東北アルパインスキー日誌 ブログ

東北南部の山での山スキー、山歩き、山釣りなどと共に、田舎暮らしなどの話を交えながら綴っています。

沢屋天国の仙台

2006年09月08日 | 沢登り

毎年この時期すっかり山は遠ざかってしまい、月1回の沢登りだけは死守しょうとしたがこれも次第に危うくなって来た。今年の夏は雨が少なくて水量の少ない沢は迫力に欠けるが、むしろ朝日山系のエリアなら雪渓も落ち付いてきてむしろ登り易いかも知れない。

しかし最近の沢を歩いて思うのは他のパーティーに会う機会が少なくなった事だ。自分らで選んだ沢は比較的ポピュラーな沢で、ひどく困難な沢でもなくまたアプローチにも恵まれている方だが、沢の中で他のパーティーと出会う事は少ない。静寂を好む私としてはむしろ喜ばしいのだが、でも殆ど人気の無い沢も何か物足りない。原因はどうも沢屋サンの人口が以前と比べ少なくなった事と、情報不足の為か特定の沢のみしかトレースされない為だと思うのだが。

20~30年ほど前の山岳会では沢登りは必ず教育プログラムに有り、岩登り(アルパインクライミング)、冬山、山スキーが必須の科目だった。例えば仙台の山屋さんは春の鎌倉山での岩トレに始まり、夏の沢登り、秋は黒伏山、猿岩などのクライミング、冬は山スキーという様な年間スケジュールが常識。つまり沢登りは山岳会の活動の基盤をなす要素であって、逆に言えば会山行という名目の半強制的な山行スタイルだったし、またそれが当たり前と思っていた。つまり良くも悪くも会に入った限りは団体活動が当然で、勝手に好き嫌いを言える雰囲気では無かった。

したがって仙台での沢屋人口は多くて裾野も広く、あちこちの沢で他のパーティーと遭遇して賑わっていた。また今のよう極端に人気の集中する沢もなく、各自の技量とメンバーの編成により幅広いエリアに活動の場が有り、また地域研究などでクリエイティブな活動を行う山岳会もあった。

でも最近は時代の変遷と共に様変わりし、フリークライミングあるいはインドアクライミングなどの選択肢が増え、沢屋サンは次第に少数派へと転落していった。特にフリークライミング志向の強い人のには、滑る岩、泥まみれで不安定草付き、鬱陶しい薮との格闘は嫌われ、最初から相手にされない雰囲気がある。それに伴って次第に高齢化が進み、一時は沢登り=中高年の世界というイメージさえあった。

まして沢登りはフリークライミング等と違い、気軽にスクールに入って始める事も難しく、また受け入れてくれるところも少ないので取っ付き難い。いまさら山岳会の門を叩くのも億劫だしまた山岳会も弱体化している。かつての沢屋サンは私と同世代位の方も多いと思いますが、現役を退いた後は後継者が育たず、世代間のギャップが開いたのだと言う気もします。勿論今でも活発な活動をしている全国区の有名な某山岳会も有るが、会報は出ている様だが残念ながらネットに流れていない。

残念なのは沢の持つ素晴らしさと感動を紹介する機会が少なく、特に若い方の興味を引くきっかけが無いのは残念です。特に東北に限っては山歩き系のサイトは多くなって来たが、沢情報を発信するサイトはまだ少ない。仙台などでは沢を登っている方は少なくないと思いますが、その割にはブログを初め記録を見ることは稀。自分でも沢山行が少ないのであまり言えた事ではないが、殆ど自己満足のつまらぬ記録でも何らかの参考になればとればとも思う。

考えてみればここ仙台は沢屋、釣師にとっては実に恵まれた環境だ。早朝に自宅を出発すれば日帰りには十分間に合う。蔵王、二口、栗駒、虎毛、神室、船形などの手頃な沢を初め、本格的な朝日、飯豊は高速を使わず2~4時間の距離。高速を使って北に足を伸ばせば焼石、和賀、白神なども苦にならないようだ。地元にいると以外に気が付かないがここは沢屋天国で、かつて宇都宮にいた時は時には仙台が羨ましいと良く言われた。

最近の東北の沢は地元勢が影を潜め、首都圏からの沢屋サンが一部の有名な沢に押しかけ、雑誌情報などには特に敏感になっているらしい。マイナーな沢を好む地道な会も有るようですが、有名な沢以外にもまだまだ素晴らしい沢が多く、もうちょっと情報を集めて頂きたいとも思う。そういう意味では元気な地元沢屋サンからの、情報発信力の優れたネットの活用を期待したいものです。

コメント (3)
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