新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

がん登録法制化:いいことだと思いますが、現場を圧迫するようにはしないでくださいね

2012-04-14 16:06:34 | 医療

これは軽い突込みだけ

 

超党派議連、がん登録法制化で一致- 患者会、医学界から法整備求める声
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37014.html

 超党派の国会議員でつくる「国会がん患者と家族の会」(代表世話人=尾辻秀久・自民党参院議員)は12日の総会で、国ががん登録を推進する制度の法制化で一致した。個人情報を保護する仕組みなどを詰め、早ければ関連法案を今通常国会に提出する。国のがん対策推進協議会(会長=門田守人・がん研有明病院長)が3月にまとめた2012年度からのがん対策推進基本計画の厚生労働省案には、がん登録について、「法的位置付けの検討」などと盛り込まれていたが、国によるがん登録制度の制定に向け、前向きに動き始めた。

 がん登録に関しては、これまで健康増進法の努力義務による都道府県の「地域がん登録」と、がん診療連携拠点病院による「院内がん登録」の二つの体制で進められてきたが、全国規模の登録でないため、正確ながんの罹患数や生存率、治療効果などが把握しづらいとの指摘があった。がん登録を国の事業にすることで、がん情報の精度を上げ、がん研究など、将来のがん対策につながると期待されている。

 この日の会合では、がん患者や家族から意見聴取し、国が主体となり、がん登録を進める制度の課題などについて議論した。患者代表として発言した、NPO法人グループ・ネクサスの天野慎介理事長は、「希少がんや小児がんを含めたがんの正確な罹患状況を把握し、がん医療の向上を図るために早期制定を要望する」と強調。医学界代表として出席した日本医学会の高久史麿会長は、「がんの予防、診断、治療にがん登録は非常に重要だが、日本の現状は不十分」として、法整備を急ぐよう求めた。

 出席議員からは、国によるがん登録制度を創設した場合のメリットとデメリットを整理する必要性や、個人情報保護の徹底を求める意見があったが、法整備自体に異論は出なかった。この超党派議連の世話人である鴨下一郎・自民党衆院議員は、「(がん登録で)患者会、議員が同じ方向を向いている。医学界からも求められれば進めない理由はない」と述べた。

 同議連で事務局長を務める梅村聡・民主党参院議員は、総会終了後に記者会見し、「まだ決まっていないが、(国によるがん登録の関連法案は)超党派の議員立法で提出することができればと考えている。きょうの会合は、野党議員から超党派で進めようとの意見も出たので、大きな前進だった」と総括した。

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ちなみにこの辺の話はこちら
 
一応、僕もこれを整備して大きなデメリットはないかと思いますが一つだけ。
 
現場を圧迫するようなシステムにだけはしないでください。細かい報告がいるようなものだと結構きついような気がします(全例報告となれば…ですけど)
移植の報告とか大変なんですよ・・・・orz
 
 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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医療基本法を提言:全自病の暴走に見える(その前にやってほしいこと)

2012-04-14 15:09:12 | 医療

こんにちは

 

昨日は日本内科学会に参加しておりました。主目的は総合内科専門医のPointをゲットすること・・・(汗

そして勉強となる情報があるかどうかと、本ですね。必ず本屋が展開してますので、新しい面白そうな医学書がないかを見に行っています。

 

毎年この時期は5~6万円分買ってしまうのですが(おかしいだろ!)、今年は・・・・結婚したし、控えめに。移動・宿泊だけでも5万くらい使っているから・・・

ということで、最小限の欲しいものだけ買ってきました

 

さて、本日はこちらの記事を紹介します

 

医療基本法を従事者偏在解消の根拠に- 全自病が提言へ

 全国自治体病院協議会(全自病、邉見公雄会長)は12日の記者会見で、医療従事者の地域偏在などを解消する法律の根拠法とするため、医療を国民の共有財産と位置付ける「医療基本法」を提言していく方針を明らかにした。

 中島豊爾副会長は、「例えば、総合診療ができるようにするため、研修医を田舎の小さな病院に派遣する法律を作ろうとしても、今はその根拠となる法律がない。そういう個別法を作りやすくするためには基本法があった方がいい」と述べた。また邉見会長は、「医師の地域や診療科間の偏在は、都道府県が(対策を)やれと国は言うが、10年間何も解決していない」と指摘した。

 末永裕之参与は、日本医師会の「医事法関係検討委員会」が医療基本法の草案を作成し、3月に当時の原中勝征会長へ答申したことを引き合いに出し、「医師会の提言は、医師と患者の信頼関係に主体が置かれていたが、病院には、いろいろなメディカルスタッフがいる。医療だけでなく、介護にも影響が出るかもしれない。そういうところまで含めて提言していくべきだ」と述べ、病院団体が同法を提案する必要性を強調した。

 ただ、中には医療行為が制限されるのではないかと懸念し、医療基本法に慎重な役員もいるという。全自病ではまず、同法の内容に関する意見を集約し、“たたき台”の作成を目指す。

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持論を展開させていただきます。

 

全国自治体病院協議会の考えを真っ向から否定するつもりはありません。僕も何でも見れるべきだと思いますし、総合医の養成は必要だと思います。

ただ、昔記事にも書きましたが病院総合医というものにこだわりすぎているように思います。

病院総合医ってなんだろう(総合内科専門医との違いは何?)

