食事をせずに、サプリメントだけ飲んで生きていけるようになったら、ずいぶん楽だろうと考え、実践に及んだ奇人がいます。
炊事の手間が省け、食卓は無用、食器もいらない、噛む面倒もない、飲み込むだけで幸せ、というわけです。
まず足が弱り、手の力も衰え、目はスマホの画面しか見えず、歯が一本ずつ順に抜けてきました。
飲み込む動作だけは巧くなり、水もごくわずかで錠剤も顆粒もするっと入っていきます。
5年後にどうなったか、10年後にはどうか、それはご想像にお任せします。
この人は、サプリメントというカナ文字の魅力に惑わされたと語っていたそうです。
「補う」ものであるのに、「任せてよい」ものと思ってしまったというのです。
補助金依存症も、それ罹ると自力のだんだん失われていくところが、サプリメント依存症によく似ています。
お助けが過ぎれば、寄りかかるほうはますます弱くなります。
背負ってもらってあたり前と思い出したとき、お助けがお助けでなくなります。
お助けは、薄紙のような、ただしポリフィルムのようにペラペラでない、紙風船のようにふわっとした感じが互いに心地よさそうです。
ライトサポート、助けるほうも、助けられるほうも、互いに背負い込まない軽いお助け、それがよさそうです。