あかい実がよっつ残っている。
そういえば、赤といえばこの色をその昔象徴色としていた主義主張の国家や陣営があった。
今でも大国が残っているが、その主義の実はそれほど残っていないようにも受け取れる。
原始的なその主義の理想は、
「おのおのが能力に応じて提供し、必要に応じて受け取る」
というもので、最も素晴らしいことのようにも思えた。
しかし、共に産み出す為のその試みは、画餅に終わった。
つぐみ達は、赤い実を全部食べてしまった。
残すことは愛と結びつかないだろうか。
未来も含め、他者の欲求を、自分や愛する人と同じように思いやり、余剰を造り、残す。
そういえば、親父はいつも、寄り合いでもらった弁当に箸もつけずいつも持ち帰って子供への土産とした。
それは、ご馳走に餓えた僕らの一番の楽しみだった。
僕は、何か残せているだろうか。