最近、長く乗りたいという相談が増えています。なかなか回答えが難しい問題で、車両の程度と使用状況により、かなり変わってきます。長く所有してきて、これからも乗るという場合、走行距離が少ない場合で保管状況が良い場合、適度に動かして、動態保存を心掛けた方がよいです。問題なのは、走行距離が多かったり、屋外保管で錆が多い場合になります。走行距離が多い場合は、各部それなりに劣化していますので、消耗部品で交換可能な部分は交換し、状態に合った油脂類を使用した方が良いです。車体の錆びについては、部品が手に入るうちに交換し、錆びさせないように気を使うしか方法が無いです。これから中古車を購入する場合は、高くてもなるべく程度の良い車両を購入した方が結果的に安いです。機械部分は、丁寧に扱われた車両であれば、年式よりも状態優先で構わないと思いますが、電気部品とした場合は、なるべく年式が新しい方が配線等の劣化が少ないです。長年、機械物を車やバイク等で見てきていますが、カスタム車の場合は、社外部品の耐久性が無かったり、社外部品を使用したことにより他の部分に負荷が増え、負荷が増えたことにより寿命が短くなったりすることもあります。カスタムを否定しているわけではなく、機械物を長期間維持する場合、純正ノーマルが一番楽ですが、カスタムした場合は、純正以上に整備に気を使う必要があります。
車検と整備でお預かりです。お預かりした翌朝に床にクーラントが垂れていたので、修理追加です。
バッテリーは、点検のみです。
エンジン始動前と始動後(ヘッドライト消灯時)の電圧です。充電系は平気そうです。
エアクリーナーは、純正新品だと思われます。ダイヤフラムは、過去に交換しているので、回転や作動不良は見られません。
スパークプラグは、NGK製JR8Cで、今回は、点検清掃のみです。ただ、プラグキャップとコードはノロジーですので、点火時期に影響があることと、防水性が無いので、右側が錆びやすいです。オーナーからミッションについて相談を受けていたのですが、乗ってみるとシフトの変速機構自体に問題があると思い、クラッチ部分を外してみました。
写真は、シフトドラムとチェンジの送り部分のアップです。シフトドラムの送り部分は、対策済みの年式で、ピンが抜けるということは無いのですが、位置決めを行ってる部品が、何かの拍子に曲がって位置がずれてしまっており、シフトドラムの回転時位置決めができない状況でした。曲がった上に擦れて角が丸くなっていたので、該当部分の部品をセットで新品に交換しました。
エンジンオイル、オイルフィルター、ギアオイル交換中です。クラッチフルードが減っていましたので、クラッチレリーズ側を確認です。
クラッチレリーズからフルードが漏れていましたので、アッセンブリで交換しました。油圧クラッチで、リザーブタンクが小さいと、漏れた場合、空気が入るのが早いです。
最初にクーラント漏れは確認しましたが、エンジンオイル混入は無いようです。
クーラントを全量抜いて、漏れ修理です。フロントフォークオイル交換中です。トップキャップのOリングとダストシールは交換しました。インナーチューブに点錆ができ始めているので要注意です。
前後キャリパーは、点検清掃のみです。
ラジエターキャップが付いているアルミブロックに水温センサー用のアースコードがありますが、切れかけていました。すでに絶版でしたので、製作しました。
フロント&リアブレーキフルードは、通常交換しました。
車検は多摩陸事です。今回交換した部品類です。
最終チェックと試乗です。ミニカウルが付いていますが、装着状態だと光軸調整不可です。また、ホースやワイヤー類の通し方に無理がかかるので、抵抗になり、ハンドルの切れ方が遅いです。シフトについては、位置決めが可能になったので、シフトチェンジがやりやすくなりました。この状態で、ミッションの状態が問題無いようであれば、エンジン内部の修理はしなくてもいいかもしれません。納車可能ですので、よろしくお願いいたします。
2021.03.13 作業担当 ヤダ(矢田)