この結果は本当に、どこの誰も予想していなかったことです。
我が菏澤学院の3年生韋彤さんが、まさかの最優秀賞に選ばれ、
和歌山県に招待されてしまいました~~。
後の懇話会で話をした審査委員も、はじめ(え?どこの学校?)と目を疑い、
点数を調べたら、やはり正当な結果だったということです。
実は私は、一週間前、ぐずぐずゴネる韋彤さんと本気のけんかをして、
「私はもう一切教えない。全部自分でやれ!」
と怒鳴ったりして、たいへんだったのです。
でも、その後の韋彤さんの気合が変わりました。
全力で頑張っている感じが伝わってきたので、私もできる限り伴走しました。
目標は、「自分の練習して培ったものを出し尽くす」ということで、
より具体的に言うと、「話の途中で頭真っ白にならず、スピーチを最後まで全うする」
というものです。
そのために、昨夜も今朝もホテルの内外で練習し、
午前の部(テーマスピーチ)が終わって、午後の即席スピーチ前も、
しつこく予想テーマについて練習しました。
予想した多くのテーマの中の一つ、「中日友好と私」と関連性のある
「私の成長と変わる中日関係」というテーマが出て、
韋彤さんは10分間で必死にまとめて3分間即席スピーチに臨み、見事に最優秀賞になったんですけど、
本人も、私も、李先生も、あまりの栄光にポカンとしてまだ実感が湧きません。
数日後ぐらいに感動するかも(笑)。
韋 彤さんのテーマスピーチ「ネットショッピング」は下の内容でした。
山東省中の優等生が集まったスピーチの中では、確かにかなり異色のものでした(笑)。
ーーー「ネットショッピングの魔力」 菏澤学院 韋 彤
高校一年のとき、ある品物をネットショップで買いました。
その品物とは、普通の店では売っていない警察官のコスプレ衣装です。
当時の私は、コスプレ同好会の会員だったのです。
クラスメートがワイワイ集まってきて、ヘルメットを持ち上げ、
「インスタントラーメンにちょうどいい鍋だな」
と大笑いする人もいました。
週末、家に帰って鏡の前で試着しました。
(絶対手にはいらないと思っていたこの衣装がこんなに簡単に買えるなんて。
ネットショップは魔法の店だな!)
その時です。私がネットショッピングの魅力、いえ、魔力に嵌ったのは……。
しかし、18歳未満は銀行カードが作れません。
もちろん、父に買ってもらうことなどできないし……。
仲介業者さんに頼むしかありませんでした。
実は、私は、日本のバーチャルアイドル、初音ミクちゃんのファンでした。
ミクちゃんの組み立て模型が欲しかったんですが、恥ずかくて、
「あの、友人が欲しいんですよ」
と業者さんに嘘を言って注文しました。
18歳、ついに、自分の銀行カードを持ちました。
ネットショッピングが100%自由になったんです!
誰にも気兼ねなく、心ゆくまで買い物ができます。
すぐにタオバオで、初音ミクちゃんの組み立て模型を買いました。
(遠い日本から来た品物だ!ネットショッピングは本当に便利だな)
と思って箱を見たら、「Made in China」…。
それからは日本のサイトで直接日本製品を購入するようになり、現在に至っています。
(世界中の品物を家まで配達してくれる。ネットショッピングって最高!)の気持ちでした。
しかし、銀行カードを持って以来、お金が無くなるスピードも一気に上がりました。
現金を使わないので、お金を使った実感がなく、節約など考えもしません。
私は次第に、ネットショッピング漬けの生活になっていきました。
中国社会には「ネットショッピング依存症」という言葉がありますが、
私もこの依存症にかかってしまったのです。
ネットには、実に面白そうなゲームがずらりと並んでいます。
私は父から送られる一ヶ月800元の生活費をほとんどゲームに使ってしまいました。
次の送金まで、毎日一番安いパンを食べて暮らすしかありません。
(馬鹿なものを買ってしまった!お金も時間ももう戻ってこないんだ!)
私の父は地方の小さな病院の医師です。
幼い頃から私は、夜中でも電話で起こされて、
急いで病院にいく父の後ろ姿を見て育ちました。
そんな仕事の中からの送金だと、私は知っているはずでした。
その父に、
「ネットショッピングでお金がなくなっちゃったから、送って。」
などと、言えるはずがありません。
(親に言えないお金の使い方をするのは、もう止めよう。
ネットショッピングの魔力に負けてはならない)とその時、決意しました。
私の依存症を治してくれたのは、
暗い夜道を病院に急ぐ、父の後ろ姿だったかも知れません。
ネットショッピングは危うい世界に私を連れ込みかけました。
しかし、大学入学以来、次第に遠く翳んでいった父のあの後ろ姿を、
もう一度思い出させてくれたのも、
ネットショッピングの魔力だったのです。
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