jazz and freedom and avenger

JAZZを聴きながら勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

ただの月見草ではない ・・・・・ THE MAGNIFICENT TROMBONE OF CURTIS FULLER

2020-06-30 | ジャズ・tb

 

同エピック・レーベルの「サウス・ アメリカン・ クッキン」の人気、認知度の陰に隠れてしまった一枚。ガイドブック、ネット上での露出の差は縮まるどころか広がる一方のようです。

シムス、フラナガンと言う錦の御旗、人気曲群の収録と言う葵のご紋、更に「幻の名盤読本」掲載と言う御朱印も無ければ、当然の結果かもしれません。

でも、本作の良さを知っている人は知っている。ただ、本作の魅力を説く惹句がなかなか思い浮かばなく、メンバーも収録曲も通好みだが地味だしなぁ・・・・・・。

タイトルの”MAGNIFCENT”がやけに浮いている感じさえしますが、逆にキー・ワードはこの”MAGNIFICENT”かな?

”Dream”を始めフラーの持ち味が発揮される3曲のバラードを軸にミディアム~アップ・テンポの構成と曲順の良さ、背伸びせず味のある好プレイ等々、ありきたりの誉め言葉では、タイトルに結び付かない。

録音は1961年2月20日(NY)、リズム・セクションにL・スパンのgを加えた変則クインテット。ハバード、ショーターを擁した3管J・Mに入団直前辺りでフラーのピーク時期と重なる。

通例であればtp、saxを絡ませるところを敢えてL・スパンのgを加えた狙いは、フラーのtbをより浮き出させる試みは明白で、TOPの”I 'll Be Around”からその作戦は見事なほど成功している。特にB面に入り、”Sometime I Feel Like A Motherless Child”、”Tow Different Worlds”のバラードは”Dream”と共にフラーの真骨頂を聴かせる。

ラストの”I Love You Porgy”まで”Excellent”の連続ですが、この曲はマイルス、エヴァンスの演奏でも知られ、フラーは演奏の良さはもとよりtbと言う楽器の魅力まで十二分に引き出し、さりげなさの中にtbでしか表現できない世界を創出している。

これが”Magnificent”のレベルまで盛り上げている。最後の最後で腑に落ちました。

確り聴いている多くのファンは「サウス・ アメリカン・ クッキン」とどっちが優れているか、良く知っている。

看板に偽りはありません


ぶらっとサイクリング ・・・・・・・ 白鷺 & ?

2020-06-25 | 日記・エッセイ・コラム

 

いつもの川べりを走っていると、空から白いものが川面に降ってきた。

白鷺が二羽。一羽はじっと動かず、もう一羽はエサを求めて草むらの方へ。

暫く見ていると、動かなかった一羽は他の場所へ飛び立っていった。

 

 

先に進むと、今度はやや大きく色が付いた違う種?の鳥を見つけました。

じっと同じ姿勢を保ち微動だにしませんね。

 

 

暫く先へ走り、戻ってみると、全く同じ所、同じスタイルで・・・・・・、油断して近づいてくるエサを待っているのでしょう。

 

 

田舎の自然豊かな川と違い、街中の何でもない小さな川ですが、日々、それなりの生態が営まれていますね。


追悼 その二 ・・・・・・・ HENRY GRIMES & WALLACE RONEY

2020-06-20 | ジャズ ・b

先日、日経新聞に「ジャズ界・・・・・ 黄金期プレーヤーの訃報相次ぐ」の記事が掲載された。

コニッツ、タイナー、コブの他にH・グライムスの名が上り、C・テイラー、D・チェリー等々の作品に多く参加しているためフリー・ジャズの名ベーシストと紹介されていたけれど、コニッツ、タイナー達の作品にも名を連ねている。リーダー作は所有していなく、久々にA・アイラーとの共演作を取り出した。

左の2枚は再発盤”SPIRITS”(1964年・DEBUT)、”SPIRITS REJOICE”(1965年・ESP)で後者のカヴァはオリジナルと左右が反転している。右の”IN GREENWICH VILLAGE”(1966、1967年・IMPULSE)はアヴァンギャルド+サイケデリック文字のハイブリッドで、当時の最先端モードですね。アイラーは半年後に亡くなるコルトレーンへ敬意を表した”For John Coltrane”ではtsではなくasを吹き、あの「ラスト・レコーディング」に通ずるナイーブさに満ちている。

 

 

グライムスはロリンズの公式盤、”AND THE BIG BRASS”(METRO JAZZ → VERVE・BRASS & TRIO)、”MEETS HAWK”(RCA)に参加し、”Summer Time / MEETS HAWK”での太いbソロ、良いですね。

また、この発掘盤2枚にも顔を出し、「イン ストックホルム 1959」のロリンズ節は素晴らしく、この後、帰国して間もなく第一線から身を隠したそうですが、そんな雰囲気は微塵も感じさせません。

なお、グライムス、享年84。

 

