毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「劣等感と優越感の出処は同じ」 2012年5月15日(火) No.349

2012-05-15 23:42:30 | 中国事情
ここ中国に来て、やたら日本についての本を読むようになった。
資料室に前前任者のオオタケ先生やハシグチ先生が寄贈して
くださった本がたくさんあり、忙しいと言いながら、かび臭い資料室で
息抜きにチョコチョコ読んでいるのだ。

文化大革命後、初めて実施された全国大学入試(これ、かなり意義深いよね)で
広東外語外貿大学日本語学科に入学し、
その後いろいろ紆余曲折を経て日本の追手門学院大学とかでも教鞭を取る傍ら、
翻訳、通訳など活躍している李景芳さんの「日本人と中国人永遠のミゾ~ケンカしないですむ方法」
も、その息抜きの一冊だった。
筆者の学んだ大学は
今年の冬休み故郷に私を連れて行ってくれた劉思ていさんが、大学院に合格したその大学だ。

その2005年発行の講談社新書を読み出して、
(7年前でこれか~。今もほぼ似たような状況かも・・・)と思うエピソードが書かれてあった。

彼女はこう書いている。

『日本人は謙虚で礼儀正しい。腰を90°折ってお辞儀する・・・そんな日本人が時折見せる傲慢さ。
日本と中国の間で仕事を続けてきた私は、なんどもこうした日本人の一面に遭遇してきました。

 中国で数ヶ月に及んだ仕事を終え、日本人たちが帰国することになりました。
彼らがホテルのロビーで空港へ行くバスを待っているとき、
数ヶ月間一緒に仕事をしてきた中国人のJさんが、
ビニール袋を提げてハアハア息を切らしながら
走ってきました。
Jさんは「間に合ってよかった!」と言いながら、
袋からまだ温かい枕型のチマキを取り出し、バスを待っていた顔見知りの日本人たちに
1個ずつ手渡し始めました。
「家内が作ったんです。ご家族のみなさんと食べてください。」
五百グラムはありそうな、このチマキを受け取った日本人たちは
「シェシェ!」とJさんに礼を言ったかと思うと、
日本語でこんな会話を交わしました。
「これ誰か食べる人いる?」
「持って帰るの面倒くさいね」
「飛行機から落とすか!」
と誰かが言ったとたん、みんな大声で笑い出しました。
その様子を見ていたJさんが、私に
「なんと言っているの?」
と訊きました。
「家族の人はきっと喜ぶって・・・」
私は嘘をつきました。
Jさんの顔に笑顔が浮かびました。
日本人も笑顔、Jさんも笑顔、私だけが心から笑えませんでした。
バスがホテルを出るとき、
最後まで笑顔で一生懸命バスに手を振っているJさんの姿を
バスの窓から見ているうちに、
それまで我慢していた涙が私の視界をどんどん曇らせていきました。

日本人は相手のことを思いやり、
心のこもった「手づくり」を大切にする人たちであったはず。
その時、私は経済大国日本を背にした日本人が当然のように
中国人を見下していることを感じて愕然としました。

日本人は勤勉で努力家、
自分より進んでいるものは、一生懸命吸収しようとします。
しかし一旦相手を超えたとなると、その謙虚さは優越感に反転してしまう。
中国やアジアの国々は見下す相手・・・。
明治以来、欧米の先進国を目標に掲げた「脱亜入欧」のスローガンは
いまだに日本人の骨の奥深くまで染み込んでいるのでしょうか。(後略)』
 

ありありと頭に浮かんでくる。
見かけ満点、中身零点の日本人たちの姿が。
最近は中国経済の勢いが凄いから、
この人たち、また卑屈に戻っているかも・・・。


コメント
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