毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「学校教育で思考力を奪われる子どもたち」No.2457

2019-10-19 22:29:34 | 日本中国比較

       

男子寮の横にある卓球エリアでのんびり卓球を楽しむ学生たち。

中国の大学キャンパスの中は、世間と隔絶されたモラトリアム空間です。


最高気温14℃という冷え込む日が数日続いた後、

今日のように23℃のぽかぽか陽気の日が週末に訪れると

心ものびのびします。

午後から3年の殷雪珂さんと来週に迫ったスピーチコンテストの練習をしました。

といっても、授業のない土曜日の解放感から、つい

半分はおしゃべりに費やしてしまいました。

スピーチの話題がらみでスウェーデンの16歳の女の子、

グレタ・トゥーンべリさんが国連でなした大スピーチで、

お金儲けに目が眩み、環境破壊を続ける大人たちに対して堂々と、

(トランプ大統領も在席していた)

4回も"How dare you!"〈よくもまあ、そんなことを!〉

と喝破したことを言うと、

殷雪珂さんは、ほとんどの中国の大学生と同様に全く知りませんでした。

世事に疎いのは日本の学生も似たり寄ったりですけどね。

そのグレタさんに対して、

「大人たちに踊らされている可哀そうな女の子」

などと非難・中傷がありますが、

中学や高校ぐらいになれば普通、社会の物事に自分の考えや意見を持つものだと

私は自分の体験から確信しています。

そこで、殷雪珂さんはどうだったか聞いたところ、

「中国の生徒は、中学や高校で社会的なことに目を向けるなんて不可能です。

学校の科目の丸暗記と試験の連続の毎日では、

どうすれば試験の点数が高くなるかだけが関心事で、

もともとあった考える力まで、逆に無くなっていきます。

作文で自分の考えを書いたら怒られます。

修辞法や美辞麗句を上手く書くのがすばらしい作文なんです。

高校ではスマホも禁止だし。

中国の子どもは本当につらい教育を受けています。」

とのこと。

押し並べて中国の大学生は、

悪く言えば幼稚で、よく言えば純真で信じやすい子が多いというのが私の印象です。

学校やテレビで教えられたことを鵜呑みにするしかない環境、

プラス、情報も「国家秩序を乱すもの」と決め付けられたものは闇に葬られ、

政府のプロパガンダしか耳に入らない状態では

社会的知識が偏るのは仕方がないのでしょう。

日本でも情報制限されたりデマが捏造・流布されたりしている今日この頃、

残念ですが、日本の子どもたちも早晩、

中国の若者たちと同じ運命を辿ると思われます。


9月はじめから今までの1ヶ月あまりで、

殷雪珂さんが書いた即席スピーチ※

(※その場でテーマを指示され、10分ぐらいで意見をまとめるもの)

の予想原稿は6種類、その中にこんなのがありました。

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「テレビの影響で、私は子供の頃、(日本人はみんな悪い人だ)と信じきっていました。

 日本人にもいい人がいることを私に気付かせたのは、私の大学の日本語の先生です。その先生は、私が生まれてはじめて会った日本人です。先生は私たちに「多方面から物事を見る」という考え方を教えてくださいました。ものごとの悪い面と、いい面の一方だけを単純に見てはいけません。

ある時、先生はこう言いました。 

「表面的なものの見方は、時に、言われた人の心を傷つけます。『日本人の家庭は核家族だから大家族の中国人より愛がない。中国の家族愛は日本人には真似ができないでしょう。』と言った人がいます。経済システムのために核家族化したことを、〈日本人は愛がない〉と決め付けるのは、事情を深く考えない幼稚な見方だと思います。」

そういえば、子どもの頃の私もテレビが伝える一面的な日本しか見ていませんでした。 

中日友好のために私ができること、……それは、ものごとの表面だけでなく、深く、多面的に見る力をつけ、日本に対する考えを深めることだと思います。自分の考えが深くなればなるほど、自分の周りに伝えられる日本も多面的になるからです。」

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