jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

鋼のリリシズム”SOULTRANE” ・・・・・ DAMERON With COLTRANE

2022-10-30 | ジャズ・ts

 

 

T・ダメロンがコルトレーンの為に書いた名バラード、”Soultrane”が収録されているレコードが本作。紛らわしいけれど、コルトレーンのリーダー作”SOULTRANE”には入っていない。

上がオリジナル・カヴァ(LP7070)、下が1962年になって、コルトレーンの人気にあやかり再発された米盤(LP7274)。ダメロンとコルトレーンの名の順が入れ替わっている。Goldmineによると、この2nd盤はオリジナルの1/5のプライスになっている。あまりにもショボいカヴァで触手が動かないのも無理ありません。

ところで、2nd盤のセンターラベルが面白い。No.は7247に変わっているが、ダメロンとコルトレーンの名の順はカヴァと逆のオリジナルのまま。そして、ラベルの周りの無録音スペースには、オリジナルNo.LP7070がサンド・ペーパー?か何かで無造作に掻き消され、横に再発No.が手書きで刻まれています。手違いが修正されないままリリースされたのだろう。いかにも米らしい。なお、RVGはちゃんと刻まれている。

 


普段、PRESTIGE時代のコルトレーンはあまり聴かないが、本作は、時々、引っ張り出し聴いている。その理由は、ダメロンが書いたチャーミングなオリジナル曲の中、コルトレーンの「鋼のリリシズム」が浮かび上がっている。

その典型的ナンバーが”Soultrane”で、「歌わないts」と揶揄されるコルトレーンが、例えば、”Gnid”では愛くるしく歌っている。”On A Misty Night”では後年の「シーツ・オブ・サウンド」を予感させる特異なドライヴ感が心地良い。まだ、海の物とも山の物ともつかない段階でコルトレーンに曲を書いたダメロン、そしてレコーディングをOKしたワィンストックはコルトレーンの才能を既に見抜いていますね。

完成度を求める作品ではありません。原石のままだが、期待を決して裏切りません。


大正・昭和の残像 ・・・・・ 足助(愛知県豊田市)

2022-10-27 | 街道

先日、日経のプラス1に紅葉のランキングが掲載され、香嵐渓が1位に選ばれた。選考の基準は「紅葉のトンネル」で、切り口が変われば、他が選出されるので順位はそれほど重要ではありません。でも、色付きが最高の年、ピークの時期に訪れると山と川が一体となったそのスケールに圧倒されるのは間違いありません。今年は良さそうです。また、ライトアップも幻想的で素晴らしく、特に薄暮から暗がりが広がる中、ライトを浴び、紅の彩りが徐々に浮かび上がっていく様は筆舌に尽くし難い。例年、11月下旬が最高です。

 

 

紅葉にはまだ間がありますが、たまたま出掛けたついでに香嵐渓がある足助(あすけ)まで足を伸ばしました。自宅から車で50分ほどです。

デザイン化されたマンホールです。

 

初めて知りましたが、ここの町並みは国の「伝統的建造物群保存地区」に指定されています。「燈台下暗し」ですね。尾張、三河から信州・伊那谷へ抜ける交易、物流の拠点として栄えた町なので、例えば、中山道の奈良井宿、妻籠宿、東海道の関宿(三重県)のような人気の宿跡と趣がかなり異なります。

 

 

散策しながら目に留まった建物を、アット・ランダムに。

かっての繁栄ぶりを偲ばせる銀行跡です。この伊那街道(現在は国道153号線)は中馬街道とも言われていた。

 

 

大正元年(1912年)に稲橋銀行足助支店として建てられ、現在は資料館として利用されている。

 

 

 

 

裏通りに入ると、昼は喫茶、夜はバーになるお店を見つけ、アイス・コーヒーで一息。店内はレトロぽい雰囲気が懐かしく、ホントはストレート・ノー・チェイサーで・・・・・・ 空瓶が目に毒です。

 

 

生活感に溢れ、リアリテイがとても良いじゃありませんか。

 

 

足助川沿いの味のある佇まい。この少し先で香嵐渓を流れる巴川と合流します。

 

 

江戸時代の建物もかなり残っているようですが、今日は「遠ざかる大正・昭和」の風を感じ、何かしら癒されました。時間を充分に取り、再度、寄ってみよう。もっと古の風が吹き抜けるでしょう。

なお、画像について、町の風情とご理解をお願いします。不都合であれば削除しますのでご連絡ください。

また、町中の画像はスマホで撮ったものをグレー・スケール処理しています。


追悼 ・・・・・いぶし銀三兄弟 / BARRY HARRIS

2022-10-22 | ジャズ・p

 

昨年、12月8日にB・ハリスがウイルス性合併症で亡くなっていることを知りました。享年91。

彼ほど「いぶし銀」の異名が似合うミュージシャンは他にいないだろう。況してや、バップ伝道師、パウエルの正統フォロワーとくれば鬼に金棒、特に通の間でブレない姿勢が支持され人気も高い。

