「夜の目」
夜は幾千もの
目を持っている
その沢山の目の前では
心の深みまで晒される
暗がりは裸でいる恥ずかしさ
隠してくれる
素直になればいいと
見通す夜の目
不安や後悔に混ざって
砂金のように輝く
愛してくれた人の面影
出て来る言葉は素直で
膨らんでいく
今さらながらのありがとう
人を大切に思うこと
心を砕くこと
それは誰かの心に
いつの間に忍び込んでいる
僕も誰かの砂金になって
誰かの心に
沈み込むことがあるのかしら
いつの日にか
誰かを愛しく思って
胸が波打つ
闇も波打ち
沢山の目はやがて
温かな毛布のように
僕を包んでいた