量子暗号通信は量子力学の性質を応用した技術ですが、衛星を利用してこの暗号通信を実現するものです。
即ち、その仕組みは、以下のようなイメージとなります。まず、地上から指示を受けた衛星は、送信側へ暗号化に使用する鍵の情報を乗せた光子(光の粒)を伝達します。送信側は、受け取った鍵の情報を用いて送信データを暗号化し、通信相手へ送り出します。受信側は、衛星経由で暗号鍵を共有し、受け取った暗号化データを解読します。
ここで、衛星から伝達される鍵は、1回ごとに廃棄されるようになっています。また、衛星から陸上への伝達の際、盗聴されたりすると情報が変化し痕跡が残るため、その鍵を使用しないようにできるため、安全性が確保されるとのことです。
政府は、2022年度に実証実験を行い、2027年度までに実用化を目指すとのことです。
なお、NTTや東芝など民間においても活発に技術開発が行われているようですが、光ファイバーを用いた地上での通信が中心のようで、通信可能距離は100km台と短いようです。これに対し、衛星を用いた量子暗号通信では、数1000kmの通信も可能とのことです。
なお、衛星を利用した量子暗号通信としては、NICTが2017年7月に超小型衛星を利用した量子通信の実証実験に世界で初めて成功しています。ただ、地上への量子の情報の伝達量について不十分とされています。このプレスリリース(2017.7.11)のサイトは、以下です。
https://www.nict.go.jp/press/2017/07/11-1.html