jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

LENNY McBROWNE / AND THE 4 SOULS & EASTERN LIGHTS ・・・ 山椒は小粒でもぴりりと ・・・・・

2017-03-24 | ジャズ・ds

 

前回UPした‘ALL MEMBERS / DON SLEET ’のライナー・ノーツ(by IRA GITLER)によると、スリートはL・McBROWNEが率いる‘AND THE 4 SOULS’のメンバーとしてレコーディングしている。

「当たるも八卦、当たらぬも八卦」で、次の狙いの一つが決まった。

1stアルバム‘AND THE 4 SOULS’(PJ-1)、1960年1、3月録音。

 

 

‘ALL MEMBERS’と同じ「地下室」であっさりと。

カヴァにスレはほとんどなく、底割れがあったけれどノリで充分補修できる程度で、盤質はパーフェクト。まだこの頃は、P・Jの完コレを目指すコレクター、W・コースト・ジャズファン以外、あまり見向きもしなかったのでしょう、トントンされ底割れしているのが何よりの証拠で値段も想定内でした。

ちょっと味なアレンジが施されている点、W・コーストらしさが感じられるもののバリバリのE・コースト系のハード・パップ。

音」がイイ。 Engineeringは‘ Dino b.Lappas’と記載され、鋭いスリートのtpがビシビシ迫ってきます。H・ランドを若くしたようなD・ジャクソンのts、pはやや硬目でボリュームあるH・ルイスのb、兎に角、ゴリッとしたアウトプット感が満点。

McBROWNEは「小型M・ローチ」と異名と取るほどの正統派で、親分、M・ローチが日本であまり人気が無い?せいなのでしょうか、ほとんど話題に登りませんが、さすが律儀に決めてくる。

話が横道に逸れますが、以前、日本公演でローチの格調高い芸術的なドラミングに「この人、やっぱり本物や!凄い!」と聴き惚れました。レコードだけで決め付けるのは危険ですね。

なお、このオリジナル盤は後になって巷で「極めてRARE」と噂になったようです。 

 

 

先週末、ぶらっと中古店へ

ずっと縁が無かった2ndアルバム‘EASTERN LIGHTS’(RLP346)にやっと。

コンディションはカヴァも盤も超美品!しかも納得が行くプライス。人気が無いのですね。

 

 

bがH・ルイスからJ・ボンドに替わった本作もスーツ姿通り、ビシッと決まっている。一流イースト・コースト派ハード・バップも顔負けです。

録音は1960年10月、西海岸屈指の名手WALLY HEIDER。タイト過ぎるモノラル音は本作にピリリ感を更に与え、リーダーの統率力が見事に発揮されている。

全8曲中、7曲がD・JACKSONのオリジナル(編曲は全て)で占め、一曲だけスタンダードの‘Like Someone In Love’を気持良く吹き綴るスリートのtpを聴くと、叶わぬ夢ですが、この人のスタンダード集を聴きたくなりますね。

 

 

‘ALL MEMBERS’に出会ってから、30年を越す歳月が・・・・・・・

DON SLEET、僅か3枚の道は完結したが、なんだか逆に寂しいね。


渋谷・「地下室」のメロディ ・・・・・ ALL MEMBERS / DON SLEET

2017-03-20 | ジャズ・tp

 

 

「富士そば」の角を曲がる時、いつも「今日は開いているかな?」と不安になる。三、四回に一度は臨時休業、又は、所用でオープンは午後〇時から、とプレートが掛かっていた。ま、マスター一人で切り回しているのでタイミングが悪かった、と諦めるしかない。でも、開いていた時は、妙にテンションがハイに。

 

ある日、転げ落ちそうな階段を降り始めると、今まで耳にしたことが無い音色とフレージングのtpが流れてきた。誰だろう、一瞬、B・ミッチェルかな?と思ったが、チョット違う・・・・・・・・・・

‘Secret Love’だった。続いて‘Softly As ・・・・・’が。tpがリーダーでJ・ヒースとケリーは解ったけれど、いくら頭を巡らしてもtpはサッパリ解らない。

マスターがレコードを納める時、カヴァを横目でチラッと。 今のようにネットからの情報はなく、どうしてこの盤の存在を知ったのか、記憶は無いが、狙っていたブツだった。因みに「幻の名盤読本」にも取り上げられていなかった。

まだ、あまり注目されずSTEREO盤だったためか、NMでも懐の心配は要らなかった。

カッティング・レベルはやや低いもののパワーを入れると音が豹変する。エンジニア・RAY FOWLERの特徴の一つです。

 

格上のサイドに囲まれ、無名のスリートのtpは線は細いけれど、何とかリーダー・シップとオリジナリティを出そうと一生懸命、工夫している。好感が持て、‘But Beautiful’を聴くうちにだんだん応援したくなりますね。

ベスト・トラックはラストの‘The Hearing’、モード色と仄かなエスニックな香り、そしてサスペンス・タッチが交錯するC・ジョーダンの隠れ名曲。ケリーのバックでJ・コブのリム・ショットが入る辺り、勝手に手足が踊りだす。

 