上段の2枚、”MAGNIFICENT!”(Prestige)、”PLAYS T・DAMERON”(Xanadu)はハリスの代表的定盤として評価され不動の位置をキープしている。

一方、下の”VICISSITUDES”(独MPS)は蚊帳の外状態が続いている。恐らく、このカヴァが気に入らないファンが多いのでしょう。ただし、この三枚、類似性が極めて高い。

レーベルこそ異なりますが、いずれもD・シュリッテンがプロデュースし、録音エンジニアはPAUL GOODMAN、dsはL・ウィリアムス、違うのはb奏者のみ。細かく言えば写真もシュリッテンが撮り、流用までしている。もっと言えば、”MAGNIFICENT!”のライナー・ノーツはI・ギトラーが書いているももの、他の2枚はM・ガードナーが担当している。

ここまでくると身内同士如く馴れ合いが危惧されるけれど、ハリスの場合、コロコロ変わらない所が強みですね。

なお、録音は”MAGNIFICENT!”(1969年)、”VICISSITUDES”(1972年)、”PLAYS TADD DAMERON”(1975年)と丁度3年置きで、”VICISSITUDES”だけリリースが1975年と間が空いている。

自分の好みでは”VICISSITUDES”が断然、他を引き離している。ハッタリでも、妙な肩入れでもありません。他の二枚と比べハリスが極、自然体で弾き、開放的な所が良い。カヴァのハリスの表情からも十分に窺えますね。シュリッテンから「ま、独レーベルだから別の顔でも・・・・・・」なんて言われたかどうか ・・・・・(笑)。”VICISSITUDES”とは「転変、変遷、移り変り」を意味し、B-1の”Renaissance"(ルネサンス’)では、まるで「クレオパトラの夢」を連想させるアクティブな演奏を聴かせます。恐らくハリスの頭の中ではパウエルの姿が浮かんでいただろう。

もう一つ、同じエンジニアなのに「音」の違いがハッキリ出ている。以前、このpのエコーが強いMPSの音が苦手でしたが、いろいろシステムを調整すると苦にならず、G・デュヴィヴィエのbとL・ウィリアムスのブラシが良い感じでフィットしている。特にデュヴィヴィエのbは質感、量感、共に上等です。勿論、プレイ自体もGoo!

カヴァで決め付けてはいけない好例です。それにしても前歯の隙間には笑えます、でも、そこがいい。昔、本作の良さに気が付かず、大いに反省している。

R.I.P. BARRY HARRIS

 


美味しい「蓬莱泉 純米大吟醸」

2022-10-19 | 日本酒・洋酒

 

ゴルフ仲間の一人が、コンペのドラコン賞で貰ったけれど、酒は飲まないのでと、帰り道にわざわざ寄ってくれました。木箱入りの「蓬莱泉 純米大吟醸」です。

実はタイミング良く一週間ほど前、日経の中部版コーナー「食・農どまんなか」で蔵元の関谷醸造が紹介されていた。本社蔵は愛知県の北東部で長野県に隣接する山あいの町、設楽町にあり、紅葉で有名な足助の香嵐渓から更に一時間ほど山奥へ入ったところです。昨年の初夏、訪れており、以前、「空」でブームを巻き起こした酒蔵です。相変わらず待ち状態の銘柄が有り、中でも「蓬莱泉 純米大吟醸 魔訶(まか)」が予約で一年待ちのようです。

蔵元、自ら酒米を栽培、チヨニシキ、夢山水、夢吟香の三種類でITを駆使して、260枚の田んぼ、38㌶を4人で年150トン収穫するそうです。酒米の確保と味を守るためですね。

早速、「蓬莱泉 純米大吟醸」をいただきました。今、飲んでいる純米酒と比べ、その違いは歴然としている。

日本酒の美味しい季節になりました。

 


街の噂 ・・・・・PREMINADO / BARRY HARRIS

2022-10-15 | ジャズ・p

 

嘗て「幻の名盤読本」に掲載された本作のポイントと言えば、コルトレーンのグループに参加して間もない頃のE・ジョーンズ(ds)の存在。期待の度が大きすぎるのか、或いはこちらの聴き方の視点がずれているのかもしれないが、バップを原理基調とするハリスとヴァーサタイルといえども革新的なドラミングの道を進み出したエルビンとは自ずと接点に微妙ながらズレを生じ始めている感は否めない。そこが狙いだったかもしれないけど・・・・・

改めて聴き直すと、最初に比べ印象は良くなっているけれど「幻」の冠が重荷になっている気は抜けない。ただ、聴き物の一曲がある。B面の二曲目、古いスタンダード・ナンバー”It's The Talk of The Town”。「あなたに捨てられた噂が街中に知れ渡り、恥ずかしくて外に出られない・・・・・・」という破局ソング。ヴォーカル向けと言うわけでもなさそうですが、インストではあまり取り上げられていない。

