ダメもとで買い取ったM75EM2(SHUREカタログではM75E2)、想定外の好反応を得たので、早速、更なるUP策を。遊んでいるものの中から相性がいい組み合わせを選び、シェルはアントレー、リード線はオルトフォンに落着きました。
高純度アルミ削り出しのES-12+PC-Triple CのLW-3Cです。
スタイラスは純正の楕円針ではなく、JICO針に交換されており、モデルNo.は不明です。ですが、予測を遥かに上回るイイ音なんです。最初の組み合わせの段階で、上も下もスッキリ伸びた明快な音でしたが、高域に伸びるに従いやや薄くなっていました。新しい組み合わせではそこがしっかり改善され明晰な音になった。これでM75シリーズは4タイプになりましたが、下から二番目のグレードなのに全て「当たり」です。SHUREがMMカートリッジの雄と言われる所以です。また、通の間ではSHUREは下のグレードに行くほど音が良いとか、「釣りはフナに始まりフナに終わる」の格言のように「M44Gに始まって、終わる」と言われるほどです。
唯一無比のアルト、デスモンドの遺作(PAUL DESMOND / Artist House AH2)から、オードリー・ヘップバーンへのオマージュ曲、”Audrey”(ブルーベック共作)を聴いてみましょう。
4年ほど前、TV番組・ジャズ喫茶ベイシー50周年記念「レコードと万年筆」が放映され、その中で菅原氏は「絵は聴くもの、音(音楽)は観るもの」と言われた。氏のオリジナルかどうかは、どうでもよく、氏の口から出たその言葉は実に説得力があり、そうした見地が有ることを恥ずかしながら初めて知りました
いつになくハスキーながら澄んだトーンで思いの丈を語る”Audrey”、これは間違いなくラブレター。アルコール好きで文学的素養もあると評判のデスモンドらしく淡麗にして切々と綴る恋文に、次第に「音(音楽)は観るもの」の見地を朧気に覚える。
また、ビッカートのgがカートリッジによってはビビる箇所があり、M75EM2もビビりますがその弾力ある音色は魅力があります。V・ゲルダー録音のCTIレーベルの音と別人の如く異なり、ビビる位、リアリティがあります。ひょっとしてビッカートもヘップバーンのファン、それも隠れだったかもしれない(笑)。
「絵は聴くもの、音(音楽)は観るもの」、そう言う見地があったんや。