雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

雨宮日記 6月7日(木) NHK「オウム特集」から菊池さん・高橋さん

2012年06月08日 05時45分20秒 | 雨宮日誌

雨宮日記 6月7日(木) NHK「オウム特集」から菊池さんの逮捕・高橋さんの追跡について

 6日夜に、NHKテレビの「未解決事件ファイル№2 オウム真理教」の3回にわたる放映録画をいっきょに、則子さんと一緒に見ました。

 弟子の暴走という説のあったオウム武装化について、番組は麻原さんの説教テープ700本と、元女性幹部の内部からの証言、じょうゆうさん(「ああ言えばこう言う、こう言えば上祐」と言う、あの上祐さん)など元幹部の手紙や証言、警察幹部の聞き取りなどから、事態をリアルに追っています。

 番組は、戦慄する出来で、たくさんの方に見てもらいたいと思いました。ぜひ、本にもして欲しい。

 サリンなどのオウム武装化は、教祖の麻原さんが元々計画したことで、出家信徒たちの意識では、それは偶然、突然死した信者を秘密に火葬して埋葬したこと、翌年には教祖に反対して脱会しようとした幹部信者(前年の志望信者を秘密火葬したのにかかわった)を「ポア」という名の殺害して秘密に火葬したこと。それがきっかけのようです。

 生物学者・福岡伸一さんの本で「内部の内部は外部」という話があって、つまり人体で言うと口から肛門に至る消化管は、人間にとっては内部にあるようにみえるけど、内部の内部へ入り込んだ外部です。

 つまり一つの組織の内部に異質な「内部」ができて、それを「消滅」させることは、一つの組織でその外部を消滅させることに等しいです。

 一つの組織の仲間を「異質分子」あるいは「反抗者」あるいは「スパイ」として処理(殺す)することができるようになれば、もうその組織は外部の反対者を平気で処理することができるようになります。

 内部の仲間でも処理したのですから、外部の最初からの異質分子を処理するのはもっと簡単です。

 上祐さんの告白が印象的でした。上祐さんは、麻原さんから「ポアする側になるか、ポアされる側になるか」脅迫されて、警察に駆け込む勇気がなくて、初期の「サリンプラント」の責任者を村井さんに交代するまで務めたのです。

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 そして菊池さんの逮捕と、高橋さんの逃亡を追う、マスコミの報道を聞いて考えたこと。とにかくオウム逃走幹部は極悪人なのだ、そういう偏見からすると、逃走中の菊池さんや高橋さんの人間像とオウム凶悪犯とのズレ・乖離が顕著ですね。マスコミは気づいていないようです。

 そして、どうでもいいような高橋さんが電車の駅のカメラに写っていないとか、アホかと思います。

 二人とも、まるで一般人のように静かに暮らしていたとびっくりしていますが、オウム幹部は一般人とは大違いの凶悪な悪魔のような人間だという、重大な誤認ですね。そうすれば自分たちは違うんだ、という安心感が得られるからでしょうか。やはりマスコミも含めて日本社会のかなりの部分が、おかしくなっていると思います。

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 菊池さんも去年、実は警察に、似た人がいると通報があったのに、警察はとりあげなかったようです。警察の動脈硬化というか、「事件にならなければ取り上げない」失態が目立ちます。このことは、NHKテレビのオウム特集でも同じような問題がすでにあったように思います。松本サリン事件以後、長野県警と神奈川県警で松本サリン事件はオウム真理教が起こしたという原料ルートの証拠が捜査で見つかっていたのに、警視庁はついに決断ができずに、地下鉄サリン事件を起こしてしまいました。

 DVでも、まとわりつき犯でも凶悪事件が起こらないと動かない警察、松本サリン事件のような凶悪事件が起きても動かない警察。何かがおかしいですね。