毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「トロント姉妹のお父さんー朱紹文氏」 2013年6月3日(月) No.669

2013-06-03 17:48:44 | 中国事情
昨日の続き。
朱柔(ローズ)・朱真(ジェーン)姉妹は深い教養のある女性たちだった。
1946年と1948年生まれの二人は、覚えきれないほどの肩書きがあって、
そういうのに疎い私は何回聞いても覚えられない。
どうもスミマセン状態だが、
歴史の激動期を生きたご両親の子どもとして、
下放やら留学やらカナダ移住やらと、波乱万丈の人生を歩んできた。
二人の話を聞いていると、
中国では歴史が自分のすぐ傍で息づいているのを
またしても感じる。
(日本の多くの人々は歴史というものを
全て江戸時代か平安時代みたいに思っている気がするが、
ここでは逆に、人々はつい昨日のことのように歴史を認識している)

二人のお父さんのことを調べてみた。
奇遇なことに日本僑報社
(作文コンクールでいつも応募しているお馴染みの交流出版社)の
日本僑報電子週刊 第295号 2003年04月02日(水)発行に次のような文が!


●特別転載★『あのころの日本』を読んで/東京都日中副理事長片岡健

留学生活を送る中国青年たちの琴線に触れた恩師、街、庶民‥‥
─若き日の留学を語る─
『あのころの日本』を読んで

 この本はおおむね昭和の初期から日中戦争の少し前頃にかけて日本に
留学した、中国人16人の体験談を口述筆記でまとめたものである。取材
対象は留学生といっても趙安博、米国均、林林、蕭向前などのそうそう
たる顔ぶれで、みな当時の大陸侵略の風潮と軽視偏見の中で耐え抜いて
勉強し、中国に戻ってから各界の指導的な立場で活躍した人々である。

 一読してとりわけ強い印象を受けたのは、一高・東大で経済学を専攻
した朱紹文の話。のちに東大総長もした大河内一男に師事し、同期に隅
谷三喜男や中曽根康弘がいたというのも奇縁だが、大変勉強熱心で優秀
な学徒だったことが窺える。

 昭和19年5月になんらの容疑もないのに特高警察に捕らえられ、残虐
非道な拷問を体験したすえに、奇跡的に無罪釈放になったくだりが昨日
のことのように詳しく語られる。


という行があった。そう言えば、二人の話の中にも
お父さんが日本にいたときに特高に逮捕されたという言葉があった。
1945年、中国に帰った朱紹文氏は、
その後経済学者としてたくさんの大学で教えた。
中華人民共和国建国後、
反右派闘争で大変な辛酸を舐めたが、
「He's survived.」ということで、
2011年まで、ほぼ97年の人生を生き抜かれた人である。

「あの頃の日本」―若き日の留学を語るー    
鐘少華編著 
竹内実監修 
泉敬史・謝志宇訳 
日本僑報社刊     定価2800円 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする