玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*良寛禅師奇話

2014年12月15日 | 捨て猫の独り言

 庭にある二本のうちの一本の松の木に異変が起きていた。葉が褐色に変わりその葉がしきりと地表に落ちる。これは初めての現象で今年の夏ごろに始まった。まえまえから予約していた先週の金曜日に植木屋さんに前年の葉全部と今年の葉半分ぐらいを摘み取る作業をしてもらった。すっきりとなった松の木だが、やはり先端が褐色になった葉が残っている。樹勢を強めるしかないというアドバイスだ。さっそく化成肥料を買いに行き根っこの周りに施した。

 「良寛禅師奇話」という本が残されている。その中で私が興味を覚えた「金を拾う話」と「囲碁の話」を取り上げる。「金を拾うことは大変うれしいことです」とある人が師に言った。師は自分で金を捨てて試しに拾ってみた。ところがさっぱりうれしくないので「あの人は私をだましたのではないか」と疑った。何回も繰り返し拾っていたら本当になくなってしまった。師は驚いてあらゆる手段を尽くしてようやく見つけた。

 

 ほっとすると同時にうれしくなった良寛さんの言葉でこの話は終わるのだが、良寛さんの言葉を想像してみて欲しい。教訓でもない風刺でもない何とも言えないとぼけた話だ。本当に見聞したことなのかどうか、作者の創作ではないのか。それに比べて、つぎの囲碁の話は本当のことだろうと私には思える。良寛さんは碁に負けると顔色が変わり、いかにもつまらなそうにブスッとする。

 ある庄屋さんがときどき招いては楽しんでいたが、ある日なぜか良寛さんが勝ちまくる。それだけならよかったが、おまけに天狗の鼻を高くしたからさあ大変。怒った庄屋さんに出入り禁止にされてしまった。間に立ってくれた人がいて数日後には仲直りしたが、それまではひどくふさいで、お経ひとつ上げなかった。聖にもあらず俗にもあらずとの評価がある良寛さん、その正体は私にとってますます謎である。(写真は日展会場にて)

コメント (3)
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