病院総合医のビジョンは?:どこまでやって、どこで引くのか?

ちなみに下の記事はもともとの引用文献(CB)です。

全自病、病院総合医を専門医の一つに- 邉見会長「医師不足と地域医療の救世主」

 全国自治体病院協議会(全自病、邉見公雄会長)は25日に記者会見を開き、病院の中で、臓器・疾患を問わず幅広い患者に対応できる「病院総合医」を、専門医の一つに位置付ける方針を示した。邉見会長は、医師と患者の両方で進む専門医志向が、地方の医師不足を深刻化していると指摘し、「病院総合医が、医師不足と地域医療の救世主になり得る」との見方を示した。

 現在、厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」は、専門医認定制度の見直しを検討しており、総合医の位置付けも論点の一つになっている。全自病から同検討会に参加している委員をバックアップするため、全自病は同日の常務理事会で方針を決定した。

 邉見会長は、医師が専門領域以外の患者の診断を拒否したり、患者が専門医の受診を要求したりすることが、「地方の医師不足に輪を掛けている」と強調した。
 また、医師も患者も、総合医より専門医を志向する傾向があるのが、総合医を目指す医師が増えない原因と指摘。中川正久副会長は、「地域で必要とされているというメッセージを出しながら育てていくべきだ」と述べた。

 厚労省の検討会では、総合医を「基礎領域」に位置付けて、その専門医資格取得後に、循環器内科や血液内科などの「サブスペシャリティ領域」取得を目指せる制度が検討されている。これに関し、邉見会長ら複数の役員からは、総合医の教育方法や、サブスペシャリティ領域の必要性などを、今後の検討課題とした上で、サブスペシャリティ領域を作るなら、「ホームドクター」や「看取り」など、総合医の専門性に即したものにすべきとの意見が出た。

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前も書いたかもしれませんが、専門以外の患者を拒否する状況は「専門医でもないのに患者を診て~~」という訴訟が起き始めてから「診ていた人」も診なくなったのだと思います。僕もここから先は紹介という線引きを決めています(まぁ、専門医から「できるでしょう。バックアップはするから。基本的に任せた」と言われたときは、専門医に紹介したという大義名分のもと自分でやっていましたが)。

 

今回は総合医育成のために田舎の小さな病院に研修医を派遣と書いていますが、その小さな病院で昔ならいざ知らず今のご時世で教育ができるのか。また、確かに診療所クラスでもいろいろな患者を診ることがあります。僕も職場の医務室で急性白血病、緊張性気胸、アナフィラキシー、小外科手技が必要な外傷などなど、いろいろ診ました。ただし、基本的に特別な疾患があるわけではないと思っています。僕も血圧とか生活習慣病の説明しますよw

逆に専門病院のような場所で診るようなものを今後見もしない研修医が診る意味があるのかと言われれば、それもごもっとも。研修医はそれを糧に変えることはできないかもしれません。ただし、バック(専門医療)のことを知らなければ初期診療や診断だけではよい研修ができないかもしれませんので、必要な知識だと思います。まぁ、基本的に学ぶことができる人間は、どこででも何かを学ぶものですが

 

まぁ、それはともかく。僕が気に入らないのは確かに国は何も決めてこれてないし、これからも決められないかもしれない。ただ、一部の団体が「これが最も正しい」というような形で暴走するのが気に入らない

この考えは「自治体病院の集まり」という部署が考えたもの。他の人たちの意見は入っていない。本当に国民全体を見ているのだろうか。自分たちがかかわるところだけではないのだろうか

そう思ってしまいます。

 

今は医師不足なんです。間違いなく偏在ではなくて。

 

先日も書きましたが、医師が少ない以上「集中運用」しなくてはならないと思います。総合(内科)医だけでは初期診療や大まかな診療はできるが、今後進んできてる「オーダーメイド治療」などはできるわけもない。本当に将来の運用、人数がこのままいくと本当に足りるのか。総合内科医を育成して、その後サブスペシャリティとしてという考えで日本の医療は成り立つのだろうか・・・とか。僕の中のイメージでは・・・・裂溝ができるようなw

 

僕だったらという前提で先日も書きました(医療の質か費用対効果か:どちらかしか選べないのか?)が、基本的に専門医よりも総合医が多い方が良いというのは同感ですが、総合医を養成するために法律を作るとかいうのは、言っているのが「全自病」だけに気に入らない。法律なんてつくってしまったらすぐに変えられないんだぞ…と言いたい。

 

法律を作る前にやってもらいたいことは

1、自分たちと同じ理念ではなく、正反対に近い理念を持つ団体と協議する

2、日本全体の医療の運用に関しても考える(限られた医療資源をどういう風に運用するのか。そこが決まらなければ話にならない)

3、それをすべて検討したうえでビジョンを示す

 

どこでもそうだと思うのですが、何故全体の運用が決まらないのに個別の話が勝手に進むのかと言いたい。

目指すビジョンがなくて、どうやってそこに向かうのか。行き先がわからなければ、追い風も向い風もない

 

 

そんなことをこの記事を見ながら思いました。

 

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