例外はあっても、元々、ピアノ・ソロはあまり好みではなく、このアルバムも開封した時に一度聴いただけで内容は全く記憶がない。
それにタイトルと病的なイメージのイラストが重なり過ぎ、まるで・・・・・・・・
”ALONE”が必ずしも”LONELY”ではなく、自分の美的センスの無さは分かっているけれど。
気が進まなかったけれど針を降ろすと、一度しか聴かなかった理由が分かった、「音」が濁っている。ピアノ・ソロでは致命傷ですね。
てっきりRVG録音(先入観から)と思い込んでいましたが、響き方が異なり頭の隅に微かに聴き覚えのあるものだった。
裏カヴァを見ると、なんとエンジニアはRay Hall、しかも場所はNYのWebster Hall、あの”WHAT'S NEW”とまったく同じです。もう迂闊と言うよりも大失態です。それに本作は”WHAT'S NEW”の僅か三ヶ月前の録音。
どうしてこんな「音」に、という疑問が湧き上がり、センター・ラベルを。そこにはMGMではなくPOLYDORのクレジットが、つまり再発というより再々発盤の可能性が高いですね。ガチョ~ン。
「音」の問題は置いて、改めて聴いてみましょう。
ソロ・アルバムを吹き込む心構えは充分に出来ていたのでしょう、タッチがいつもより心なしか強くしっかりしている。感情移入も妙に深入りせず一音一音の強弱、イントネーションも比較的フラットだ。
ビジュアル的に表現すれば、猫背になったり鍵盤に覆い被さるのではなく背筋がピンと張っている。小細工せず凛然と攻める、そこが良い。
グラミー受賞作にも拘わらず、わが国ではそれほど人気がないのは、猫背になったり鍵盤に覆い被さるイメージが定着しているからだろう。
世評通り、一曲のみのB面”Never Let Me Go”が聴きもの、特に中盤~後半、そしてエンディングに掛けてのイマジネーションの豊かさ、深さは他の追従を許さない。やはり「もの」が違いますね。
さぁ、Evans、Hall、Webster Hall、三位一体となったMGMプレス初版盤を探そう。