昨年、リリースされたアナログ2枚組。1973年、パリでライブ録画(録音)された音源。2011年にDVD”LIVE IN FRANCE”で一部が日の目を見ているけれど、オーディオ単独でリリースされたのは今回が初めてです。妙に発掘音源と煽らないスタンスが好ましい。
DVDと異なる収録曲は”Straight Life”の替りに”Sky Dive”と”Povo”が新たに入り、3曲→4曲に増えている点です。
1973年と言えば、CTIから”RED CLAY”、”STRAIGHT LIFE”、”FIRST LIGHT”、”SKY DIVE”と傑作、人気作、グラミー受賞作、話題作(K・ジャレット参加)を立て続けに発表し、スターへの階段を一歩一歩登り、翌年にはあのマイルスを人気投票で破り、人気、実力共にマイルスと肩を並べる存在になっている。
収録されている4曲は、良く知られているオリジナル作ですが、既発のレコード(CD)が持つ完成度より、ライブ演奏の魅力の一つでもある臨場感、エナジー感が堪能できます。中でも人気曲”The Intrepid Fox”(勇猛な狐)では、まるでコルトレーンがtpを吹いているのでは、と思うほど凄まじいプレイを聴かせてくれます。また、「日陰の男」、J・COOKのコルトレーン・マナーをマスターしたtsも聴き物ですね。
こちらがDVDの”LIVE IN FRANCE 1973”。”Straight Life”、”The Intrepid Fox”、”First Light”の3曲が収録されている。なお、YouTubeでも観れます。
リーフレットに載っている写真は当ライブと異なります。
マイルス以降では、他のtp奏者に大きな影響も与えた最高のトランペッターですが、90年代初頭以降、トランペッターとしては致命的な唇のコンディション不良、フィジカル面の問題に悩まされ、思うようなプレイが出来なくなったことは誠に残念です。タイトルはシンプルだが、ハバードの真摯なプレイぶりは50年後の今でも無双です。