先日11月22日、熊本市議会に赤ちゃんを連れて出席し、
認められずに急遽友人に預けた女性議員に対して、
私は、「がんばれ、子育てに苦労している若いお母さん議員」
とエールを送りましたが、
同時に心の中では、
(今のままで十分だと思っている人たちには衝撃だっただろうな)とも思いました。
何と言っても日本の議会の歴史は、
明治時代、議員になれるのも、投票できるのも男性のみという
徹底的な女性差別体制で始まり、
議会は「女・子どもは引っこんどれ!」という男性社会の象徴として、
第二次世界大戦の敗戦まで続きました。
この出来事に対して、22日のTBSテレビの街角インタビューで、
「議会は神聖なものだ。(だから、赤ちゃんなど連れて行くべきではない)」
と答えた年配男性の声は、
こうした昔ながらの議会における男性中心主義の影響を
色濃く受けたものだと思います。
男性側の論理はいつも「神聖なもの」から「不浄である」女性を排除してきました。
(高野山に入れるのは男性だけという時代もあったそうです)。
しかし、女性を不浄のものとするのは見事な男性優位主義の視点です。
議会が神聖だあ??
この民主主義の時代にあって、
何を基準にそう言うのか答えていただきたいものですよ。
さて、現在の熊本市議会はどうかと言うと、
議員のほとんどは男性ばかりで(男性46人、女性3人)、
先日は、赤ちゃんを連れて議場に入り、
自分の席についた緒方議員を男たちが取り囲んでいました。
今までの市議会規則では、議員以外は傍聴人とみなすそうです。
緒方議員の生後7ヶ月の赤ちゃんも「傍聴人」と定義されて、
「出て行きなさい」と言われたのでした。
TBSのニュースでは「何も言わず突然に連れてきた」
と議長は言っていましたが、緒方議員は
「前日、議長に電話した」とのことで、かみ合いません。
また、緒方議員は妊娠が分かって以来、
何度も(か?)議長や他の人に相談したそうですが、
「個人の問題だ」と言われ(つまり「自己責任」)、
前向きな解決策を得られなかったそうです。
ここで思うのは、
熊本市議会には、今まで女性で出産した議員が居なかったのが、
今回初めてそういう人が登場したのです。
つまり、未曾有の事態が生じたのです。
これは、今までのものさしでは計れなくなったということです。
ということは、新しいものさしが必要になったということです。
「イノベーション」という言葉がありますが、
それは新しい事態の出現に対して適切な対応をするための方策でしょう。
熊本市議会にもイノベーションが必要ではないでしょうか。
他の女性議員で、緒方議員の取った行動に対して
「個人の問題だ」と頭から否定せず、
「事前に議会運営委員会に相談すべきだった」としながら、
「欧州では乳児を連れて議場に入ることもある。
子育て世代の議員活動について議論が必要だ」
と述べた人もいたそうです(共産党の那須円市議)。
また、澤田昌作議長(自民党)は、
こうした大きな話題になってから初めて言ったことでしょうが、
「子育てが大変で思い詰めた部分もあったのだろう。
子連れでも議会に参加できる仕組みを考えたい」と述べ、
近く開催する議会活性化委員会で
議論する方針を示したそうです(毎日新聞11/22)。
ほらね、
出る杭は打たれますが、
出ただけのことはあったのです。
これからも、何度も打たれながら、それでもしぶとく出る杭として
踏ん張って、これからの日本社会の隅々まで、
暮らしやすい新しいルールを作るために奮闘してください。
陰ながら、応援していますよ。