振り返ると風邪気味の状態が20日以上続いている。これがいつまで続くのやら見当もつかない。最初は熱など出ない。そのうちそのうちと思っているうちにここまで来てしまった。咳き込んで思わず戦線離脱して廊下に飛び出した。その翌日とうとう一日欠勤した。今は夕刻になると熱が出る。昨年度は無欠勤だったのに最後の年に残念なことだ。
土曜日に近くの開業医で始めて診てもらった。これまで風邪で病院通いをしたことはない。風邪に対しては我が家で手に入る風邪薬のみでしのいできた。これからは地域との関りを大事にしておきたい。歩いて5分の開業医を尋ねた。夜の咳に苦しんでいることを訴える。レントゲンを撮り、抗生物質と咳止めの2種類の薬を処方してくれた。これで治まらなければつぎの手段を考えると言う。町の医院に出向いたのは子供の頃以来なので新鮮な気持ちであった。
夜は自分の咳で目覚め、しばらく咳は止まらない。眠られない時が続く。うとうとしてまた咳がぶりかえす。上半身に寝汗をかいている。時に昼間でもそうだ。搾り出すような咳が止めようとしても止まらない。瞬間血圧もかなりのものではないか。五感が鈍磨していく。真っ先に味覚がだめになる。一番の悲しみはこれまで美味しく頂いていた酒が美味しくないこと。ああ風邪をひかないことがこんなにも素敵なことだとは思わなかった。聴覚は最後まで残る。まるで臨死体験談になった。
人はなぜ風邪をひくのか。思い上がらないようにと言っているのかもしれない。沈潜せよとの警告かもしれない。私の体調不良は先ず右目に現れる。右目の眼球がそこだけ重くなり熱を持ち始め、時おり鈍痛も伴う。視力も格段に落ちる。これらは軽度の緑内障の原因になっていると自己診断している。私に限らず目の表情でその人の状態の大方は分かるのだ。