スリートも「ヤク」に溺れたそうで、リーダー作はこの一枚で終わってしまった。残念です。

 

 

 

遥か昔の思い出の一ページ。 


THE SOUND OF SONNY / SONNY ROLLINS ・・・・・ 本当は「鋼」のように・・・

2017-03-11 | ジャズ・ts

 

 

何を演っても名演、ずらりと名盤が行列を成すロリンズの1957年。

その中でまるで埋もれ木のようで、孤独な一枚。

人気者S・クラークの東海岸進出の初陣とキャッチコピーがいくら煽っても虚しく響くばかり。他の傑作に目が行って後廻しのままかもしれない。

以前から気になる事が。

何年か前、あるジャズ専門誌に載った評。評者が購入したCD(デジタルK2マスタリング)が「ジャズの音にしてはおとなしい。もし、RVGだったら良かったのに」とぼやき、冴えない音で聴いた評はややネガティブに書かれていた。まさかこの評だけで「孤独」の存在になったとは思わないけれど、問題は、そうした正規の国内CDが流通している(いた)事実。それと、残念なのは、「音」に不審を持ち、本当の音を確認する努力を怠った事、プロならば、そこまで突っ込んで欲しい。また、RVGが全てではありません。ちょっときつい言い方になってしまったが、そうしないと誤った風評が流れてしまい、本人、リスナーにプラスにならないと思う。

 

所有する盤はセカンドorサード・プレスのモノラル盤(オリジナルはホワイト・ラベル)。

「おとなしい」とは真逆の「鋼」のような硬質のロリンズのtsが鼓膜を突き破りそうで、クラークのpにしてもBNとは違い輪郭がハッキリした音となっている。ただ、bはややぼやけているが「全体の音」は実に混濁なく「優秀録音」ですね。オリジナルならbもしっかり出ているかも。

だから、たまたま、そのCDが拙かったと言えます。ただ、この時期のリバーサイドの録音はバラツキがあり、同じ録音でもMONOとSTEREOでは極端に違うケースがあるので要注意です。まさか、このCDがSTEREO・ヴァージョン、或いはMONOへミックス・ダウンしているとは考え難いですが・・・・・・・・・

 

 

 

この問題は言い出すとキリがないので、この辺で。

 

で、内容について「小唄もの」とか「鼻歌まじり」とかのコメントも見受けますが、そんな「柔」じゃありませんよ。恐らくこのCDを聴いた感想でしょう。

このブルー・ラベルのMONO盤の「音」を聴けば、他のts奏者が束になっても、逆立ちしても敵わない1957年のロリンズに圧倒される。

 

「嘘」と思うか、「信じる」か、機会があれば、一度試してみる価値はあります。聴き方、見方が変わります。

カヴァをちょっと観察すれば、自ずと・・・・・・・・・ タイトルは決して 嘘をついていない。


MORE FROM THE VANGUARD / BILL EVANS ・・・・・ 一粒で二度美味しい

2017-03-04 |  Artistry of Bill Evans

 

 

冴えないカヴァだけれど、コレがいいんだなぁ~

1984年リリースの国内盤。邦題は「不思議な国のアリス」。

中身は、1961年6月25日のあの‘VILLEAGE VANGUARD’ライブの未発表別テイク集。

‘Sunday At ・・・・・・・’と‘Waltz For Debby’の二枚を一度に聴いた気分になります。

曲目は、

A面 ー Alice In Wonderland 、 Detour Ahead 、 All Of You
B面 ー Gloria’s Step 、 My Romance 、 Jade Visions 、 Waltz For Debby

 

本番テイクと聴き比べるは野暮というもので、本作は曲の配列が抜群で落穂拾い臭は全くなく、独立した作品として充分価値があると思う。それだけ各テイクのクオリティが高いというワケ。

ラファロのオリジナル‘Jade Visions’は、こちらのテイクの方がエヴァンスのpが短いながらも素晴らしく自分は好きですね。

全体に、本番テイクに比べ、ややスィンギーと言えるかな? 秘かな愛聴盤です。

なお、‘The Village Vanguard Sessions’(MILESTONE 2枚組、1973年リリース)で既に日の目を見ているため、本作にも収録されなかった‘Porgy’は後に‘Waltz For Debby’のCDのボーナス・トラックで初めて聴きましたが、コレもいいですね。他の曲とちょっと雰囲気が異なるため本番から外されたと思いますが、音楽家としての「器」の大きさを感じます。秘めた愛を深々と語り綴るエヴァンスのpにころっと殺られる。

 

久し振りに後期エヴァンスの人気盤‘You Must Believe In Spring’を。

エヴァンスの最高傑作と言う人もいるけど、さぁ、どうかな?

 

 

 

煌びやかな音色とナイーブなタッチ、エヴァンス流リリシズム、確かに文句の付けようがありませんね。

でも、‘MORE FROM THE VANGUARD’、‘Porgy’を聴くと、エヴァンスが生前、何故、リリースを認めなかったか、その理由が何となく解ります。

 

エヴァンスにとって「あの日」は「特別な一日」ではあったけれど、「奇跡」では・・・・・・・・・