年一回の同窓会、一人欠けたが、去年日程を間違えて欠席した人が入ったので、同じ人数が集まった。
人数は同じ、お互いの話も相変わらずなのがよい。
だが、一年の間に変わってしまったことがある。
店の人の作法である。
テーブルの向かい側から持ってきた料理を差し出す。
手が届けばよいというものではない、そのようにしつけられていない。
皿を置く場所をあらかじめ空けておかずに、出す料理をテーブルに仮置きする。
それがガスコンロの上だから勇ましい。
人数分盆に載せてきたぐい飲みを、そのままテーブルの真ん中に置く。
銚子を差し向けられ「ぐい飲みちょうだい」と言ったら、歩きながらの返事が「あそこにあります」
何年も同じところで会をやってきて、よい店だと思っていたのだが、まことに残念。
質を上げていくには長い年月がかかるが、下げるほうはまねが簡単だから、たちどころに下落する。
これでは早晩看板が変わるかもしれない。
看板がちゃんとあっても迷子になりそうなこの店、看板が変わってしまってははなはだ迷惑である。
店ならいくらでもあるだろうってか、そんなものではないと思うのだが。
禅が教えてくれる 美しい人をつくる「所作」の基本 | |
枡野 俊明 | |
幻冬舎 |