風のささやき 俳句のblog

訪問ありがとうございます
オリジナルの俳句を中心にご紹介しています
詩や短歌も掲載しています

冬の思い 【詩】

2022年12月29日 | 

「冬の思い」

# 1

いつからか 雪は降り
ボタン雪となって 終わりなく続いた
幼いときに見た 夢の続き
真っ白な舞台の 一夜限りのおとぎ話
声無き 影絵の始まりのように

ストーブの前の椅子 赤い毛布をかけて
あなたは眠ってしまった いつの間にか 
本降りの雪の 様子など知らず
さっきまであんなに はしゃいでいたのに

# 2

雪はどんな祈りを 心の真ん中に埋め
降りてくるのだろう 長い長い旅路を
巡礼者のように 敬虔に
壊れやすい結晶の 姿をして

時折は この部屋の灯りに
誘われるものもいて
窓辺に顔を寄せては
透明なガラスに張りついて

とけていく せつなさ
まじわれない せつなさ
―雪は どんな祈りを僕に
 捧げに来たのだろう

# 3

やがて大地は 祈りの言葉で
満たされて 静寂を増す

明日の朝になれば 大地から
きっと消える雪は 遠い夢物語として
かなわない祈りは 空に帰り
また降る時を 待つのだろう

# 4

雪の降るよりも 微かな吐息で
まどろむ あなたの頭に
僕はそっと 頬を寄せる
溶けることなく 温もり伝わるあなたに
さわれることの うれしさ
きえてしまわない たしかさ

胸に湧く言葉を
綺麗な結晶にみがき
あなたに届けたいと
ささやく雪を 真似たくて
静かに 窓の外に 耳を澄ませた



コメントを投稿