余分な手間をかけても、余計なことはしない。
自分の仕事が少し遠回りになっても、決められた仕事の範囲外には手を一切出さない。
写真のように、その結果を見ると、ほほえましくさえなることもある。
施工範囲から言えば手抜きでもなく、こういうのを何と呼ぶのだろうか。
計画や設計はすべて主観的な行為であると言われる。
手抜きは主観の欠落で起こる。
では、主観の欠落はどうして起こるのだろうか。
それは、計画、設計、施工の標準化基準化徹底のおかげのような気がしている。
標準化基準化は、決められたとおりのことにしか頭脳を働かせない。
そうなれば、頭脳は惰性で動く。
惰性で動いている範囲にしか頭が回らなければ、少し変わったことが目の前に現れても、その実態にうまく対応できない。
この歩道境界線の施工仕様書の文面を想像してみた。
「道路面に突出物があった場合には、車道側にそれを避けるかたちで迂回して線を引くこと」
まっすぐ行ってぶつかるものは、すべて突出物にしか見えなかったか。
世界市場を制覇する国際標準化戦略―二十一世紀のビジネススタンダード | |
原田 節雄 | |
東京電機大学出版局 |