ts奏者としてのW・ショーターの実力は誰しも認めるけれど、「好み」という尺度ではどうなんだろ?
「よう解らん」という声が聞こえてきそうです。
あの独特の節回しと曲作りは、ミステリアス、黒魔術、果てはオカルト、等々、「個性的」を通り越したある種のイメージが付き纏う。
特に前期BNに於けるリーダー作は、そうした打ち出し(個性の強調)が意図的にされていた節があるので、まぁ、止む得ないでしょう。
そこで、ショーターがサイドマンとして参加したアルバムで、気に入っているソロを採り上げてみました。
一枚目が‘THE SOUL MAN / BOBBY TIMMONS’(PRESTIGE 7465)
パーソネルは、
BOBBY TIMMONS (p)、WAYNE SHORTER (ts)、RON CARTER (b)、 JIMMY COBB (ds)
録音は1966年1月20日
なかなか興味湧く人選です。当時、ショーターはBNと専属契約しており、PRESTIGEでの録音は最初で最後では?と思います。
サイドで加わっているにもかかわらず、まるでリーダーかと錯覚させるほど、吹きまくっている所が面白い。
その中で良いソロを取っているのが、ラストのカーター作‘Little Waltz’
ショーターが未だ嘗て聴かせた事がないほど語り込んできます。いつものショーターらしくなく、ひょっとして、これが本当のショーターの姿ではないか、とさえ思いますね。 Very Goodです。
一方、アルバム・リーダーのティモンズはどうか?と言えば、「庇貸して母屋取られた」諺通り、影が薄い。
ただ、イメージ・チェンジを図っている最中なのでしょうか、ラス前の‘Tenaj'では、なんとA・HILLライクなプレイを聴かせ、結構、決まっている。
タイトルとカヴァはダサイけど、中身はそれなりにいい線をいっています。、「ソウル」の解釈は米国と日本ではかなり異なっているようですね。タンクトップから連想する「汗臭さ」は感じない。
二枚目は‘EXPANSIONS / McCOY TYNER’からマッコイのオリジナル作‘Peresina’
飄々として伸びやかなショーターのソロが圧巻!並のts奏者と格の違い見せ付けます。
ただ、後半、些か情緒を欠くマッコイと執拗なホーン陣のアンサンブルが、折角の美しいメロディをぶち壊している。
アルバム全体を通して、マッコイの「独り善がり」が全面に出ていて残念。
いみじくもカヴァが全てを物語っている。