W・ルーニーの名はこの新聞記事には載っていなく、別の情報網から知りました。

「マイルスの後継者」等々、結構、話題になった記憶が有ります。本来ならば「マイルスのエピゴーネン」と一蹴されるハズなのに、マイルスの意外?な庇護により持ち堪えたようです。ルーニーのtpは1960年代半ばのマイルスをベースにしており、この作品も”MILES SMILES”、”SORCERER"そっくりのサウンドになっている。弟アントワーヌのtsもショーター瓜二つで、ここまで良くマネできたものだ、と感心するほどです。後半のオリジナルではない曲で個性が出ていますが、マイルス命を信条としているだけに自ずと限界が見えます。でも、本人はそれで良かったのでしょう。

 

 

本作がイングルウッドのゲルダー・スタジオで録音された1991年9月28日、サンタモニカでマイルスは息を引き取った。

ルーニー、享年59。マイルスより6歳若かった。


フィリップ マーロウの名セリフを ・・・・・ FIRST PLACE AGAIN / PAUL DESMOND

2020-06-13 | ジャズ・as

 

2ndカヴァの方が断然いい例外的な作品。1stはスタジアムにプラカードの人文字で”FIRST PLACE AGAIN ・・・・”と描かれたもの。

オリジナル・カヴァでは結び付かないレイモンド・チャンドラーのハード・ボイルド作品の主人公、探偵フィリップ・マーロウの名セリフの一つ、「男はタフでないと生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」を何故か思い出す。

本作の4人は全員、リーダーではなく脇役ばかりの人達である。デスモンドにしてもリーダーは、やはりブルーベック。
その彼が「フィリップ・マーロウ」になったデスモンドの代表作。

バック・カヴァにサブ・タイトルとして“An ‘After Hours’Session With Paul Desmond And Friends”と書かれている。確かに、デスモンド、ホールのコラボレーションを軸に4人の名手達によるリラックスしたプレイが全編に亘って聴かれるが、もう少しシビアな聴き方をすると、デスモンドのasにDBQの時と違っていつになく鋭さを感ずる。
「強かさと優しさ」、デスモンドのasの神髄が本作に秘められている。

必ず話題に挙げられる‘Greensleeves’は演奏時間が短いのがちょっと残念ですが、他の6曲は、演奏時間が充分に用意されており、デスモンドの正に泉に如く湧き出る美しいアドリブが心ゆくまで聴かれる。

企画性を持たせず、セッション風に仕上げた所に本作の成功があります。


母体がDBQとは言え、時代と共に変わることを望まず、忠実に己のスタイルを守り続けたデスモンドのリーダー・ラスト作”PAUL DESMOND”(ARTISTS HOUSE)。

”LIVE”(HORIZON)の後、追悼盤の形でリリースされた音源で録音時期(1975.10)はほぼ同じです。

 

 

ヘップバーンへのオマージュとされるブルーベックとの共作”Audrey”は何処かしこ長年の想いを切々と訴えている様で、聴き応えがあり、飄々としたイメージとは違う素顔を覗かしている。晩年を飾る名演の一つとして記憶されるでしょう。

1年半後、天に召される。

なお、このレコード、カートリッジによりビッカードのgが歪む箇所があり、例えば、SHURE V15typeⅤでは歪みません。歪む場合、カートリッジを色々試してみる必要があります。

 


Mellowが売りじゃない ・・・・・ ’ROUND MIDNIGHT / KENNY BURRELL

2020-06-07 | ジャズ・g

 

このアルバムは晩秋~冬、それも年の瀬につれその魅力を増していくものとばかり思っていましたが、整理中、目に留まり、ターンテーブルに乗せた所、いやぁ~、季節に関係なく良いですね。

A面、「欲望と言う名の電車」から始まる3曲の流れが抜群。本作をバレルの最高傑作に挙げるファンがいるほどで、”YOU MUST BELIEVE IN SPRING”をエヴァンスのBEST1に推すファンの心境に通ずるかもしれない。ただ、エヴァンスものほど作品自体が広く知れ渡っていない。それでいいんです。

「欲望と言う名の電車」の退廃的なメロディーを薄めのボッサ・リズムに乗せ豊潤な音色で弾き出すバレルのgに一発で殺られる。続くエヴァンスやJ.J.ジョンソンが演じている「メイク・サムワン・ハピー」、ラテン・フレーバーを軽く利かし、二人に勝るとも劣らぬパフォーマンスを聴かせます。曲名通り聴く内に段々心がウキウキしてきます。

さんざん手垢が付いている「ラウンド・ミッドナイト」、策を弄さず正攻法で攻め切るバレル、やはり「出来る、一流の男」ですね。これも指折りの名演の一つと言っても過言ではありません。

ふと立ち寄ったジャズ・バーで流れ、もし他に誰もいなかったら、貴方はマスターに「ワンス アゲイン」とリクエストし、ロックでダブルを・・・・・

1週間後、美女を連れて、そしてマスターに目配せで「ワンス アゲイン」と ・・・・・・、マスターは気を利かせ、最後にソロ・ギターの”Blues In The Night”をそっとプレゼントするでしょう。ま、「欲望と言う名のジャズ・バー」じゃなく、ただの妄想ですね(笑)。

「知られざる名盤」、「裏名盤」と盛る気はさらさらありませんが、バレルの弾力あるトーン、そしてアーバンなソロ・ワーク、間違いなく「虜」になります。