jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

足は大事です ・・・・・ ONE FOOT, TWO FEET IN THE GUTTER / DAVE BAILEY

2024-10-29 | ジャズ・ds

 

先日、下肢(右足)静脈瘤の手術を受けました。下肢の静脈には足先へ血液が逆流しないように弁が付いていますが、弁が壊れ血液の逆流がおこり、足に血液が停滞し、その圧力で静脈が拡張したり、蛇行したりしてコブ(瘤)ができ、これが静脈瘤です。以前から気にしていましたが先送りのままでした。最近、20~30分ほど歩いたり、立ったりしていると足が怠くなり、休憩しないと先に進まない状態になり、手術する決心を。内容は血管内焼灼術(細いファイバーを静脈の中に通し、レーザーカテーテルで血管の内側から焼く治療法) + 表在静脈瘤切除(表面から目立つ静脈瘤を切開して切除)で手術自体は比較的楽で、ものの30分ほどで終わりました。

手術後は弾性ストッキングを二週間、着用します。このストッキングを装着するのにチョットしたコツを要しましたが、順調に回復しているとの経過診察でしたので通常モードに戻ります。ヤレヤレ。

そこで、D・BAILEYのアルバムを2枚。通のジャズ・ファン達から良い評判を受けています。でも、誰も「名盤」とは言わないところがミソ。ベイリーが狙った「聴けば分かる」なんでしょう。

 

個人的には”TWO FEET IN THE GUTTER”の方が好みです。

理由の一つは、選曲の良さです。B・タッカーのヒット・ナンバー”Comin' Home Baby”、F・フォスターの有名な”Shiny Stockings”の出来がご機嫌です。二つ目は、実力派B級トランペッター、B・ハードマンの好演ぶりです。中でも”Shiny Stockings’での腰を据え、フレーズを繋いでいくブルース・フィーリングを聴くと、ホント嬉しくなります。

もし、自分がジャズ・バー(喫茶)を開いたとするならば、毎日のオープニング・レコードは本作のA面、クロージングはB面にするかもしれません(笑)。


堅物から脱皮 ・・・・・LOVE DANCE / WOODY SHAW

2024-10-20 | Portrait of Woody Shaw

 

 

前作”MOONTRANE”でそれなりの手応えを得たショーが約1年後(1975年)、フロント陣、リズム陣を拡充し、アルバムの完成度、充実度を一段も二段も高めた快作。

当時、若手売出し中のB・ハーパー、J・ボナーの参加も話題となり、フラワー・プリントのジャツと併せマクビーの強烈なキック感溢れるベース・ラインで導かれるトップのタイトル曲が時代性をより鮮明に打ち出している。色彩感に満ちたリズム隊と分厚いサウンドを造りだすホーン陣との絡みが魅力的なメロディに乗って実に心地よい。作曲したボナーのフレッシュなピアノ・ソロの後、しっかりと地に着いた気負いのないショーのtpが滑り出す。成長具合が手に取るように解ります。煽るような黒いハーパーのテナー・ソロも聴きものだが、最大の聴きものは、やはりフィナーレに掛けてタイトルを象徴するが如き軽やかに舞うショーのソロです。

他の4曲も上々の出来で、中でもB面トップの‘SUNBATH’がご機嫌。アレンジを担当しているS・ターレのbass tromboneが効果的でコントロールの利いたショーのソロがほんと、カッコイイ。続くボナーのpもグーです。また、アンプを通したマクビーのベース・ソロも時代性を考えれば否定的には及びません。

ポテンシャルの高さを克明に刻んだ一枚。夢にまで見た「春」(メジャー・レーベル契約)が叶うまで、あと僅か二年の距離に縮めた。


I REMEMBER GOLSON (そのⅡ)・・・・・ IMAGINATION / CURTIS FULLER & NEW YORK SCENE / BENNY GOLSON

2024-10-13 | ジャズ・ts

 

今では、メジャー・リーガーの大谷翔平選手を二刀流ではなく、「走る」を加えた三刀流と言った方が合っているのではないか。60年以上も前、ハード・バップ全盛期、ジャズ界にも三刀流がいた。「作曲・編曲・ts奏者」として三面六臂の活躍を見せたBENNY GOLSON。作曲、編曲の功績はエスタブリッシュされた評価を受けているが、以前、編曲(ゴルソン・ハーモニー)について若手のひよこジャズ・ライター達に「ダサい」等々、ネガティブな風評をネットで晒された。また、個人のサイトも風評のパクリに汚染され始め、他の要素も合わせて某雑誌の元編集長から「ネットはバカをあぶりだす」と迷言まで飛び出した。中には「自分のサイトもバカなのか?」と問い質した自信家サイトも出る始末であった。

そもそも、ゴルソン・ハーモニと言われる編曲は、主たるソロを最大限に生かすためのあくまで従の存在で、編曲を誇ったりせず、時には日陰の働きも辞さない関係である。重箱の隅を楊枝でほじくるような耳では、ゴルソン・ハーモニーを理解することは難しい。ま、炎上商法の走りだったかもしれない。

