襲候補やタレント候補が、企業や労働組合などの組織票や、宗教団体の動員票、実際は有権者の3割程度しかいないとされる岩盤支持層の票だけで、楽々と当選できるようになってしまいました。

その典型が先の参院東京選挙区における生稲晃子の当選です。元おニャン子クラブの知名度だけで、政治の事は何も知らない生稲晃子が、何故、参院東京選挙区で大量得票出来たのか?統一教会の支援があったからです。そして、本日投開票される衆院山口2区の補選でも、演説もまともに出来ない岸信千世が、安倍晋三の祖父である岸信介の孫で、安倍晋三からすれば甥に当たるという事で、それを家系図にして、わざわざ選挙ポスターに掲げて、安倍晋三の弔い合戦で逃げ切ろうと目論んでいるのです。

高額の供託金制度がある為に、一般庶民が政治から排除される一方で、世襲候補やタレント候補は、たとえ供託金制度があっても、金に物を言わせてバカでもチョンでも当選できてしまうのです。これでは選挙の投票率が年々低下するのも当然です。本当に投票率を上げたいのなら、有権者に投票を呼び掛けるより先に、政治参加を阻んでいる障害を除去すべきです。供託金制度は売名防止の為ではなく、一般庶民の政治参加を阻止する為にあるのです。こんな制度は百害あって一利なしです。だから、たとえ首相狙撃の容疑者でも、言っている事はその通りなのでフォローする事にしました。

しかし、これは容疑者の行動を肯定する事を意味しません。供託金廃止の主張を考慮しても、容疑者の行動には謎が多いです。例えば、供託金廃止の違憲訴訟を、弁護士も雇わずに本人訴訟で進めようとした点について、私は全く理解出来ません。素人が弁護士も雇わずに国家権力相手に裁判やって勝てる訳がないでしょう。そんな事するぐらいなら、既に供託金廃止を求めて違憲訴訟を進めている弁護士の方々もおられるのですから(例えばこちらの団体など)、その方の支援をする方がはるかに現実的です。

また、いきなり高額の供託金を用意しなければならない国政選挙に出馬するのではなく、少額の供託金(15万円)で済む市町村議選からスタートして、そこで政治家としての経験を積み、人脈を培いながら、やがて国政進出を目指した方が、はるかに現実的です。地方の中には、過疎化で議員の成り手がおらずに、無投票当選を繰り返している市町村も少なくないのですから。身近な地方の課題も解決出来ずに、国政の課題を解決出来る訳がない。

以上述べたように、容疑者の行動にはいまだに謎が多いです。容疑者の主張についても、賛同出来ない点は少なくありません。これらの疑問点については、容疑者が弁護士と接見を果たし、黙秘を解いて口を開き、裁判で真実が明らかになるに連れて、徐々に解明されていくでしょう。それでも、供託金廃止の主張については、私もその通りだと思います。その法律の不備を何も批判しなかった者に、容疑者を非難する資格はないと考えます。

コメント (2)
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