jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

異色にして稀有な快作 ・・・・・・・ SOULNIK / DOUG WATKINS

2018-04-22 | ジャズ ・b

 

その昔、カヴァの変色が酷くクズ値同然で入手した一枚。ワトキンスがBassでなくCelloを弾くという?も手伝っていたのかもしれない。

所が、これがビッグ・サプライズ!

久しぶりにターン・テーブルに。

兎に角、Celloが見事にソロ楽器として成り立ち、しかも驚くほどスイングしている。「何となく堅物」という先入観、イメージは直ぐ消え去る。

NEW JAZZの音の良さは定評がありますが、RVGによる録音がイイ。いい意味でゲルダーらしくないゲルダーの音で、ナチュラルな音の魅力がギュッと詰め込まれている。

そして、演目の良さ。"Confessin’”、"I Remembar You”、"Imagination”が入っていますが、一番の聴きものはB-1、ワトキンスのオリジナル"Andre’s Bag”。哀愁たっぷりのジプシー・メロディ、Celloの音色が信じ難いほどピッタシ決まっている。更にラティーフのfl、H・ローソンの感傷的なソロも泣かせてくれる。どこかでこの曲が流れたら、その場で耳だけでなく体全体がフリーズするでしょう(笑)。

また、ペッパーの名演で知られる"Imagination”、情緒纏綿に弾き語るワトキンスのソロに驚きを隠せません。恐れ入りました。

 

本作は1960年録音でモノラル・カッティングされているはず?と考え、SHURE44G・N44-1(MONOスタイラス)を。音の粒立ち、輪郭はDL-102に比べやや後退するもののアコースティックな心地よい響き、否、香りが部屋いっぱいに広がります。 

時にはグルヴィーに、時にはブルージーに、そしてセンチメンタル、ロマンティックに、ホーン・ライクにどんどん攻めるワトキンスのCello、清らかでインパクトあるラティーフのfl、渋い味を聴かせるローソンのP、これは快作間違いなし。

 

 

 

幻のレーベル「トランジション」の中でも超レア盤の一枚と知られる"AT LARGE”。

 

 

1979年キングからリリースされた国内盤です。ライナー・ノーツでは1955年録音と記載されていますが、1956年12月8日が正しいようです。

イースト・コースト・ジャズの気運が高まった時期にレコーディングされ、今の耳で聴くとやや緩く聴こえるけれど、その後のハード・バップ・シーンを彩る面々が参加している所がポイントですね。ただ、ワトキンスのリーダー作としての存在感はそれほど濃くありません。

RVG・スペシャル・エディション版のCDも持っており、曲順がレコードのA、B面と逆になっていますが、何も言及されていない。

二つを聴き比べると、LPはややハイ落ちでシンバルが奥に引っ込んでいるのに対し、CDはまるで強壮剤を注入したようにエネルギー感が増し、シンバルもちゃんと出て良いのが、何だか50年代が遠ざかっているような気がしないでもない。

因みに、Goldmine誌ではオリジナル盤がNMで$1,200、一方、"SOULNIK”は$60、その差は20倍!ですが、内容は・・・・・・・

 

1962年、自動車事故で他界、享年27。真に惜しい逸材でした。


Staxのシェル + SHURE Me97HE で ・・・・・・・ JAZZ CONTEMPORARY / KENNY DORHAM

2018-04-15 | お遊びオーディオ

 

Staxのシェルを入手。

ややレトロ調の中にシャープさもあり、組み込むカートリッジはルックス重視でケース・ヘッドに同じアルミ素材を使っているSHURE・Me97HEをチョイス。一体感が出てキリッとスタイリッシュに。

 

 

リード線は付属品ですが、やや太めのOFCかな?何となく期待が持て、セラミックスのスペーサーを差し込みます。このスペーサー、音像をクッキリさせるなかなかの優れものです。カーボン製のスペーサーもありますが音をデッドにさせるので高域の五月蠅さをを抑えるには効果的ですが、タイトな音を狙うにはセラミックスですね。人気があるのか、ネットでかなり高額な価格でも直ぐ販売済みになります。 

 

 

このStaxのシェルはアルミ・ダイキャストでアームとのホールドをしっかりさせるダブル・ピン仕様、また傾き、オーバーハングの調整が出来る機能まで付き、思いの外造りが良いです。

