さて、続けます
今日が医学部新設のパブリックコメント募集最終日です。その問題に関してMRICでのこちらの記事を紹介します。
http://medg.jp/mt/2012/01/vol363.html
全文ではなくて、いくつか気になったところを抜粋していきます。抜粋しているので、どうしてもマスコミ同様、僕の目線で見られたものです。ぜひとも本文もご覧ください。
「だから私の意見は、「私は、私との協働者と、私の医療を実践するだけだから、はっきり言ってどちらでもいいが、これからの時代を考えれば、少ないより多いくらいの方が、世の中にとってはいいのではないか」という、その程度である。それは、「医者が多くて困る人は誰もいない」という、極めてシンプルな理由である。仮に困る人がごくごく僅かにいたとしても、「国会における大切な法案でさえ、過半数を少しでも上回れば決まるわけだし、圧倒的多数の人々が喜ぶのなら、それをしない手はない」という単純な理屈」
「技術的に有能な医師が、軽症患者の診療までカバーしているから現在の医療が破綻しているわけで、"数"が充足されれば、相当な部分で"質"も保証されるということである。「医師を増やすか増やさないか」、「医学部を新設するかしないか」などの議論は、その程度の認識で構わない」
「医学部新設に対して、「きちんとした医学教育が提供できないために、底辺私大と同程度の学力になってしまい、将来、医師の品格の低下を懸念する」という理由で反対しているのならば、少し異論を唱える。どの業種でも言えことだと思うが、"人数"に対して"質"は概ね正規分布する。医学部を増やせば、なぜ低質な医師(だけ)が増えると言えるのだろうか。逆に、少数であれば精鋭と、誰が保証できるのであろうか。」
「良質な医学教育というのは、教員の頭数だけで達成できるものではけっしてないと感じているし、要は教員の熱意以外にないと思っている」
「新設医大で働くことになった教員は、自分の持てる最大の能力を持ってして、診察や教育にあたるのではないか。むしろ、新設医大は、これからの大学のあり方のロールモデルになるような気がする。
それでもなお、財政的な問題や手続きの問題を指摘する向きもあると思うが、ここではっきりさせなければならないことは、要するに医学部新設は、「医科大学、あるいは大学医学部を創り変える」ということを目指さなければ意味がない。さらに、それを契機に「医療の仕組み自体も大きく変換させる」という意図を含ませなければならない」
「医学部の新設は、医療サービスを向上させるだけでなく、金と人との流れをより活発化して、経済成長も促す投資効果のきわめて高い産業である。しがらみのない新設医学部の方が、画期的な人材育成システムも構築しやすい。大胆な発想を有する教員を集めて、ゼロから医学部を創った方が、これからの社会ニーズに呼応する医師を育てられるかもしれない」
「医療ニーズには際限がないので、そうしたことは杞憂に過ぎないと思われるが、百歩譲って、確かに将来医師が余った場合に、私たちはどうするであろうか?答えは明白である。仕事のある場所を求めるか、医療職としての範囲を広げるか、そのどちらかである。しかし、それが、医師の将来に陰を落とすことになるのか。私は、そうは思わない」
「これまで日本の大学病院医師は、大学運営に関する業務に対して、もの凄くたくさんの時間と労力とをかけてきた。臨床と研究と教育との3つの業務をこなし、それを美徳と捉えてきた。しかし、現在それらすべてを遅滞なくこなせる医師が、はたしてどれくらいいるであろうか。診療に追われ、学会に追われ、講義の準備に追われているのではないだろうか。余裕というものが微塵もない。われわれは、もっと多くの活動に目を向けなければならない」
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僕は医学部新設ではなくて、最初に医学部の教育システムを再度作り直し、待遇を改善させることを最初とし、ある程度医師数が増えてから医学部新設に入るという考え方である。
ただ、ママサンさんがコメントに書いてくださったが「医師は不足しており、医師を大々的に増やさなくてはならない」という考えは持っており、最終的に医学部新設を行う必要があると思っています。
僕が文部科学省に送ったメールは「文部科学省意見公募開始:大学医学部定員増 or 新設議論」に書いておりますが、基本的なコンセプトは上に書いた通りです。
実際に書かれているとおりで「医師が増えて困るのは、患者さんではない」と僕も思います。大多数の人(医療従事者も患者さんも)は医師だけでなく、喜ぶことになると思います。
昨日、先方のお父さん(先月、入院して手術した)が「病気にはならないと思っていたが、実際入院して、夜中にも医師や看護師が休みなく働いている姿にありがたいことだと思った」とおっしゃっていた。
実際に患者になると・・・医師が少なくて…というよりは、医師が多くてよかったと思うことになると思います。
入院するまでは…というか、医者にかかるまではあまり実感しないと思うのですけど・・・。
以前から書いておりますが、医療の需要>医療の供給が大きくなれば「日常」であるにもかかわらずTriage(命の選別)をしなくてはならない。そうなってしまうかもしれません。おそらく、今のままだとTriageをすることになると思っています。
質に関しても「医学部志望者」が大学入試の偏差値で決められた人間よりも、医大に入って興味を持って学問ができるかにかかっていると思っています。正規分布になるかどうかは、僕もわかりませんが質が必ず下がるかは不明です。医学教育は教員の熱意と書かれていますが、僕はそれよりも「学生の熱意」だと思います。
医学教育システムの変更は「医学部新設の良い点は?」をはじめ、色々な記事に書いていますがこの機会に成し遂げなくてはならないと僕も思います。
医師が余った場合に関しても言及されているが、僕は来れもこれまでに書いてきたが「行動範囲が拡大する」ことで「新しい疾患」が出てきたり、一層医師が必要になると思います。
基本的な考えは同意見だが、医師不足に関して「医学部新設」よりは「既存の医学部拡充」をまず行うべきと書いているのは、一時的にしろ「地域医療」なども含め、大きな変化が起きてしまうだろうということです。繰り返しになりますが、医学部新設は劇薬です。今の日本の医療は劇薬に耐えられる体力はないと思っています。まずは体力をつけることだと思います。
「良質な医学教育というのは、教員の頭数だけで達成できるものではけっしてないと感じているし、要は教員の熱意以外にないと思っている」
という文章の教員の熱意よりも学生の熱意と書きました。それは教員の熱意と反するわけではなくて、両方必要。熱意のない学生が入ってきたら質は下がってしまう。馬を水辺に連れて行っても、水を飲まなければそれっきりで、どれだけ教員が熱意があっても、学生の熱意がなければね・・・と。
まぁ、そんな学生はすぐ振り落としですがw
ただ、教員の頭数だけでは達成できないかもしれませんが、頭数は必要になります。この文章の中で医師数を増やすことは質を担保すると書かれていますが、それをそのまま医学教育にも当てはめられてしまう。それこそ少数の教員が頑張ったところで、どこかで破綻してしまいます。
教員は必要なのです。
だから、まず医学部新設ではなく、医学部拡充だと思っています。
また、同じ質問をのっけます。
現時点では
大学医学部新設or大学医学部定員増?
医学部の定員増に関して、医学部新設と既存の医学部の定員増で話し合いが行われ、パブコメの募集が始まりました → (参考) 文部科学省意見公募開始:大学医学部定員増…
大学医学部新設に一票 | 5件 | (13.9%) | ||
既存の医学部拡充に一票 | 19件 | (52.8%) | ||
医師数を増やす必要はない | 9件 | (25.0%) | ||
その他 | 3件 | (8.3%) |
となっています
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
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それでは、また。