毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「5月3日は泥憲和さんの日」

2019-05-03 18:38:44 | 反戦平和

 憲法の「憲」、平和の「和」・・・そんな名前を持つ泥憲和さん。

2年前の5月3日憲法記念日の早朝、泥憲和さんは逝きました。


日本には多くの「知の巨人」がいましたし、もちろん今もいますが、

泥憲和さんは学者でもなく、専門家の肩書きも持たない一市民でした。

1969年、中学卒業後すぐに陸上自衛隊の工科学校に行き、

ホーク地対空ミサイル部隊に所属したあと、

工場を経営したり、弁護士事務所で働いたりと多彩なキャリアを積みつつ、

持ち前の分析力、論理的説明、正義感と厚い人情で

人々の心を捉えていった市井の知識人です。


泥憲和さんが一躍SNSで有名になった経緯について、

「泥憲和‐‐『行動する思想』の記録」には次のように紹介されています。


2010年1月10日、神戸のJR新長田駅前。

従軍慰安婦問題で街頭宣伝を行う市民団体を妨害しようとするレイシスト集団に対し、泥さんはたった一人で果敢に論戦を挑んだ。

その状況が動画サイトで流されて、泥さんの存在が一躍知られることとなる。

それ以後、泥さんは、レイシストの非道な行動に抵抗する非暴力直接行動――後に「カウンター」と名付けられる行動――の「元祖」として伝説の存在となった。

安倍政権の集団的自衛権容認と安保法制の強行採決に抗議する街頭での活動でも、泥さんの存在は広く知られることになり、共感の輪が広がった。

それは、安倍内閣が集団的自衛権容認の閣議決定を行う前日のことだった。

神戸市の三宮で青年グループが行っていた抗議宣伝に泥さんは飛び入りで参加し、ハンドマイクを握って訴えた。

その演説の内容を翌日、泥さんがフェイスブックに投稿したところ、爆発的な拡散が起こり、累計2万2000シェアされ、8000人以上が「いいね!」をつけた。

泥さんは地元姫路で、貧困やクレサラ問題〔クレジット会社やサラ金業者による高金利貸し付けや取りたてをめぐるトラブルなど〕で困っている人たちに寄り添う弁護士事務所で働きながら、憲法集会など平和運動の裏方役を引き受けていた。

知る人ぞ知る存在であったが、一躍、全国的にその名が知れ渡ったのである。

http://doro-project.net/?fbclid=IwAR3Ro3zpsaZP9xZQWLQyQJ4RLwfniBNNUI1dR3CC6AQawvEuraZAF7Va4FI


ガンを発病されて闘病中であることを公表しながら、

全国を駆け回っていた泥さんの講演や対談を私は数回聞く機会がありました。

そのとき感じたのは

泥さんの非常に論理的、実証的な話の内容は言うに及ばず、

専守防衛の立場を貫く自衛隊を肯定して胸を張る態度と

自衛隊員への友情の心でした。

何しろ、地対空ミサイル部隊に所属していたのですから、

実際の軍事作戦や武器の種類まで詳しく知っており、

実に、実に、説得力があります。

また、自衛隊の学校の授業で教官が、

『自衛隊は要らない。自衛隊は廃止しろ』と言う国民も含めて、

私たちは全ての国民の命を守らなければならないんだ。」

と自分たちに教えたが、

今の自衛隊ではそんな教えをしていない可能性が大であるとか、

生き生きと自衛隊のことを語ってくれたおかげで、

私は自衛隊がずいぶん身近な存在に思えるようになったものです。

《自衛隊を否定するのでもなく、

国防軍や集団的自衛権に走るのでもなく、

憲法第9条のもと、

国民が安心できる安全保障政策を模索する》という立場の

元自衛官の知識人の死は

日本にとって、どれほど大きな喪失か、計り知れません。

彗星のように私たちの前に現れ、急逝してしまった泥さんの死を悼みます。

 

 

【泥憲和さん略歴】

1954年兵庫県姫路市生まれ。

1969年陸上自衛隊入隊。

少年工科学校(現在の陸上自衛隊高等工科学校)を経てホーク地対空ミサイル部隊に所属。

1978年工場経営。

1992年神戸及び姫路の弁護士事務所に勤務。集団的自衛権、改憲問題、人種差別など様々な社会問題に体を張って取り組む。

《ふろく》

↓私も今度日本に帰ったら買いたいのですが、

¥5000+消費税ですと。う~む……。

 

急逝した元自衛官の珠玉の言葉。
安保法反対運動の中で彗星のようにあらわれた元自衛官。憲法や歴史認識から仏教論まで、実践を伴った深い知識で各界の著名人と対談して驚かせた。昨年急逝したが、遺された珠玉の言葉から、1024ページ分を厳選した!

―かもがわ出版― http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ta/0996.html

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