最近、めっきり出番が少なくなったMe97HEを取り出し、スタイラス・チップ等々の汚れを掃除していたら、手元が狂ってカンチレバーを折ってしまった。あまり存在感が無く人畜無害的存在なのにダメにすると急に「しまった!」と、物事はそうしたものですね。でも、97HEとTYPEⅤのスタイラスは互換性が有ると言う淡い記憶が頭を過った。実はTYPEⅤの交換用スタイラスVN5MRが一本、遊んでいた。予備に購入しストックしていたら、長年によりサビたのか?スタビライザーが スムーズに上下しなくなっていた。スタビライザーをOffしても使用できるけれど、トレースの不安定さが気になり、箱に戻したままだった。
このまま死蔵状態ではもったいない。試してみよう。でも、スタビライザー不調の件をクリアしたいけど・・・・・。そこで、ダメもとでスタビライザーの支点に、接点復活チタンオイルを慎重に丁重に(笑)塗ると、オォ~、動きがスムーズになった。97HEのカンチレバー口に用心して差し込むとすんなり嵌るじゃないか。半信半疑の情報は確かだった。
逸る気持ちを抑え切れず、直ぐセットし(針圧1g+0.5g)、リフターを降ろした。おぉ~、97HEではなく、まるでTYPEⅤMRの音ではありませんか!!! 決して作り話ではありませんよ(笑)。Me97HEのカンチレバーを折ったミスが死んでいたVN5MRを蘇らしたんです。スタイラス・チップ(針先)の違いでこれほど差があるとは、改めて認識しました。
V15/TYPEⅤMRをもう一本、新たに得たようなルンルン気分で、取り出した一枚。以前にもUpしている😊
本アルバム”FISH OUT OF WATER”(ECM 第一作目)は、まるでロイドの世界観をJAZZというフォーマットで朗読しているようだ。全てロイドのオリジナルで固められ、一曲一曲のクオリティもさることながらアルバムを通して「起・承・転・結」が見事に整っている。特にA-3の‘The Dirge’からグッと惹きこまれ、ラストまで一気に。‘The Dirge’はコルトレーンが生き返ったかのようなスピリチュアルなバラードだが、ベタにならない所がロイドの魅力、完全にロイドの世界。それにECM色にも染まっていない。
人気絶頂からグループの崩壊、活動停止、ビッグ・サーでの隠遁生活、そしてカムバック、ECMから完全復活する生き様は、一滴のしずくが渓谷を経て川幅を広げ、時には急流となり、やがて穏やかに海にそそぐ清流の如し。
ロイドを「機を見るに敏ないかさま商売人」、「フォレスト・フラワーだけのB級テナー」と罵り、蔑み、自分の耳を正当化した人達には到底、届かぬ境地。
巷の噂では「意外と知られていない隠れ名盤」とか、それでいいんです。「知る人ぞ知る名盤」ほど確かなものはない。
ラスト・レジェンドの一人。