話すときは相手の顔を見よ、目を見よと、よく言われます。
相撲で立ち上がった後は、相手の顔を見ていてはだめで、足を見よと言われます。
目を見て話し、足を見て取る、そうすれば全体が見えます。
話すとき目を見るのは、聞いた相手の心、つまり相手の総体の反応が目に表れます。
取り組み中の足の動きには、相手の体全体の様子が伝わります。
記念写真、集合写真は写り方がむずかしいと言う人もいます。
___(燃焼のための習作:堀江敏幸)
あえて見せたくないけれども見せなければ用が足りない、そう思っていやいやカメラのほうを向けば、そういう顔に写ります。
並んでも顔が写らないように半分隠れる人もいます。
写真屋さんなら、そこの赤いマフラーの方もうすこし左へ、はいその位置を変えないでください、などと言って顔が写るようにしますが、いち足すいちは、と言ってみるだけの通りがかりのシャッターマンでは、そこまで気遣ってはくれません。
足元の美しい人は、歩き方が美しく、体全体が美しく見えます。心まで美しく見えます。
靴がブランドものだからでも、足の手入れがよいからでもありません。
心が体の動きにあらわれ、それが歩き方になり、足元に顕れるのです。
CMのモデルにも、歩き方を見せよう見てみてと、ぶざまな写り方をする人がいます。
ここにきて、なぜ目と足がそんなに、と考えて気付きました。
弱り始めの一番手二番手が、目と足だったのです。