村上春樹は話題の作家だけあって、評価するしないそれぞれの発言が飛び交っている。評価しない派には、「ポルノまがいの幼稚な青春小説」「濃厚な米国や西側社会のあこがれがあるが、日本社会はそれほど米国を崇めていない。そのため彼の作品は少し時代遅れの感がある」などの発言が見られた。
河合隼雄とは数多く対談していたようだ。高橋源一郎や内田樹は村上を評価すると公言している。「ノルウェイの森」には「山が崩れて海が干上がるぐらい可愛い」「世界中のジャングルの虎が溶けてバターになってしまうくらい好きだ」などの台詞があった。独特である。「風の歌」と「ノルウェイ」を読み終えて私はひと区切りついた。
だがあと少し短編を読むことにした。作家は短編を書くときはモチーフを設定し3、4か月で単行本一冊分というペース書いていくという。これまで読んだのは「神のこどもたちはみな踊る」の場合のモチーフは「1995年の神戸の震災」、「東京奇譚集」の場合は「都市生活者を巡る怪異譚」、タイトル通りの「女のいない男たち」の3冊だ。短編のつぎは長編という繰り返しが創作ペースという。
村上作品は恋愛関係であれ何であれ「三角関係」が重要なテーマとなり物語は進行という印象を強く受けた。このあとは初期の短編集の「中国行きのスロウ・ボート」「蛍・納屋を焼く・その他の短編」の2冊を読んで、しばらく村上ワールドから離れようと思う。村上はドストエフスキーについて「神を作り出した人間が、その神に見捨てられるという壮絶なパラドックスの中に彼は人間存在の尊さを見いだしたのです」と書いている。
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