曲想に合わせ、ややメランコリックなイントロで入り、テーマを裏切られた娘の「悲しみと怒り、失望感」を代弁するかの如くしっかりとしたタッチで弾くハリスにぐぐっと引き込まれる。そしてソロ・パートではまるで傷ついた娘の心を優しくいたわる父親の心境を朴訥と弾き語るハリスに、うぅーん、ほろりとさせられる。


”It's The Talk of The Town”、邦題は「街の噂」。なお、この名演がファンの間で「うわさ」になったことは未だかって一度もない。 

 

この‘It's The Talk of The Town’は、
‘Ledies and Gentlemen,Now,we'd try for you,a very pretty old ballad which you don't hear much anymore,It's The Talk of The Town’と、C・ホーキンス自らのアナウンスから始まる62年、NYのクラブ「ヴィレッジ・ゲート」での演奏があります。通称「ジェリコの戦い」で人気のライブ盤です。

 

 

 

 


木曽路の秋・・・・・「すや」の栗きんとん

2022-10-13 | 日記・エッセイ・コラム

 

旧・中山道の中津川宿の名産で知られる栗きんとんです。

知り合いが馬籠、妻籠宿へドライヴした帰りに、わざわざ届けてくれました。秋の特急便のようでグッド・タイミングです。

この「すや」と「川上屋」の二店が有名ですね。

 

 

控えめで上品な甘さが良いですね。何個でも頂いちゃいそうです。

恵那すやと恵那川上屋と、他に紛らわしい店が有りますが、事業体は全く別です。どちらも甘味が強めです。

木曽路へドライヴに出かけたら、今度は「川上屋」にしよう。


本当の事が解るまで ・・・・・SONNY CRISS

2022-10-08 | ジャズ・as

 

1970年代も半ばに差し掛かると、電気仕掛けJAZZの圧力も弱まり、雌伏していたハード・バップのリバイバル機運が高まった。その象徴的な事例として、欧州で活動していたD・ゴードンがメジャー・レーベルのコロンビアから三顧の礼を以って迎い入れられ、1976年に録音したタイトル名もズバリ”HOMECOMING”だった。クリスもそうした流れにピッタリと嵌ったミュージシャンの一人だった。

この3枚、”CRISS CRAFT”(MUSE)、”SATURDAY MORNING”(XANADU)、”OUT OF NOWHERE”(MUSE)は全て前年の1975年に吹き込まれていて、当時、ジャズ喫茶でも随分、人気を博している。

MUSE盤2枚とXANADU盤の違いをザックリ言えばカヴァからのイメージ通りMUSE盤の「陽」とXANADU盤の「陰」で、前者は60年代後半にシュリッテンがプロデュースしたPRESTIGE盤とほぼ同じライン上にあり、一方、シュリッテン自身が興したレーベル、XANADU盤は、さすがに単なる延長線上ではなく、クリスのメランコリーな側面を深掘りしている。

好みの順で行けば”SATURDAY MORNING”、”OUT OF NOWHERE”、”CRISS CRAFT”です。

”SATURDAY MORNING”は”Angel Eyes”から始まるプログラミングも演奏も素晴らしくクリスのBEST1と思います。ただ、ハリスの朴訥なpが多弁なクリスのasに良くフィットしているけれど、クリス抜きのピアノ・トリオ曲は果たして必要だったのだろうか?ちょっと疑問が残ります。前後の曲の出来栄えを高める効果を狙ったシュリッテンの独特のセンスなのかな(笑)? 全曲、カルテットで、例えば”The Masquerade Is Over”でも入れてくれたら個人的に最高だったのですが。

”OUT OF NOWHERE”はF・ナバロの人気曲「ノスタルジア」の元ネタになるタイトル曲でゲイルズの強引なベース・ワークに乗り快楽的に吹き上げるプレイに惹き付けられ、コーカーがあのメロディを弾き出すと思わず一緒に口遊んでしまう。”Brother ・・・・・・・”の抑制されたエモーショナルな語りも聴きものです。”CRISS CRAFT”は曲によりクロフォードのgが単調になっている所が惜しい。

初来日が予定されていた1977年、クリスは目前になって謎のピストル自殺している。計画通り公演が開催されたならば、きっと記録にも記憶にも残るステージになっただろう。日本ではフュージョンを演らなくてもいい、と大いに喜んでいたそうです。他殺説が根強く残るワケですね。

”SATURDAY MORNING”のラスト・ナンバーはクリスの愛奏曲の一つである”Until The Real Thing Comes Along”(本当の事が解るまで)、意味深にして名演です。

なお、この3枚の後、クリスはIMPULSEにフュージョンぽい(未聴ですが)アルバムを2作、吹き込んでいる。いつの時代も「理想と現実」は悩ましい問題です。

 

死後、10年経った1987年に発掘されたイタリア・Bologneでのライブもの(1974年)。この頃、患っていた精神面でのトラブルを感じさせない。