 

 

3、4枚軽く流し、良い手応えを得た所でドーハムの好きなTIME盤を。カヴァがゲート・ホールドではない2nd盤です。

あの「JARO盤」の僅か一ヶ月後の録音なのでドーハムは好調さをキープし、メンバーもpがフラナガンからキューンに入れ替わっている程度で「JARO続編盤」と言っていいでしょう。「JARO盤」が余りにも有名なため日陰もの扱いされているけどクオリティにそれほど差を感じません。゛Monk's Mood”では、他の人が演ると「はい、モンクを・・・・・」となる所を、ドーハムは自分の世界にしっかり落し込んでいる。流石です。

イラストのカヴァ、こうして改めて見るとなかなかGooです。もっともドーハムを連想するにはチョット・・・・・・・・・

StaxとMe97HEの新しいコンビで聴いてみると、ドーハムのハイ・ノートに厚みと芯が出て、キューンのpの響きに光沢感が増し印象度がグッと上がりました。リード線、スペーサーの相乗効果もあるのでしょう。

従来のバップ・ピアニストとは異なる感覚のキューンのpがこれ以上、自分を出すと全体の調和を崩し「OB」となる寸前で止め、程よいスパイス役を果たしている。

 

 

以前は「目立たない優等生」と思っていたMe97HEがイメージ通り「いい仕事」をするようになりました。世間では「エネルギー感がいま一つで平凡」と噂されましたが、手間ひま掛けてやると本来の力をちゃんと発揮してきますね。ま、何事もそうなんですが。

この「澄んだ音」は数あるSHUREの中でも異色で、非凡です。暫く常用に。 


LEGACY OF FREDDIE HUBBARD (8) ・・・・・ BORN TO BE BLUE

2018-04-07 | Legacy of Freddie Hubbard

 

10年前、惜しくもこの世を去ったハバード、今日、四月七日は 誕生日で生きていれば80歳。

カミさんは友達と奈良へ、静かにハバードを偲ぼうとこの一枚を。1981年12月14日、パブロに吹き込んだ゛BORN TO BE BLUE”。

パーソネルは、FREDDIE HUBBARD (tp)HAROLD LAND (ts)BILLY CHILDS(p)LARRY KLEIN(b)STEVE HOUGHTON(ds)BUCK CLARK (per)

曲は、A面ー Gibraltar、True Colors

   B面ー Born To Be Blue、Joy Spring、Up Jumped Spring

 

幕開けはかって地中海と大西洋を繋ぐ軍事拠点、要衝として知られた「ジブラルタル」をイメージしたハバードのオリジナル。スリルとサスペンスが交錯し、対岸のアフリカ大陸を連想させるエキゾチックな香りも帯びた名曲にして名演。酸いも甘いも噛み分けたスケールの大きいハバードのtpが縦横に駆け巡る。トランペッターを志す若者が聴いたら、誰だって憧れるだろう。

"True Colors”は゛HIGH BLUES PRESSURE”(Atlantic 1967年録音)に初出し、ハバードお気に入りのオリジナル・ナンバーで何度もレコーディングしておりアグレッシブな快演。

本盤は鮮やかなRED WAXです。

 

 

 " Born To Be Blue”、「生まれながらにブルーで・・・・・」と不幸な星の下で生まれた宿命を悲哀感を滲ませつつ深追いせず、むしろ暖かく抱きしめるような包容力に満ちたプレイは見事のひと言。インストものではダントツの名ヴァージョン。密度が濃く深みのある音色も聴きもの。他のプレイヤーではちょっと真似できないでしょう。

ブラウニーの"Joy Spring”、文字通り春の喜びを目一杯tpの音色に乗せて歌い上げている。キレも良くもう何も言うことはありません、パーフェクトですね。

ハバードの人気曲の一つ"Up Jumped Spring”、曲想、曲調はリリカルだけれど、ハバードは思いの外ストレートに攻め、しかも熱くなり過ぎないよう抑制している所がカッコいい。

ベテランのランドもコルトレーン・マナーを上手く消化した渋い味を出し、特にかっての十八番"Joy Spring”ではオリジナル演奏を凌駕しているのでは、と思わせるほどのHOTな好ソロを聴かせる。また、全編に渡りクラークのパーカッションが彩りを効果的に添えている。

