jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

シングル・モルトのハイボール・・・ NIGHT LIGHTS / GERRY MULLIGAN

2024-08-04 | ジャズ・その他sax等

 

猛暑越えの酷暑が当たり前になった今日この頃、眼にも耳にも涼しさを感じる一枚を。

マリガンの作品群の中で果たしてこのアルバムがどのような位置付けされているか、定かでありませんが、少なくとも、最も人気がある作品の一枚であることに違いないでしょう。ボサノバ・ナンバーを取り入れたり、日本人好みの知性派メンバー、つまり、バカ騒ぎしない連中のみで固めたソフィスティケートな演奏が大きな魅力となっている。
また、1973年~当時、「こんばんは、・・・・・・・でございます」で始まるラジオの深夜ジャズ番組で、本アルバムのB-1、ショパン作の‘Prelude In E Miner’がテーマ曲として使われた事にも因るでしょう。カヴァの雰囲気も好評で「夜の定盤」という称号まで得たようです。
そうしたイメージ先行の中で聴くタイトル曲に於けるマリガンのイントロ・ピアノは些か少女趣味的にも拘わらず、ポジティブに語られ過ぎているような気がします。
ただ、マリガンのそれまでのキャリアと時代の変化にシンクロさせた作品と捉えれば、それほどネガティヴに聴くまでもありません。
 
B面のマリガンのオリジナル、2曲に彼の本質が窺え、バリトン・サックスの第一人者、そして有能なアレンジャーとしての強かさと矜持を保っている。仄かな哀愁が漂う‘FESTVE MINOR’が大好きです。
ブルックマイヤーのバルブ・トロンボーンは昔から野暮ったい、とか、人畜無害というイメージで語られ勝ちですが、本作での実直なプレイはなかなかどうして、妙に無くてはならない存在に聴こえる。

それから「録音」の良さ。たまたまモノラル盤で聴いていますが、ナチュラルで、管楽器の芯のある「音」は特筆もの。取分け、五、六分の力で吹くマリガンの掠るようで、輪郭がボケないバリトンの「音色」が出色です。

 

 

まだ明るさが残る薄暮、窓を目一杯開け露天気分で一風呂。上がりに氷をぎっしり詰めた「余市」をウィルキンソンで割り、針を降ろせば、熱暑は夕闇の空へ。


FLUTE FEVER / JEREMY STEIG

2018-03-25 | ジャズ・その他sax等

  

 

上がオリジナル・カヴァ(盤は国内盤)、下はタイトルも”FIRST ALBUM”と変えた国内盤。

国民性の違いがこれほどハッキリ出ているカヴァも珍しく、オリジナルはスタイグ自身が絵と裏のイラストまで手掛けている。

ただ、これでは流石にスルーされるリスクを回避しようとしたのか、曲名をズラリと並べている所が如何にもメジャー・レーベルらしい。

その点、国内盤は雰囲気一発に賭けている(笑)。日本人好みのいいショットですね。

この作品は、一見、超マイナーに思えるのだが、意外によく知られている。内容の良さもさることながらイマジネーションが膨らむ「一発勝負カヴァ」によるところも大です。

 

もう一つ、エヴァンスの”WHAT'S NEW’の存在です。曲目もどことなく似ており、2曲は同じ。

エヴァンスは”FLUTE FEVER”を当然のように教材にしているフシがあり、”FLUTE FEVER”はスタイグの動とザイトリンの静のコントラストをベースにしているのに対し、”WHAT'S NEW”は二人の交流を浮き出させている。

特に同じ2曲は徹底分析、否、解剖までしているようだ。

”Lover Man”はまるでデュエットのように、”So What”ではクライマックスでザイトリングはスタイグに呼応するが、エヴァンスは逆に手を止めている。また、キーとなる二つの音からなるべく離れないようタイトなプレイを。エヴァンスの眼に・・・・・・・・・・

そもそも”FLUTE FEVER”は驚異の新人のデヴュー・プレゼンが主眼なので、比較するのは無理な話。

ただ、エヴァンスが”FLUTE FEVER”をベンチ・マークにした、と言ってもおかしくないほど本作に内容があるというワケです。


オッ! B・EVANSが ・・・・・  GOLDEN MOMENTS / TONY SCOTT

2015-12-26 | ジャズ・その他sax等

 

 

こんな一枚が出てきた。右上にPROMOTION COPYとプレス印が。

 

当時、エヴァンスのボスだったT・スコットがプライベート録音した音源をMUSEから、1982年にリリースしたブツ。1959年8月1日と8日にNYのクラブ‘SHOWPLACE’でのライブ。

 

リーダーのスコットには申し訳ないが、モダン・ファンの目がいくのは、やはりリズム・セクション。

MUSE側(多分、スコット自身も)もその辺りよく承知して、いきなりエヴァンス・トリオで‘Like Someone In Love’からスタート。途中、一瞬音が途切れ「ヤバイ」と思うが、後はそうしたアクシデントはなく音も心配するほど悪くない。

 

収録曲は、

A面が‘Like Someone In Love’、‘Walkin'’、‘I Can't Get Started’、

B面が‘Free And Easy Blues’、‘My Melancholy Baby’

 

 

それにしても観客のうるさい事!今では「天下のエヴァンス様」だが、当時、ここにいる人達にとっては「誰?それ」てな感じですね。

 

騒がしさと無関心さに業を煮やしたエヴァンスが「お前ら、いい加減にしろ!」とばかり鍵盤を叩きつけ、どやすハプニングもあり妙な臨場感が漂っている。通常は「ボツ」だが、スコット?の粋な計らいか。

全体に緊張感はなく、50年代の大らかさに包まれている。

 

 

本作は既にリーダー作を2枚リリースし、あの‘KIND OF BLUE’にも参加しているにも拘らず書生気質のエヴァンスと、異質と思われるラロカとの組合せが貴重か。

 

なお、続編‘I'LL REMEMBER’もありますが未聴です。 

 

 


エロぃす! ・・・・・ THE COOL SOUND / PEPPER ADAMS

2015-11-08 | ジャズ・その他sax等

 

 


とてもバリトンsx奏者のアルバムとは思えないカヴァ、アダムスのリーダー2作目。

 

 

アダムスのイメージとCOOL、しかもRED、そして決して育ちが良いとは思えない・・・・・・・・

でも、このギャップこそ、REGENTでしか出せない「味」か。

 

 

パーソネルは、

PEPPER ADAMS (bs)、BERNARD McLINNEY (euphoniun)、HANK JONES (p)、GEORGE DUVIVIER (b)、ELVIN JONES (ds)

録音は1957年11月19日

 

A、B面、各2曲で種も仕掛けもない純正ハード・バップがたっぷり聴かれる。しかもフロントは低域2管で、ハードなバリトンと柔らかなユーフォニアムと対照的。

この作品、好き、と言うファンが結構いますね。

H・ジョーンズのpが良い味を出しています。ただ、所有する盤は国内盤だからかもしれませんが、E・ジョーンズのdsは奥に引っ込んでいる。



今日のような雨の午後、偶には大らかなジャズも良いもんだ。

 

それにしても「エロいな」。絵ぽく見えますが、写真?ですね。