jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

本音はラストに ・・・・・INVITATION / AL HAIG

2024-09-12 | ジャズ・p

 

本作の目玉を1、2曲目の”Holyland”、”Invitation”とするのは、間違いではありませんが、正しい聴き方か?と言えば疑問が湧きます。通称、ミントのヘイグといわれる"TODAY"から9年を経て吹き込まれた本作の一番の聴きものは、ラストのヘイグのオリジナル曲”Linear Motion”。ミディアム・ファーストのテンポで魅力的なメロディをモーダルに弾き切るヘイグに、「伝説のパップ・ピアニスト」の面影を探すのはまず困難だが、この”Linear Motion”に新生ヘイグを聴き取る事が正しい聴き方で、本作が単なる懐古趣味的作品ではなく、74年という時代性を感じさせてくれます。

タイトル曲の”Invitation”ではボッサのリズムに乗り、煌びやかに格調高く奏でるスタイルはやはり魅力が有ります。右手の華麗なヘイグ・タッチは健在で他のオリジナル2曲もいい出来です。ただ、”If You Could See Me Now’、”Daydream"’といったスロー・ナンバーでは、感情移入にやや乏しい所が見受けられます。自分のオリジナルと比べると、大げさに言えば別人に聴こえる時があります。そうした、傾向は、以前の演奏からも時折、垣間見えていたのも事実です。例の"TODAY"でも自作曲"Thrio"のテンションの高さに対し、他の曲は甘く流れているあたり、気になります。同じ「伝説のパップ・ピアニスト」でも、オーバニーやマーマローサと違いpに立向かう気迫とか一途さが希薄と思います。でも、その軽さが、ヘイグの魅力なのかもしれません。
チョット辛口になりましたが、1982年11月16日、急逝するまで、カンバック前より多くのリーダー作を発表するヘイグの再スタートを記念する充実した一作であることには、違いありません。

 

いっそ"Linear Motion"をトップに持ってきていたならば、本作の価値がもっと上がっていたのではないでしょうか。ヘイグの本音は、ひょっとしたらこの"Linear Motion"だったかも。まぁ、そのあたりが、「伝説のパップ・ピアニスト」と言われるようになる所以かもしれません。