無駄口はさて置き、今回、追悼に選んだ一枚は、プレステージ、リバーサイドにリーダー作があるにもかかわらず、また、フラーのリーダー作の”IMAGINATION”。理由はSAVOYらしくソロに力点を置き、TOPの”Kachin”を始めゴルソンのtsが冴え、ts奏者としての力量が凝縮されている点と、編曲は必要最低限に抑えられ意外に思える人選、T・JONES(tp)とM・TYNER(p)がスパイシー役となり既成のイメージと異なる味が出ている。また、後にコルトレーンのグループの一員になるTYNERとGARRISONの組み合わせも興味深く、GARRISONのズンズンと背後で演奏をプッシュするbも聴きものです。B面の2曲の心地良いルーズさは厳しかった残暑の疲れを癒してくれます。それに説得力に乏しいシュール画のカヴァとスタンダード曲の”Imagination”を絡ませるSAVOYのセンスには畏怖さえ覚えますね(笑)。

 

 

〆はやはり、リーダー作で。N・ヘントフの肝煎りでコンテンポラリーに吹き込んだ初リーダー作”NEW YORK SCENE”(1957年録音)を。

 

柔やかなゴルソンの眼には既に「ゴルソン・ハーモニー」が映っていたのだろう。 R.I.P BENNY GOLSON


I REMEMBER GOLSON (そのⅠ)・・・・・BLUES ette / CURTIS FULLER

2024-10-05 | ジャズ・tb

 

B・ゴルソンが先月に亡くなった、と知りました。享年95、レジェンドの一人ですね。本来ならば彼のリーダー作で追悼するのが筋ですが、別のアプローチを。

その昔、京都下鴨・洛北高校近くの民家の2階に下宿していた。ジャズには、全く興味が無く、当時、ラジオ、TVで聴いていた音楽といえば、ジョーン・バエズを代表とするフォーク・ソングや、国内でブームとなっていたグループ・サウンズだった。
そんな時、いつも聞いていた近畿放送のラジオから「モダン・ジャズ界の黒い牽引車、ジョン・コルトレーンの初来日、京都公演7月16日)という案内が何度、何度も繰りかえされた。勿論、初めて聞く名前だったが、何故かアッピールにインパクトがあり、今でもハッキリ憶えている。
翌日の新聞に写真入りでそのコンサートの模様が出た。壮絶な演奏に、グッタリとシートにもたれ掛かった聴衆の姿が写し出されていた。一体、どんな演奏だったのだろう、と驚いたけれど、即「モダン・ジャズ」に興味を持ったワケではない。だが、この時、僕と「モダン・ジャズ」の距離は確実に縮まった。
 
その年の暮れ、いつも行く銭湯で服を脱ぎかけた時、ジャズ番組だったのだろう、店のスピーカーから、ジャズが流れ始めた。心地良いメロディに体の動きが止まったまま、一曲聴き終えた。’Five Spot After Dark / Curtis Fuller’の名は極自然に頭にインプットされた。それから、4ヶ月あと、あの「しぁんくれ~る」の赤カーペットの階段を登った。
「ファイヴ・スポット・アフター・ダーク」、なんてイイ響きなんだろう。「名は体を表す」というが、正に名曲にして名演奏だ。この曲を聞く度に、今でもあの銭湯を思い出す。1958~59年に掛け、フラーとゴルソンの双頭コンボはジャズ・クラブ”Five Spot”と一年間のロング・ランのステージ契約を得て、期間終了した後、”Five Spot”での実り多きステージを思い出しながらゴルソンが書いた曲がこの”Five Spot After Dark”。リズム・セクションはマンネリ化を避け、適時、メンバーを入れ替えていたそうです。その中で、一番、息が合ったメンバーが本作のトミフラ、ギャリソン、ヘアウッドだった。


その後、ずっと「しゃんくれ~る」に通ったが、不思議な事に本作が流れた記憶がない。リストには、勿論、載っているが、誰もリクエストしないのである。何度もリクエストを出そうとしたが、その都度、躊躇した。僕の思い過ごしかもしれないが、当時の「しぁんくれ~る」には、本作のような50年代のジャズを許さない(笑)ようなシビアな雰囲気が充満しており、いつも新譜や尖がったジャズが巾を利かせていた。

当時、東京、大阪地区はともかく、よく利用していた地元の店には本レコードは無く、店の人に相談したところ”Schwann(シュワン)”というアメリカから出ている月間レコード(テープ)カタログから、欲しいレコードをオーダーしたら、と勧められ、ちょくちょく購入していた。
だいたい、270ページぐらいのカタログであるが、「ジャズ」は巻末の僅か20ページそこそこしか載っていない。こんなところにも、音楽業界での「ジャズ」の位置付けが良く判ります。押入れを片付けていたら、残っており、懐かしくなり、暫くの間、掃除も忘れ当時を思い出していました。
入荷するまで確か?エアメールの場合は、2~3週間前後、シーメールの場合は、3ヶ月ほど掛りましたが、コスト面でシーメールを利用しました。ただ「在庫なし」で入荷しないケースが多く、徐々に縁遠くなりました。

本作もオーダーで手に入れ、試聴を店のモニターSPで流していたら、あるお客さんが「これは、イイね!」とか、女子店員までが、「このテナー、凄くいいわ~」なんて言い始め、随分盛り上がったものでした。昔は、よかったね~、アット・ホームで。

 

ちょっと見づらいですが、左ページにフラー、右ページにゴルソンの名が確認できます(ボールペンの印し跡)。

名を知っている程度だったゲッツ、ロリンズと違って、初めて聴いたモダン・テナーは、実はこの”Five Spot After Dark”のB・ゴルソンだった。