ハバードの懐の広さ、深さを秘めた「大人の名盤」。なお、プロデュースもハバード本人がしている。

ハバードを斜めからしか見ない人達は何億年経っても本作の魅力に到達できないだろう。ま、どうでもいい話ですが・・・・・・

 

ハバードを偲んでもう一つ。

72、3年頃、来日していたハバードを京都・三条河原町のジャズ喫茶?、ライブハウス?に聴きに行った。直ぐハバードの顔から汗が吹き出し、ジェスチャーで「何か拭くものを」と、偶然持っていたタオルを投げ渡した。演奏後、サインを求めると、覚えていて「サンキュウ」とバッグのキャンバス地にメンバー全員のサインを。

FREDDIE HUBBARD、GEORGE CABLES、LENNY WHITE、JUNIOR COOK、RUFUS REID

 

 

 

まるで昨日のように思い出される。何年過ぎようとも、いくつになってもハバードは"Evergreen"なんです。


音色に酔う ・・・・・・ JAY HAWK TALK / CARMELL JONES

2018-04-01 | ジャズ・tp

安レコ・コーナーでファクトリー・シールド状態のこのアルバムを見つけた。

地味な作品とは言え、1,000円とは!哀れになり買って帰ろうと思ったが、ひょっとして探しているファンがいるかも?と、元に戻した。

欧州から帰国後の1982年録音、C・JONESのオフィシャル・ラスト作。

 

 

その昔、CARMELL JONESの名は知っていたものの、具体的にその存在を意識したのは、70年頃に入手したバック・ナンバーで残っていたSJ誌の別冊。

中身が濃く、今でも時々読み返しているけれど、ちっとも飽きない。表装はカラーだが、中ページはモノクロでレトロ感に溢れている。コルトレーンはまだ存命中、正にモダンジャズ絶頂期ですね。

 

 

初心者に近い当時、巻末の「304選」は大変、参考になった。今から思うと「304」なんて中途半端ですね。でも、ある意味厳選の証拠かも。

現在、所有しているのは半数も満たない(笑)ので出来の悪いジャズ・ファンです。

 

 

何度も繰り返し読み、気になるレコードに赤鉛筆で印を付けた。 

 

 

その中の一枚がコレ。暫くして入手。

 

 

TOPのタイトル・ナンバー、いきなりジャズ・ロック。意表を突かれた。録音は1965年5月8日なのでモーガンのヒット作”SIDEWINDER”(1963年12月21日)を意識したのだろう。でも、こちらは”SIDEWINDER”のノリの良いチャーミングさはなく、どことなくぎこちない武骨な味を妙に聴かせ、これはこれで悪くない。同じハリスが「真似してないぜ」と言わんばかりに鍵盤をガッ~ンと叩いている。

2曲目”Willow Weep For Me”、これはもう取って置きのワン・ホーンによるショー・ケース、歌心、音色、共に素晴らしいですね。その後もジョーンズの優れた資質が生かされる曲材が選ばれ、ジョーンズはそれに見事に応えている。時折、ブラウニー・ライクなプレイ、フレーズが顔を出すが、カーメルのアイデンティティーはしっかり確立されている。

しかし、本作の録音後、まもなく欧州に飛び立っている。恐らく、彼は本国のジャズの時流に見切りをつけたのだろう、どこか吹っ切れたようにはつらつとしている。

ただ、不思議なのは、その後、欧州でリーダー作がリリースされていないこと。70年頃、PRESTIGEから”IN EUROPE 1965-1966”がリリースされているけれど抜粋もので正式ものではない。MPSにリーダー未発表音源が残っているとの噂がありますが定かでありません。   

 

 

本アルバムのもう一つの魅力は「音」。

所々、歪みぽくバランスが崩れ気味で問題点がないことはありませんが、このじゃじゃ馬的リアルさは半端ではありません。エンジニアはRichard Alderson。

カーメルのtpが生き生きとしている。

SHURE・V15typeⅤは彫りが深く芯を捉え、typeⅢは密度はtypeⅤに及ばないものの程良いブライト感が加わりカーメルの音色に聴き惚れます。

typeⅢがいまだに絶大な人気を得ているのも頷けますね。

本盤をハイエンド・システムで聴いたらどんな音が出るのだろう、想像も付かない。